Reader Store
レビューネーム未設定さんのレビュー
いいね!された数58
  • 催眠術入門

    カシオ

    催眠術入門

    カシオ

    B's-LOVEY COMICS

    大正浪漫

    「エロとろR18」で第1話だけ既読。 あの中では印象に残っていた作品だったので、後日談が読みたくて購入しました。 明治かと思っていたら大正浪漫だったんですね… このレトロな時代設定だったのが、いっそうファンタジックであやしさを増していて正解だったと思います。現代設定だとシャレにならないし。 大正時代を舞台にしたBLに今ハマっているので、引きこまれてしまいました。 スネかじりの貴族のぼんぼん×英語教師。二人は学生時代からの親友です。親交は大人になってからも続いていて、専らヒマな龍彦が周の勤める大学に顔を出すというパターン。 催眠術がこの頃日本に入ってきて大流行したんですね~ そんな時代背景を思い浮かべるだけでも、ロマンに満ち溢れます。 インチキだと一蹴する周に、龍彦は彼を実験体にして催眠術をかけてみると大変なことに…! 潜在意識の中にあった恋心を露呈してしまうのに萌えました。本心が見えるってエロいです。かけられたくない! 続きの話、ミステリアスな「三月怪談」が面白かったです。タキシード姿に貴族の社交界と華やかさも楽しみながら、小泉八雲ちっくな色気ある怪談にひんやりとできていい小品でした。 「円城寺伯爵の犯罪」は、デカダンスの香りが漂う話で( ̄ー ̄)ニヤリとしてしまいました。 円城寺伯爵にロックオンされてしまった周の災難。 周が英語学者なのでシェークスピアのソネットを絡めてくるあたりもぐっときました。 「淡雪事変」では、まさかの軍服萌えを堪能させてもらいました。軍服緊縛プレイもあったり…! これでご飯三杯はいけました。 エロも扇情的で色気があってツボでした。絵柄は好みからずれているんですが、背景や小物もきれいできちんと描かれていて、物語の世界観にすんなり入り込めるところがよかったです。 私的萌えツボがてんこ盛りだったので大満足。

    0
    投稿日: 2014.08.20
  • NightS

    ヨネダコウ

    NightS

    ヨネダコウ

    ビーボーイコミックスデラックス

    短編3作詰め合わせセット

    短編が3作収録されていました。 どのストーリーもキャラが立ってるし、話もあっと言わせる展開だし、オチがしっかりあるしで、とても面白かったです。 中でも「NightS」は三拍子揃っていて、短編とはいえ完璧! 運び屋と893のやりとりが絶妙で、( ̄ー ̄)ニヤリとしながらどんどん話に引き込まれてしまいました。 ミステリアスな雰囲気で、唐島だけじゃなくこっちまではぐらかされてしまう穂積の魅力は、ハンパないです。惚れました… 描き下ろしの後日談でも、年上オトコの魅力が大胆に公開されていて、唐島に泣きが入っていたのに爆笑でした。 「感情スペクトル」は高校生のラブトライアングル。 これも三拍子揃っているいい話で、きゅーんとさせられました。高校生の男の子らしい感情の揺れが切なかったり、笑えたりでかわいい! 一番長い作品だった「リプライ」は、自動車ディーラーの営業マンとメカニック。 こちらは、センセが子育てで休んでいらっしゃった後の作品にあたるせいか、描きたかったことすべて描こう、という意欲にあふれている感じがします。センセらしい細やかな心理描写が全面に押し出されていて、引き込まれました。 ネタバレしてしまうといけないので詳しくは書けないのですが、しっかり三拍子揃っています。 ただの職場恋愛ストーリーに終わっていないところがさすがです。友情と恋愛の境目がどこにあるのか?というのは男同士だからこそで、そこに着目しているのがツボでした。 あっといわせる点では、攻受どっちがどっち?というのも気になるところで引っ張られました。でも、対等な関係から始まっているのがいい。高見、無表情でストイックに見えるのに肉食。だからこその営業成績www などと、いろいろ読みどころが多いんですよね。

