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料理男子の愛情レシピ
犬飼のの, 香林セージ / 講談社X文庫
読み応えあり
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スイートな恋愛ものと見せて、実はズキリと鋭い痛みを内包しているストーリー。そういえば同じく香林セージセンセのイラストだった「二次元恋愛」、「三次元恋愛」も、ただの胸キュンではなく切ないものがあったのを…思い出しました。
そのことをすっかり忘れ、胸キュン!と思い込んで読み始めて、思わず涙。またしてもセンセにやられてしまいました。
クッキングスクール講師の周は尽くし型の受で、いつも相手から便利な存在扱いされ、ダメになってしまうことばかり。
そのせいで、スクールの生徒の年下イケメン夏川にひと目惚れしても臆病になって、悶々としてしまいます。ノンケの年下男を好きになってしまった周の葛藤が、すごく伝わってきました。
一方の夏川は、最初の印象では周のことをただ先生として好きなのか、恋愛対象として好きなのか、なかなか分かりにくいところがあって、それが逆に興味をあおるポイントにもなっています。
夏川がなぜ周に惹かれたのかというのは、周ばかりではなく読者にとってもとても気になるんですが、夏川が言わなかったある事実も大きな要因だった気がします。周の尽くす気持ちが、ここでは良い方向に作用したように感じました。
その後、事実を知った周の苦悩には、いろいろ考えさせられました。これは深かったです。周が相手の幸せを考えすぎて、自分ではダメだと思い込む気持ちにはほんとに切なくなりました。
でも、夏川によかれと思って一芝居うった場面の智成の言葉で、大事なことに気付けてよかったです。ノンケの方が絶対幸せとか、ゲイは不幸だとか決めつけてる、と周に忠告するんです。智成、思ったよりイイ人でした。
周が前向きに頑張ろうとして、ほっとしました。彼なら絶対夏川を幸せにできると思うし、周も夏川にならずっと大事にされると思えるエンディングに安堵。 続きを読む投稿日:2014.07.10
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この夜のすべて
ミナヅキアキラ / HertZ&CRAFT
この夜のすべて
ミナヅキアキラ
スーツに日本刀!
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世界観や人物設定がブレなく構築されていて、すんなりストーリーに入り込めるところがすごい。
そして、ダークでシリアスな展開の中に、倒れそうに甘い愛がダダ漏れなところも新鮮です。スーツに日本刀っていう斬新…さもBLにはありそうでなかった萌え。この作家さんのセンスのよさというか、ツボの極め方というか、素晴らしいなと思います。
そして、毎度ながら攻のカッコよさに惚れ惚れ。背負っているものとか余儀なくされていることが沢山ありながらも、受に対しての愛だけは絶対に譲らないところに「漢」としての色気を感じさせます。
ちょっと軽めのノリもみせる七青が、最後の最後で心の奥に秘めていた想いを告白した瞬間にやられた…今まで何も怖いものはなかった七青が、葵の命だけはなくしたくない、なくすのが怖いと感じるようになるところは置かれた状況を考えると壮絶です。愛するものしか見えない盲目さが危うくて、だからこそ真剣なのもわかって胸打たれました。
血まみれで殺伐として切羽詰った中での真摯な愛ってのが、たまりません。濡れ場の葵の羞恥心丸見えな表情が、またたまりません…
ラストシーンがあまーーーい。 続きを読む投稿日:2014.06.21
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君によせるブルー
青井秋 / B's-LOVEY COMICS
忘れかけていた初々しい恋
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派手さは無いけれど、しみじみとさせる良心的で繊細な作風がとても好きです。忘れかけていた初々しい気持ちが、ここにはあります…
「アザーブルー」は、島の漁港に住む高校生と東京からやって来た転校生の甘酸っ…ぱい恋物語。島の風景がとても美しく描写されていて、彼らの気持ちを反映しているかのよう。
海の色や空の色が、自然に透き通るような青色に脳内変換できます。
戸惑いながらも、自分の気持ちに正直に恋する二人にときめきました。
「Night&Go」は、片想いの話。ずっと好きだった親友がとうとう結婚してしまったその式場で、かつて互いに片想いの傷を舐めあうように関係を持っていた先輩と再会。
再会愛、10年愛…ツボでした。説明はなくても、読んでいるうちに先輩の切ない気持ち、そして深いやさしさが伝わってきます。
「不帰の森」はケモ耳ファンタジーでした。キャラがとても美麗だし、モフモフいいではないですか!ちょっと、この続き読ませてください…!ストーリーがまだこれから、という感じです。
「雨のゆめふる」は 人生の脚本を書く「脚本家」の男と、詩を作っている学生の話。『ベルリン・天使の詩』のオマージュ作品ですね。現実と非現実の共存にはっとさせられます。これほんとに良い話です。 続きを読む投稿日:2014.06.21