momotaさんのレビュー
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プロフェッショナル 仕事の流儀 村松謙一 弁護士 どん底の会社よ、よみがえれ
茂木健一郎, NHK「プロフェッショナル」制作班 / NHK出版
なぜ、人は人を助けるのか ?
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NHK の人気TV番組を書籍化したもので、私は、この回を観ていませんでした
ので、気になって買ってみました。
私が弁護士に対して抱くイメージはあまり良くなくて、問題を抱えて困っている人
の弱みにつ…けこんで高額料金を取る, 金持ちの味方, 狡猾, 口達者,... みたいな...
もちろん、良心的な弁護士がいるであろうとも思っていましたが、あまり表に見えて
きませんでした。
本書で語られる 村松謙一弁護士の姿は、
社会のどん底に落ちてしまった人々を、人生のどん底に落ちた人が助けることで、
ともに再生して行く、あるいは再生に向かって歩む力を補い合って行く ... という
「共存」 の構図を、映し出しています。
心が震えるほどの共感と、存在への感謝とともに、ページを捲りました。
弱肉強食の社会の中で、「弱者とは誰か?」 と問えば、「もしかして自分も、ただ
今は落ちる前の状態にいるだけかも知れない」 とすら、思えてしまいます。
そして、周囲からも何からも見放されて、どん底に到ったと痛感した時、差し伸ば
した手に触れた手が、痛みを知り悲しみを知る人の、「どうすれば助かるのか」 を
知る人の、心に馴染む力強いものだったなら、人は生きていられると思いました。 続きを読む投稿日:2014.12.08
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デキる社員になるための25の法則
新田龍 / ゴマブックス
デキる人は、意識する人
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書籍説明に 25の習慣が全て記載されおり、「なるほど、確かに、そうである」
... と、深く頷いたことろで、その中身が気になってきます。 そして、読んでみました。
デキる社員の言葉遣いが、やや堅過…ぎたり、くど過ぎたり、... の印象はありつつも、
こんな人がいたら、確かに 「デキる人」 と認識することは間違いありません !
個人的には、(23) の章が気に入っています。
ダメ社員としての経験は、デキる社員に必要なことと思います。 要するに、どこで
その切り替えをするかが問題なわけで、「あきらめる」 という、一見ネガティブな選択は
同時に、「別の事を選択する」 という ポジティブさであるということ... そう認識すると、
後ろめたさ や 失敗意識 を持たずして、どんどん前に進んで行けそうですね !
まず、意識を持って行動しなくては、それは 「習慣」 にならない !
自分の仕事の姿勢を見直したい時に、また読み直したい 1冊です。 続きを読む投稿日:2014.11.25
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アグネス白書I
氷室冴子 / 集英社コバルト文庫
え~、なんで~ !!!???
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表紙イラストは、発行当時のまま、原田治さんです !!
クララ白書の3人は、高等科に進学し、寮も 「アグネス」 に移りましたが、
ここに、超優等生の編入生が加わります... というか、仲間に入れてあ…げようと
するも、なぜか、酷い拒絶にあう... あれっ? 誰からも好かれる 「しのぶちゃん」
なのに、ど~してよ ?
おまけに、自分のデートは うまくいかないし、先輩の嫉妬に巻込まれるし、
あ~、せっかく 「花の高校生 (古すぎる表現 ! )」 になったのに、あっちこっち
不協和音で、ムカムカ, ドタバタ, メソメソ, ...
でも、やっぱり、何か楽しい雰囲気の小説なのです。 続きを読む投稿日:2014.12.31
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アグネス白書II
氷室冴子 / 集英社コバルト文庫
いいな ! 光太郎 !
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シリーズ最終巻です。
ここで特筆すべきなのは、やはり、女の友情, 感情,... に
驚くべき理解力をもつ、しのぶ (しーの) の恋人 光太郎です!
大学生にして、この包容力! 素晴らし過ぎる !
… 一見して凡庸、どこか優柔不断な感がありつつ、信頼, 安心していられる相手
... もしかしたら、「物足りない奴」 とか 「(恋人として) 退屈」 というイメージ ?
いえいえ、そういうところが、とっても魅力的な 光太郎です ! 続きを読む投稿日:2015.01.10
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刺青の男
レイ・ブラッドベリ, 小笠原豊樹 / ハヤカワ文庫NV
見てはいけない部分
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プロローグ : 私が初めて 「刺青の男」 と出遭う場面です。
暑いのに、長袖シャツで 襟を閉じ、汗を流して歩いて来た男。
その全身は、妖しく魅力的な絵画で埋め尽くされていました。
男によると、そ…の刺青は 夜になると動き出し、未来を語りだす...
そして、18 の刺青がそれぞれの物語を語り始めます。
エピローグ : 男の体に唯一残る空白部分に 映し出されるのは
刺青の物語ではなく、そこを覗き込んだ 本人の一生。
物語を見終え 聴き終えた私は、最後に そこを眺めます。
見えたのは... ? そして... ?
幻想怪奇な 18の短編は、各々が独立していながら
既にある社会問題の未来予想図を 曼荼羅 (刺青ですが)
の様に描いています。
そして、今読み返してみると、
1951年に 著者が垣間見せた未来への筋書き上に
自分達が存在している... という感じがしてきます。 続きを読む投稿日:2014.04.30
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ブランコのむこうで
星新一 / 新潮社
夢と現実のファンタジー
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子供が読んでも、大人が読んでも、それぞれの立場で感じられる小説です。
自分と瓜二つの少年を見かけて、後を追って行った先で迷い込む 「夢の世界」
... 自分の夢ではなくて、どこかで眠っている誰かの…夢...
「夢の世界」 は、何でも自由に思い通りにできて、楽しいはずなのに、
どこか、物悲しい, 懐かしい, 不安... があるのは、なぜ ?
乗る人もないのに揺れている ブランコ ... 不思議 ?
きっと、ちょっと前まで、誰かが乗っていたんだよ...
主人公の迷い込んだ不思議な 「夢の世界」 と、その夢の持ち主の 「現実の世界」 が、
交互に揺れ動く... 味わい深い ファンタジー 続きを読む投稿日:2015.01.10