    0
    投稿日: 2014.08.20
  • 囀る鳥は羽ばたかない 1

    ヨネダコウ

    囀る鳥は羽ばたかない 1

    ヨネダコウ

    HertZ&CRAFT

    心をわしづかみ

    付き人兼用心棒として雇われた百目鬼×ドMで淫乱のHENTAI893矢代。 導入部分が影山の話というのが、さりげなくすばらしいです。 矢代はノーマルな影山が何に弱いのか、わかっています。その伏線的な流れが、ボディブローのようにあとからジワジワ効いてくる展開に、ヤラれました。 矢代という人物にとても魅かれます。ドMでびっちなくせに、本音は決して他人に見せず、実はめちゃくちゃ頭が切れる男。 周囲の893たちは彼をナメてかかっているところがあるのですが、いつの間にか逆にやり込められています。 そんな彼の前に現れたのが、百目鬼。 パッと見、堕落した893としか思えない矢代のことを、「綺麗だ」と素直に白状するあたり、彼だけは本質を見抜く力がありそうだと感じさせます。 淫乱と不能という相反する関係性がすごい。どうしてそうなったか?苦しみ、切なさ、理不尽な怒りに翻弄された過去が明かされていき、それぞれが受けた傷の深さを知ることになります… 特に、矢代の歩んできた人生は目が離せないものがあります。好きで893になったわけじゃないのに、それでも前へ進んでいる。現実をしっかり受け入れているところが、男らしい。 百目鬼への心遣いも心憎いばかりです。 スーツの内ポケットに、グッときました! 淫乱が不能相手にこだわりなく仕掛けていくのに萌えました。 百目鬼は「あっちにいた時から」矢代を知っていたんですよね。そこも気になる… 「漂えど沈まず、~」は、矢代の性癖を形成したものが詰まっている話で、胸がしめつけられました。影山が火傷フェチだと知って、好きでもない相手とのHでタバコの痕をねだるシーンに圧倒されます。 寂寞感をひしひしと感じさせられました。

    4
    投稿日: 2014.08.20
  • 今宵、天使と杯を 【イラスト付】

    英田サキ, ヨネダコウ

    今宵、天使と杯を 【イラスト付】

    英田サキ,ヨネダコウ

    SHY NOVELS

    胸を突かれるような真実

    893モノです。「エス」も「デコイ」も傑作ですが、これも心に染み入る珠玉の逸品だと思います。 主人公はさえないアル中で不能のリーマンの柚木。しかも、リストラにあい、離婚されそうな崖っぷち人生。飲み過ぎて目覚めたら隣に知らない893の若い男が寝ていた… 地味で、一見ありがちな話のように思えるけど、この冒頭が後で胸を突かれるような真実につながっています。 35歳のこれと言って取り柄のない男に、なぜヤクザの四方が惹かれたのか、読み進むうちに柚木のどこがよかったのか気がつくはず。 四方もかなりの男前なんだろうけど、最初は気の効いたセリフも言えないただやりたいだけの男なのかと思ってしまいます。でも、だんだん彼の過去や本質が見えてくるうちにかわいいところ、熱いところもわかってきます。四方に好かれてあたふたする柚木の胸の内を思うと笑えるし、四方の外見に似合わない直球な言葉もくすぐったくなるほど一途で、互いに正直です。 そのあたりの描き方がすごく上手いです。 履き間違えた靴下に気付くシーンに泣きました。そんな風に自分を一生懸命想ってくれる相手の存在っていい。 相手の幸せを願う気持ち、相手を大切に思う気持ち。そのために自分の身を投げ打つ勇気ある行動が、柚木にはできます。素敵です。 幸せと無縁な男二人が、自ら幸福を求めて行こうとする姿に胸が熱くなります。愛を誓うシーンもすごく感動的で泣けました。 派手ではないけど、893モノらしく抗争や地上げなど本筋にちゃんと絡んで、しっかり骨太。味のある脇キャラも多数登場します。全ての人物が生き生きと印象強く、心に残ります。周囲が温かいのもいい。ワルモノは別として。 何回でも読み返しそうです。

    1
    投稿日: 2014.08.20
  • ダブル・バインド4

    ダブル・バインド4

    英田サキ

    キャラ文庫

    ついに最終巻

    長い物語が終わってしまった一抹の寂寥感と、ままならないと嘆く人生も皆最後は自分自身で決着をつけるものなのだと思いしらされたことで、深く溜息。 BLでありながら、クライムサスペンスとしても読み応えがありました。二度美味しいってやつです。事件にも登場人物にも上辺だけでは読み取ることのできない深淵な闇があって、単純ではないストーリー展開に魅了されました。 犯人探しに関しては、多分皆さんと同様に見当がついていたけど、またその向こう側にいろいろヒネリがきいていてスリリングで面白い展開だったと思います。格闘場面もかなりの迫力。昔とった杵柄ですね。 そして、葉鳥の生死も気にかかるところでしたが…いいシーンでした。 いろいろ登場人物も多くて、あちらこちらに張り巡らされた伏線や謎も膨大でどうなるのかと気にしていましたが、きれいに回収されていてホッと?しました。すごいです。葉鳥のなくしたピアスも出てきた! 気になる上條と瀬名の関係は、相変わらずボケの上條×ツッコミの瀬名で笑えます。もう夫婦漫才風やりとりがたまらなくツボ。ツンデレとデリカシーのなさのコラボが絶妙! 学生時代は純情可憐だった後輩の尻に今や敷かれまくってる上條は、一見形無しの残念な元先輩ですが、あれほど「ホモじゃない」と断言していた頃から比べてはっきりと周囲に「付き合ってる」と言えるまで進化したのには、やはり攻としてのかっこよさを認めざるを得ません。男らしい攻です。…おっさんぽいとも思ったり。 このcp、大好きな某兎虎みたいなイメージかも。 エロ的にはあっさりめですが、二つのcpの本気度と、受二人のせつなくとも気丈な「魂の再生」がダイレクトに伝わってくるので読後の満足度は非常に高いです。

