寒寺さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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新 仮面ライダーSPIRITS(1)
石ノ森章太郎, 村枝賢一 / 月刊少年マガジン
彼らにずっと伝えたかった言葉
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「新仮面ライダーspirits」では、1号・本郷さんの苦悩から物語が新たに書き始められる形になります。そこでの彼の苦悩の深さ、タイトル「spirits」の意味と滝和也たちの存在。ヒーロー・仮面ライダー…1号として始まる「仮面ライダーspirits」と人間・本郷猛として始まる「新仮面ライダーspirits」。
引き続き描かれる戦いの激しさは、「仮面ライダーであること」そのものとの戦いかもしれません。
「そんなの地獄に決まってる」
でも、彼らは独りきりじゃない。
かつて彼らを応援していた人たちがずっと伝えたかった言葉かもしれません。 続きを読む投稿日:2014.02.23
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猫弁と少女探偵
大山淳子 / 講談社文庫
大いなる欠けと、たくさんの余計なこと
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大好きな七重さん。今回もとても不器用で、どこかずれていて、それでも、誰かに愛情をたっぷり注ぐことができる不思議な人。わたしたちは余計なことくらいしかできませんからね、と七重さんは笑う。やっぱり素敵な人…だ。
さて、今回のおはなしについて。
「なんだかうまく行かない」に「上手にできない」が積み重なっていく三毛猫誘拐身代金請求事件は、それでもしっかり、まっすぐ、「誰かを助けたい」「しあわせになって欲しい」という登場人物達の願いとともに。そして中心には、猫。
いつも誰かを救いたいと思考を分裂させてばかりで、自分のしあわせのことをほったらかしの猫弁・百瀬。百瀬のしあわせを不器用に、ほんのちょっとだけ応援しようとするたくさんの人たち。彼らおのおのに訪れる転機は、しあわせになるために自分から踏み出す第一歩。喜ばしくもあり、頼もしくもあり、ちょっと寂しくもあり、切なくもありますが、彼らにしあわせになって欲しいという願いがやさしくそっと寄り添います。だから「卒業」なんでしょうね。
次のエピソード「猫弁と魔女裁判」で物語は完結しますが、そのためか読後に「途中感」が残ってしまうのがちょっと収まり悪いので、魔女裁判までの一気読みをお勧めします。 続きを読む投稿日:2014.12.20
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夜明けのブギーポップ
上遠野浩平, 緒方剛志 / 電撃文庫
拙い、思いの物語
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なぜ「ブギーポップ」と名付けたのか。
炎の魔女がどうして正義の味方をはじめたのか。
2人の邂逅までの課程で途切れていった
誰かの願いや様々な可能性は、
切なく、儚く、必死で、とても愚かしかったりするこ…ともある。
それらは結局なにも変えられなかったのかも知れない。
それでも、彼らの思いを受け止めて、
きっと繋がっていくものがある。
…これは著者の作品に特に共有されるテーマなのだと思いますが、
本作品はシリーズの中でも特に好きな作品の一つです。
始まりは案山子、──カラスよけの、道化だよ。 続きを読む投稿日:2015.06.20
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ソウルドロップの幽体研究
上遠野浩平, 斎藤岬 / NON NOVEL
ついにソウルドロップシリーズも!
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祥伝社さんから刊行されているこの「ソウルドロップシリーズ」も電子化していただいてありがとうございます!
これを機に、著者のファンで未読の方にも、
あるいは表紙やタイトルに惹かれて今まで気になっていた、…という方にも
読んで頂けると嬉しいです。
予告状を出して「キャビネッセンス」を盗み、人の命を奪う「ペイパーカット」と呼ばれる怪人。
因縁を持ちペイパーカットを追うサーカムの保険調査員、伊佐俊一と千条雅人。
彼らを巡る事件と物語――その中で、
「人間とは何か?」
「何が人間なのか?」
という問いかけを独特の発想で重ねる作品群という部分こそ、このシリーズの魅力です。
朝、電車で同じ車両に乗り合わせた人に対して
「彼らが人間であるかどうか」という確認をして、
「そうである」という定義をするかどうか。
そんなことはいちいち誰も考えない。
――であるならば、あなたはどんなときに、ある人物に対して
「彼が人間である」と認識を確定させているのか。
または自分自身を「人間である」と定義しているものが何なのか。
そういうことを扱った物語です。
死亡した人気歌手を巡り、様々な人間が
「彼らを彼らたらしめているもの」のために行動を起こす。
コンサート企画を運営するスタッフ。
みなもと雫の音楽とそれぞれの向き合い方をするミュージシャン。
トリビュートコンサートの中止を求めるフォーカード。
そして、ペイパーカットを様々な立場から追う追跡者。
彼らが何者なのか、どうして、何が彼らを彼らたらしめているのか。
時にペイパーカットの、時に彼を追跡する伊佐や奈緒瀬の立場から、
人間とキャビネッセンスとを追う不思議な作品です。
不思議な直感を持ちペイパーカットを追う伊佐俊一。
脳内に演算チップが移植されロボット探偵となった千条雅人。
東澱一族に脅威となる存在を排除するという命を受け事件に介入する東澱奈緒瀬。
3人の関係性も、シリーズを追いかける楽しみの一つです。 続きを読む投稿日:2016.05.22
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トゥルークの海賊2
茅田砂胡 / C★NOVELSファンタジア
ディルフィニア戦記以来の…
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著者のシリーズの読者で、海賊周りの登場人物が好きな方には見逃せない展開を予感させる2作目。リィがディルフィニア戦記以来の「あの芸」を披露してくれます。ヒント:麻袋
投稿日:2013.11.12
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猫弁と指輪物語
大山淳子 / 講談社文庫
約束と想いのお話
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約束、指輪といえばエンゲージリング。
今回のお話は、どちらかといえば守られなかったいくつかの「約束」と、そこに託された大事な「想い」についてのエピソード。
それが伝わらなくても愛おしく、それでも深いと…ころでは各々のなかに続いて行くような。そんな「約束」を誰かと交わすことができるといいな。 続きを読む投稿日:2013.11.23