
かがみの孤城
辻村深月
ポプラ社
いじめで辛い思いをした人に寄り添う物語
学校へ行けなくなった主人公が、学校に行くという普通の事を達成できないがために苦しみ、今までできていたはずの事が出来なくなっていく。 誰も信じられず、家の外に出るだけでも,精神的、身体的苦痛になやまされるその姿がつらい。 学校でのいじめ。まともに取り合ってくれない教師。壊れていく自分自身の心 その心の動きが本当にリアルで、辛い経験をしたものであれば大いに共感できて自分だけが辛い思いをしていた訳では無いんだと妙な連体感を感じることができた。 孤独感に寄り添ってくれる本だと思う。 かがみの中の世界で、そんな主人公が段々変わっていくのだけれどそれが魔法みたいな方法で変わっていくのではなくて、現実的にありうるであろう仲間たちとの信頼関係や、親との関係の変化、現実の友人とのかかわりで変わっていくのが良かった。 絶望的な状況から、這い上がっていけるかも知れないと信じられるのが良かった。
0投稿日: 2018.03.31
百貨の魔法
村山早紀
ポプラ社
奇跡の成分は人の優しさでできている
星野百貨店で働く人とお客さんの織りなす心温まるストーリー 派手さはないが、安心して読める。 物語の中で起きる事は確かに奇跡何だけど、 ああ。実際にこういうことはあるかもしれないと思わせる。 良い事も悪いこともあるけれど、もし現実世界で使える魔法があったなら、こんな感じだろうと思わせるのが良かった。
0投稿日: 2018.03.31
十六歳のオリザの冒険をしるす本
平田オリザ
講談社文庫
「16歳の冒険」と聞いて私が想像していたものとは全然違う冒険だった
ラジオに出演していた平田オリザ氏の話が面白かったので書籍を購入。 16歳の冒険といういうタイトルなので、自転車で日本のどこかへ旅をした話を想像してページを開いたので、大変ビックリした。 著者が自転車で世界一周旅行へ出かけた話なのだ。ドキュメンタリーなので小説の様な盛り上がりはないが、淡々とどこで何があったか?それをみて何を感じたがが語られている。 世界一周旅行をしている小説ではあるのもの、語られている話は日常的な感性で書かれているのでどこか異国の話という感じがしない。 この本を読んで、平田オリザ氏の両親について興味を持った。 だって16歳で世界旅行に行くのをOKするなんて。
0投稿日: 2016.12.18
ハチミツとクローバー 1巻
羽海野チカ
白泉社
やっぱり面白い
3月のライオンが好きなので一括購入で一気に読みきった。面白かった。 自分の進路を決めたり、色々な解決が難しい問題に直面した登場人物のモヤモヤした気持ちをすくい上げて、丁寧に描写していくのでグイグイ引き込まれる。 答えにたどり着いたかどうかはわからないが、行き場所の無い気持ちに真っ正面から立ち向かっていく主人公達の姿が清々しくてとても良かった。
1投稿日: 2016.12.03
大統領の演説【電子特別版 スピーチ全文訳付き】
パトリック・ハーラン
角川新書
大統領のスピーチは人の心を掴む
アメリカの有名な大統領のスピーチを歴史的背景、大統領の功績、キャラクターを踏まえて分析した本 今が旬のトランプ氏、ヒラリー氏のスピーチについても分析されているが、やはり既に任期を終えた大統領たちがどんなスピーチを行い、その後どんな偉業を成し遂げたのかについての内容が非常に興味深い。 偉業を成し遂げる大統領は、人の心をツカむ術に長けている。 今作でもエトス、パトス、ロゴス、を軸にトークテクニックを分析している。 前作に引き続き非常に読みやすい
0投稿日: 2016.12.03
ツカむ!話術
パトリック・ハーラン
角川oneテーマ21
話す力は鍛えられると感じられた。そして何より読みやすい
古代ギリシャの弁論術を骨格に、トーク力という抽象的に感じていることをもう少し具体的な要素に分解し解説してくれる。大きなテーマを要素に分解して解説しているので大変説得力がある。 さらに具体的な例をバンバン入れてくれているので、実際にどんな場面でそれぞれの要素が生きるのかをしっかりつかむことができる。そして何より面白く読みやすい。 トーク力の話を通して、パックンの聡明且つユーモアセンス溢れる人間性に触れられる良書。 かなりファンになった。
0投稿日: 2016.12.03
池上彰が世界の知性に聞く どうなっている日本経済、世界の危機
池上彰
文藝春秋
対話形式なので、どうしても分析が少ない。
池上氏が、戦後の日本経済を担ってきた人物たちにインタビューしていく本。 対話形式なので著者による分析、考察が少なく感じた。 10のインタビューをしている為、一つ一つの内容が薄くなっている様に感じた。 ピケティ氏へのインタビューなど期待していたが思っていたよりも面白くは無かった。
0投稿日: 2016.06.28
七つの会議
池井戸潤
日本経済新聞出版
ノンフィクションではないかと思うくらい身近に感じる登場人物
不正に巻き込まれ、人生が狂っていく主人公たち。 果たして自分がそこに立っていたら、不正に加担しないでいられただろうか? いや、いられなかったに違いない。 そう思わせるリアリティがあった。 登場人物の生い立ち、会社内でのキャリアが語られる事で、 仕事のスタイルが、如何にして確立していったかがが分かり 組織の闇がどうやって生まれたかがより具体的に感じられる 本当はそんな事はしたくなかったに違いない主人公達 本当に仕方がなかったのか? 他にやりようは無かったのか? 組織の中で生きる者として多くを考えさせられた
0投稿日: 2016.06.10
池上彰の「日本の教育」がよくわかる本
池上彰
PHP文庫
分かり易く日本の教育制度を分析した本
一人一人の親が教育の事を考える時に必要な事は何か? それを考える時に、必要なデータのありかと池上さんの見解を教えてくれる。 自分の子供にどんな教育を受けさせたいか?を考えた時に、今の日本の教育制度の歴史を振り返り、今までどんな考え方の元、教育制度が設計されてきたのかを知れたのはよかった。 世界と日本の教育の対比、過去の教育と現在の教育の対比、それらを通して今の教育の問題点が良く分かる。 こんなに面白く、教育に関するデータを分析している本は無いと思った。 特に、世界の中で教育機関への公的支出が国内総生産に占める割合が比較可能な30カ国中最下位というのは衝撃的な内容で、対策が必要だと強く感じる。
0投稿日: 2016.06.07
10年後の教室
山内祐平
日経BP
十年後ではなく、現状どうなっているかの話
名前負けしている印象を受けたので星3つ。 現在アメリカで普及した、カーンアカデミー等の紹介に留まっていると感じた。 ICTを活用した場合と、しなかった場合の学力の分析についてもう少し分析が欲しかった。 今のICTを活用している教育にどんなものかを舐めるのには良いと思う。 ただ、サルマン カーンのted talkと比較するとワクワク感と衝撃が少なかったと感じる。
0投稿日: 2016.06.01