    1
    投稿日: 2014.08.20
  • ダブル・バインド3

    ダブル・バインド3

    英田サキ

    キャラ文庫

    よし、ホモになろう!

    複雑に絡み合う糸が段々解けていきます。 じれったい恋模様も、上條×瀬名cpには進展があっていい方向に進みそう。しかし、瀬名のツンデレは一筋縄じゃいきませんね。めちゃくちゃ振り回されて、挙句の果てに犬並みの調教をされている上條は、一体… 上條がいい味出しています。一見瀬名に流されているかもですが、前向き思考で男らしくて、包容力があります。上條のおかげで瀬名はとても救われている気がします。 二人の掛け合いが楽しすぎ。緊張感漂う重苦しい雰囲気が、この二人の会話で一気に払拭されるのは見もの。 よし、ホモになろう!って、前向きな上條が最高です。 高校時代は頼もしい先輩と、はかなげな美少年だった二人が、年を重ねて微妙に関係が変化しているのは、読んでいて感慨深く、何だかくすぐったい気持ちになります。 一方の新藤は、父親の死で次期会長候補として緊迫した立場にあります。その中で瀬名への積年の気持ちを告白した場面には落涙。瀬名に感情移入してすごく胸が締め付けられるシーンです。でも、一応これで落ち着いたかんじ。無口な男はかっこいいけど、誤解されます。 そして事件の真相にも今回かなり迫っています。大勢の登場人物を巻き込んで目まぐるしく展開していくので、息つく暇もナシ。はっきり言って面白い。人間関係だけでも複雑で、しかも関連性を探っていく楽しみもあり、謎解きにも挑戦できて、幾重にもおいしいです。 今回、中でも際立ったのが、葉鳥です。ちょっとライトな口のきき方をする彼の本心が、痛いほど胸に迫りました。彼、ちっとも面倒くさい奴なんかじゃありません。心底新藤を愛している健気な男です。その気持ちを受けとめようとする新藤とのせつない心のすれ違いも、そろそろ結論が出そうな時にそこで続く?てかんじです。 葉鳥には幸せになって欲しいので、どんなピンチでも乗り越えて新藤の元へ生還してほしいです。

    0
    投稿日: 2014.08.20
  • ダブル・バインド2

    ダブル・バインド2

    英田サキ

    キャラ文庫

    中だるみなし!

    前回からパワー失速することなく、新しい展開になってます。もちろん、中だるみもなく一気に読ませてくれました。 連続事件となった猟奇殺人を上條と瀬名、新藤と葉鳥がそれぞれの立場でさぐるというのが、この巻の大筋。新しい登場人物もどんどん増えて、さらに幅が出てきてますが、何しろ人物描写が上手いんです。なので、それぞれ個性的ではっきり性格までも把握できるから、さくさく読み進めることができました。 上條と瀬名も、なんとなーくいい感じに発展?瀬名のはげしくツンデレなところに、上條ハート持っていかれちゃったんでしょうかね。 瀬名の高校時代からの変貌ぶりがすごい。それとも、その頃からオトコを惑わす無自覚な魔性は備わっていたのかもね。上條が鈍かっただけで。 今回は瀬名の新藤に対する複雑な想いと、葉鳥の新藤への切なる想いが交錯していて読み応えありました。新藤、いい男です。葉奈ちゃんへの盲愛パパっぷりも、もはや萌えの極致。瀬名や葉鳥じゃなくても惚れます。 瀬名はかなりめんどくさいことになっていますね。単純な?上條ですらも翻弄されまくってるんだから。上條のこと、本当の意味での恋人にするといいよ、とはた目には思うのですが。 あ、葉鳥もあまりこだわらずに新藤のものになっていればいいのにね。まあ、複雑じゃなくちゃ、小説にはなりませんが。 葉奈ちゃんがお嫁さんになりたいといっている、葉鳥が今回とても魅力的でした。

