寒寺さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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猫弁と透明人間
大山淳子 / 講談社文庫
ちょっとずつ幸せになる作品
3
例えば訴訟案件のオウムのその後が気になったり、例えば深夜の公園で出会った母子が気になったり。
そんな小さなことが、「透明人間」だった優しい透明くんを再び人間に戻すきっかけに。
猫弁はその背中を彼なりの…やり方でそっと押して、みんなが少しずつ優しい幸せを分け合う。 続きを読む投稿日:2013.10.28
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酸素は鏡に映らない No Oxygen,Not To Be Mirrored
上遠野浩平 / 講談社ノベルス
「自分」と「世界」とをめぐるささやかな冒険
3
昔、寺月恭一郎という男がいた。
彼は多くのものを手に入れながら、ある日あっけなくこの世から去った。
彼が本当の意味でこの世に遺していったもの、それは必ずしも多くはない。
その意味を理解するものも、多い…とは言えない。
――何故なら、それはすなわち「世界を支配する」という事の意味を問うことに等しいからだ。
そんなことは思いも寄らない、考えもしない少年たちが、寺月が遺したほんの一握りの遺産を、ある男から戯れに託される。
「世界を支配する」ということはどういうことなのか。
これは、世界のあれこれと比べてしまえばほんのささやかな、しかし「自分」と「世界」とをめぐる冒険のお話。
著者らしい切り口で、少年たちの小さな成長と少し不思議な出来事を描いた物語です。
また、著者の作品をご存じで、酸素という単語に「ひょっとして――」と感じられた方には、是非読んで頂きたいです。 続きを読む投稿日:2016.02.10
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ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師
上遠野浩平, 緒方剛志 / 電撃文庫
ペパーミントの風味が効いた名作
2
「傷つきたくない」という気持ちが誰かの中に有る限り、みんながみんな取り返しの付かない失敗をしている。
けれども、失敗して傷ついたからこそそこから前に進もうという意思が生まれる――心の痛みはそのためにあ…る。
傷つきたくない、それでも触れあいたいというシンプルなテーマをシンプルにアイスクリームに託した、ペパーミントの風味が効いた名作。 続きを読む投稿日:2017.01.09
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仮面ライダーSPIRITS(1)
石ノ森章太郎, 村枝賢一 / 月刊少年マガジン
かつてのヒーロー、じゃない
2
取り敢えずライダーのことは幼少時のヒーローずかん記事くらいの知識しかない自分にとって、初めて接する「仮面ライダー関連作品」です。
ピンチに陥った滝和也の耳に届くマシンの排気音、目に焼き付いたシルエット……。
人づてに耳にしていた、「仮面ライダー」というかつてのヒーローが今もヒーローとして戦っている姿、まさしくその物語の始まりのシーン。
作品は各ライダーを順番に登場させ、ゼクロスがメインとなる長いエピソードが始まり「新仮面ライダーspirits」へと続いていきます。在りし日の彼らの姿を知らない私のような立場の方でも、ひとたび読み始めれば彼らの魅力、激しい戦いの行方にページが止まらなくなります!
ちなみに、アマゾンにすっかり夢中になってしまったので、以後のレビューはアマゾン登場部分レビュー中心の予定です(゚∀゚ゞ) 続きを読む投稿日:2014.02.23
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トクサツガガガ(1)
丹羽庭 / ビッグスピリッツ
だいすきです!
2
自分が大好きなもののことを、
誰かに話すことをためらってしまったり、
それを大好きな自分に自信がもてなかったり、
誰かに大好きなもののことについて悲しい言葉を聞かされたり。
大好きであるということは…、
たくさんの葛藤を伴うし、
いやな思いもすることも、悲しい思いをすることもあります。
でも、大好きなものは、やっぱり大切なもので。
大好きなもののおかげで素敵な体験をいっぱいして、今の自分は大好きなものがあったから存在するし、
(未来のことはわからないけど)
今、自分が大好きなもののことを、
もっと素直に大好きでいたいというのは、当たり前のことですよね。
続きを読む投稿日:2016.01.30
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flat 1巻
青桐ナツ / 月刊コミックアヴァルス
そういえば…
1
ただなんとなく、それだけでじゅうぶんな毎日。それはとても得がたいもの。
そこに、イトコの秋くんとの出会い。
なんとなく、の中にあった「自分」と「相手」を、「そういえば…」くらいの感覚でふと気にしたり、…思い出したり、そこにまた素敵なものを見つけたり。ゆっくり淡々と独特の空気をただ受け入れるだけで同じ時間を過ごせそうです。 続きを読む投稿日:2013.12.28