増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代
倉本一宏(著)
/文春新書
作品情報
2024年大河ドラマ「光る君へ」(主演・吉高由里子)の世界がこの1冊に!
紫式部の時代がわかる!
『源氏物語』のパトロンでもあった藤原道長。世界記憶遺産に認定された日記『御堂関白記』から、王朝の様子、権力の動きが明らかに。
※この電子書籍は、2013年6月に文藝春秋より刊行された新書版に「紫式部と『源氏物語』」の章を加えた新書増補版を底本としています。
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商品情報
- 著者
- 倉本一宏
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2023.08.18
- Reader Store発売日
- 2023.08.18
- ファイルサイズ
- 11.4MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
-
御堂関白記、小右記、権記を基に藤原道長の人物像を炙り出した作品。著者は御堂関白記が世界記憶遺産に推薦されることが決まった際に、推薦に関わる仕事をしていた方。なので御堂関白記や小右記などを丁寧に読み解い…てくれているため、その時その時の道長の行動、感情などがよく分かります。道長のような絶対的な権力を持っていたとしても、いや持っているからこそ、その権力を維持できるか、後世に残せるかに不安がり、怯えている様子が伝わってきます。逆に娘が中宮になった時の絶頂感や喜びも伝わってきます。著者も言ってましたが、絶対的な権力を持ち客観的な成功を収めていることと、本人自身の幸福はイコールとは限らないこと。幸福な人生とはいったいどんな人生なのでしょうか。時の権力者の生涯を通じて考えさせられます。続きを読む
投稿日:2023.12.15
この本は長らく絶版となっていたが、著者がNHK大河ドラマの『光る君へ』の時代考証を担うのに併せて、「紫式部と『源氏物語』」の補章を加えて、2023年夏に増補版として再出版された。
内容は、ユネスコの「…世界の記憶」に指定されている藤原道長の日記『御堂関白記』に加えて、藤原実資の日記『小右記』、および藤原行成の日記『権記』を軸として、更に他の資料も加えて、藤原道長の生涯と人物を炙りだそうとしています。
(道長の栄達の歴史はここでは省略します)
「御堂関白記」は、日本史上最高の権力者の日々の記録であり、他の日記が、他人が読むことを前提に貴族社会の共有財産として認識されているが、「御堂関白記」は公開されるのを前提にしておらず、表紙の見返りに「破却すべし」と書いてあり、他の古記録とは決定的に異なるそうだ。
また、日記から見えるのは、「権記」を書いた行成は、道長に対して尽力してきた側近だが、意外と道長に対しては屈折した関係にあり、「小右記」の実資は道長に対して批判的でありながら、実際はお互いに尊重しあっていたというのが面白い。
増補された最終章の「紫式部と『源氏物語』」について、著者は、道長と紫式部の関係は、もっぱら道長長女の中宮彰子の女房として、また「源氏物語」および「紫式部日記」の執筆への支援(または命令)に限られるとし、「二人が幼なじみであったとか、まして恋仲であったなどとは、歴史学の立場からは、とても考えられることではないのである」と、冒頭から素っ気ない。
2024年のNHK大河ドラマ「光りの君へ」の時代考証の担当者としては、身もふたもない言い方である。
<蛇足>
以下、「東大新聞オンライン」に掲載されている「NHK大河ドラマ」に関して著者のインタビュー記事から抜粋しました。
「あまりにも史実に反しているストーリーはやめてほしいと考証会議で言っているのですが、受け入れてもらえない場合のほうが多いので、一応言うだけ言ってはおくという立場を取っています・・・『光る君へ』は、紫式部と道長が幼なじみだという設定から出発しているのですが、実はそもそもこの設定自体が史実に反します。NHKが制作発表の段階で発表してしまったため変えられないので妥協することにしましたが、実際には、2人が幼なじみだったということも恋仲だったということもあり得ません」
<疑問>
道長は、一条天皇の寵愛を娘の彰子へ繋げる手段として「源氏物語」を使ったのは、これまでも言われてきたので、違和感はないのだが、「源氏物語」は紫式部が宮廷へ上がる段階では、既にかなりの全体構想も出来上がっており、「須磨・明石」辺りまでは既に書き終えていたという。そんな以前から、道長は、何故、どういうきっかけで、紫式部に、執筆を依頼し、当時貴重品である紙や筆を渡していたのかが、本書では触れられていないのが残念です・・・別のどこかで理由が書いてあればいいのだが・・・これは歴史の闇の中ということか?続きを読む投稿日:2024.05.09
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