ザ・原発所長(上)
黒木亮(著)
/ボイジャー
作品情報
福島第一原発・吉田昌郎所長をモデルに描く大河小説!原子力の曙から黄昏までを駆け抜けた運命の技術者。
戦後、日本が原子力の導入に邁進していた頃、大阪の商業地区に生まれた富士祥夫は、東工大で原子核工学を専攻し、日本最大の電力会社に就職する。そこで彼を待ち受けていたのは、無限の原子力エネルギーという理想ではなく、トラブル続きの原発とコストカットの嵐が吹き荒れる本社、そして原子力という蜜に群がる政財官や裏社会の人間たちだった――。
【目次】
プロローグ、第1章 金甌の子、第2章 ブルーバックス世代、第3章 ローアウト精神、第4章 阿武隈の熊、第5章 コストカット推進、第6章 2つのジンクス、第7章 定期検査、第8章 裏街道の男
【著者】
黒木亮
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資をめぐる攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。主な作品に『巨大投資銀行』『メイク・バンカブル!』『地球行商人』など。早稲田大学時代は箱根駅伝に2度出場し、『冬の喝采』で自身の競技生活を描いた。1988年から英国ロンドン在住。
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商品情報
- シリーズ
- ザ・原発所長(上)
- 著者
- 黒木亮
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- ボイジャー
- 書籍発売日
- 2020.02.06
- Reader Store発売日
- 2024.04.01
- ファイルサイズ
- 2.9MB
- ページ数
- 411ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (3件のレビュー)
-
「ザ・原発所長」。妙な、というより、ひどい書名だと思ったが、読み終わって、なぜ著者があえてこんなタイトルにしたのか、わかったような気がした。
例えば、「ザ・教師」という言い方は、「教師としてすべき…ことを完璧に行っている、これこそ教師」といった意味合いで使われる。では「原発所長」のすべきこととは何か。
まず、営利組織の「所長」という立場から考えると、なすべきこととは、自らが一員である組織の利益を考えることである。本書には、電力会社の不都合な事実、汚職、隠蔽が、現実通りに描かれている。富士(=吉田)が会社の利益を津波対策に優先させたことが大惨事に繋がったことにも触れ、自殺とされているが殺害された可能性が高い、西村成生氏の実際の事件について語る場面もある。そして富士(=吉田)は、喜んでではないにしろ、それらを受け入れ、黙認する。大きな組織の中では仕方がないという意見もあるだろうが、こうした欺瞞に耐えられず、反旗を翻し、会社を告発した人もいる。だが富士は、それらをともかくも仕方がないことと、受け入れていると読める。それはおそらく、それが営利組織に属し、責任ある地位を任された者のとるべき態度であると、富士が判断したからだろう。
次に、原発という特異なものを預かる「所長」として、重大事故が起こってしまったときになすべきこととは何か。それは当然、被害を最小限に抑える努力をすること、従業員の安全を可能な限り、確保することだろう。本書の下巻には、ほとんど制御不能となった原発と命がけで戦う姿が、緊迫感を持って詳細に描かれている。周知のように、所長は、官邸や上層部の指示よりも、今現在、絶対にしなければならないことを優先する。我々は現在、東日本が壊滅を免れたのは僥倖、風向き等、いくつもの偶然が重なったおかげと知っているが、所長をはじめとするスタッフの、必死の責任ある姿は共感を呼び、彼は英雄となり、映画化されるに至った(私は、門田隆将の本を下敷きにしているとわかった時点で興味を失い、未見であるが)。満足な食料も水もなく、流せないトイレにはただ汚物が重なって盛り上がっている状況で、所長は、投げ出すことも、逃げ出すこともなく、力の限り責任を果たそうとした。
つまり、富士(=吉田)は、企業の一員としても、原発に携わる責任者としても、原発所長として己の信ずる本分を全うしようとした、だからこそ本書の題名は「ザ・原発所長」なのだ、私にはそんな風に思えた。
小池百合子の嘘八百を暴く著者の文章を読んで以来、私は著者を信用しているので、この本の記述も正確だろうと思われる。原発に賛成であれ、反対であれ、「ザ・母親」、「ザ・医師」、「ザ・~社記者」「ザ・~社課長」等、現在の自分の立場、関心のある他者の立場に考えを巡らせながら読まれるべき本であると思う。本書を読んで損はない。続きを読む投稿日:2022.08.15
東日本大震災時に、福島第一原発の所長であった吉田氏をモデルとした黒木亮による小説。
上下に分かれており、上巻は吉田所長をモデルとした主人公の生い立ちに関わるため、やや冗長な印象を受けたが、下巻への繋…がりとして評価。続きを読む投稿日:2023.06.26
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