    0
    投稿日: 2014.08.20
  • ダブル・バインド

    ダブル・バインド

    英田サキ

    キャラ文庫

    サスペンス系事件ドラマ

    正直言って、手に取るまでは続きモノみたいだし、暗澹たるストーリーだったらイヤだし、と余計な気を回しすぎていましたが。でも、読み始めたらそんなの一気にふっとんじゃいました。 BLという括り以外のところでも、事件ものとしてのストーリー運びの面白さが遺憾なく発揮されていて、もうさすがです。「そこで続く!?」と突っ込んで読み終わりました。。。 登場人物の一人一人がキャラ立ちしていて、読んでいてすごく話にのめり込めます。 警視庁刑事の上條は男っぽくて、性格も至って真っ直ぐ。そんな彼と対照的な、ツンデレ美形元後輩の臨床心理士瀬名。テンプレであるのに、ありきたりにならない魅力が主人公たちにはしっかり備わっているんです。二人の高校時代を回想することで、より深く二人の魅力も伝わってくるし。 そして、二人にからんでいる、様々な登場人物。どれも、魅力的で、気になる人々ばかり。いろいろありそうなニオイ、プンプンさせてますね。 とりあえず、ハナシは始まったばかりみたいなので、次回に期待です。

    0
    投稿日: 2014.08.20
  • 左隣にいるひと

    左隣にいるひと

    可南さらさ,木下けい子

    キャラ文庫

    すっごいヘタレわんこ攻が登場!

    話は江沢視点で進行しているので、彼の思考を通して見る生方は、もはや挙動不審なヤツ状態です。 とにかく、言動も行動もちょっとヘンで、きょどってる生方。 天然というか、ヘタレというか、すぐにあきらめてしまい逃避するイケメンわんこの生方です。これはほっとけない。 江沢のことが好きで好きで仕方ないからこそ、遠慮して臆病になってしまう生方が、かわいい。 告っただけで、気が済んでしまったかのような後ろ向きの自己完結っぷり。 今までの人生で、生方はそうやって相手を思いやって諦めたり手放したりしてしまう癖がついてしまったのが、後々わかってくるんですけどね。それを知らない江沢には、不可解この上ない親友の態度だったと思います。でも、そんなお人よしで遠慮ばかりの生方の本心を理解して、そこまで想われていたことにやっと気付いて、彼の全てを受け止めようとする江沢は、さすがだなと思わせます。やっぱり、愛のなせるわざですね。 意図が分らないうちは、勘違いしてイラっときてたけど、それが全て自分のためだったと分ってからは、もうほっとけないかんじで。見えない尻尾をブンブン振ってる生方を、全面的に受け入れてるところが清々しくていいです。 「右隣の恋人」は、いいかんじになったその後の二人が生方視点で描かれていて、悶絶モノ。いいかんじになったのに、ものすごーく遠慮気味な生方が面白すぎです。まさに天然。 甘えすぎたらいけない、などと考えて逆に江沢の不興を買ってしまっています。 江沢はほんとに竹を割ったようにすっぱりした性格で、男前な受なんですよね。いざとなったら肝が据わってる。そして、生方のことを特別に想っているのがすごく伝わってきます。 がっついて?こない天然生方に、しびれをきらすシーンに胸キューン。 ヘタレわんこ攻好きは、悶絶死まちがいなし。ああ、もう!って感じで、身もだえながら読んでしまいました。

    1
    投稿日: 2014.08.20
  • 愛されたがりの嘘つき

    野原滋, 香林セージ

    愛されたがりの嘘つき

    野原滋,香林セージ

    B-PRINCE文庫

    しっとり切ないストーリー

    シリアスとコミカルが交差するいつもの独特な作風とは打って変わって、最初から最後まで驚くほどしっとり切ない話でした! 記憶喪失物です。いろんな作家さんが競っているこのテーマ。読み比べるのも楽しみの一つです。 記憶を蘇らせようとする行為は、目の前の存在を否定することにもなってしまうのが辛いです。記憶喪失物は、そういう切なさが大きいですね。 一番のポイントは二人?の朝倉が互いに相手を嫉妬するところ。自分の知らない自分にジェラシーというのは、かなりのツボでした。 記憶喪失があったからこそ、朝倉も椎名も今までの関係を見つめなおし反省して、改めて相手への愛に向き合えることができたのが伝わってきて、とても甘くてやさしいエンディングでした。 こういう、キュンとくるストーリーも上手い作家さんだなと、改めて感じました。

    2
    投稿日: 2014.08.20