ryunicoさんのレビュー
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秋期限定栗きんとん事件 上
米澤穂信 / 創元推理文庫
小市民シリーズ第3弾は上下巻に
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この『秋期』では話の半分が新しい登場人物・瓜野視点で進みます。
今までは小鳩君の主観でのみ語られた小山内さんのキャラクターが、瓜野視点で語られると微妙に変わるのが細かい演出です。
新聞部が発行している…『月報船戸』のコラム欄で瓜野は自分の推理を披露し、彼女の小山内さんにいいところを見せようと頑張ります。
が、小鳩君という探偵役(=主役)のいる物語で華々しく活躍できるはずもなく。
自尊心の強いタイプで結構鼻につくキャラクターである瓜野が、最後のオチで一気に哀れになりました。
最初は若干キャラに頼ったライトノベル系探偵物かと思った当シリーズ。
すみません、侮っていました。物凄く正統派な探偵物ですね。
しかもさすがに高校三年生になった小鳩君と小山内さんが、紆余曲折を経て自分たちの自然体に気付く流れは、とても自然でしかも青春物としてオーソドックスな展開。
さすがの米澤節でした。 続きを読む投稿日:2014.04.06
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龍陽君始末記 1
青木朋 / ミステリーボニータ
中華版「大岡越前」+「暴れん坊将軍」
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お白洲での裁きから、事件の背後を探る捜査パートなどもあるため、中華版「大岡越前」+「暴れん坊将軍」みたいな感じかでしょうか。
天麟自身、お役人とは思えぬ奔放さに加え、惚れっぽい男色家(イケメンマッチョ…がストライクゾーン)。
脇を固める部下たちも、それぞれキャラが立っています。
こうしたキャラクターたちが、清時代の市井を舞台にあれこれ暴れまわる短編推理ものです。
清時代の有名な風物(纏足とか阿片など)を扱うので、物語もとっつきやすい一方、
背景や事物の描き込みが丁寧&緻密で、読んでいてトリビアな一面もあり。
3冊できちっとカタのつく物語構成もいいです。 続きを読む投稿日:2014.04.07