コ・イ・ヌール なぜ英国王室はそのダイヤモンドの呪いを恐れたのか
ウィリアム・ダルリンプル(著)
,アニタ・アナンド(著)
,杉田七重(訳)
/創元ライブラリ
作品情報
英国王室の王冠で光り輝く、コ・イ・ヌール(光の山)と呼ばれる巨大なダイヤモンド。権力や富をもたらすと信じられたその宝石は、これまで数々の権力者に崇められると同時に、数多くの悲劇や凄惨な出来事を巻き起こしてきた──。豊富な資料を駆使して世界一有名なダイヤモンドの数奇な物語を描く、傑作ノンフィクション!/【目次】はじめに/第一部 玉座の宝石/第一章 インド前史のコ・イ・ヌール/第二章 ムガル帝国のコ・イ・ヌール/第三章 ナーディル・シャー イランのコ・イ・ヌール/第四章 ドゥッラーニ帝国 アフガニスタンのコ・イ・ヌール/第五章 ランジート・シング ラホールのコ・イ・ヌール/第二部 王冠の宝石/第六章 灰の町/第七章 少年王/第八章 イギリスへの道のり/第九章 万国博覧会/第十章 最初のカット/第十一章 ヴィクトリア女王の「忠実なる臣民」/第十二章 宝石と王冠/第十三章 「我々はコ・イ・ヌールを取りもどさねばならない」/謝辞/訳者あとがき/文庫化に寄せて
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商品情報
- 著者
- ウィリアム・ダルリンプル, アニタ・アナンド, 杉田七重
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元ライブラリ
- 書籍発売日
- 2023.03.17
- Reader Store発売日
- 2023.03.20
- ファイルサイズ
- 12.2MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
-
コ・イ・ヌールと呼ばれたダイヤモンド、その大きく光り輝く宝石は、インド、ペルシャ、アフガニスタン、パンジャブといった南アジアに覇を唱えた帝国歴代権力者の権威の証となり、幾多の闘いや流血の中を譲り譲ら…れ、奪い奪われ、遂にはインド亜大陸を支配したイギリスの手中に帰することとなった。その数奇な来歴と凄絶な歴史を描いたノンフィクション。
著者の資料の博捜によっても、これがコ・イ・ヌールと明確にその登場を明らかにすることはできず、ある時点でムガール帝国の所有となったとしか言えないらしい。
はっきりしているのは、それがインドを離れたとき。1738年のペルシャ、ナーディル・シャーによるインド侵攻により、ムガール帝国の莫大な財宝が戦利品として持ち去られたが、その中にコ・イ・ヌールもあった。
1747年ナーディル・シャーは部下により殺害される。そのどさくさの中、護衛隊の大隊長だったアフガン人のアフマド・カーン・アブダーリは、皇帝の正室からコ・イ・ヌールを進呈され、その足でアフガニスタンに。一気に勢力を広げ、ドゥッラー二帝国を築く。
しかし、帝国は孫の代に崩壊。帝国東部の地を実質的に支配していたシク人、ランジート・シングの手にコ・イ・ヌールは渡る。1813年のこと。
ペシャーワル、カシミールと順調に領土を拡大したランジート・シングは、シク国家を樹立。彼は殊の外コ・イ・ヌールを珍重した。その彼も1839年に死去。後継者争いで、彼の死後わずか4年で3人の王、2人の皇太子と皇太后が死亡。残されたのは5歳のドゥリープ・シング。そこに起こったのが、2度にわたる東インド会社とのシク戦争。この敗北によりパンジャブはイギリスの領土となり、またコ・イ・ヌールもイギリス、ヴィクトリア女王に献上されることとなった。
こうして、コ・イ・ヌールは今もイギリス、ロンドン塔に飾られている。
イギリスは相手にしていないが、今もインドやパキスタンからはコ・イ・ヌールの返還要求が折に触れ出されているとのこと。
世界的に歴史的文化財の返還要求が出されているが、一つの宝石にこんな数奇な来歴、出来事があったのかと粛然とする思いで一杯だ。
続きを読む投稿日:2023.04.19
王権の象徴とされた宝石の数奇な運命。
やっぱりリカットで元の半分くらいになってたのねぇ。
テロ組織は論外として、インドやパキスタンが返還を求めているけど、あの熱量の中に放り込んだら戦争や内紛でも起きて…どさくさ紛れで今度こそ二度と表舞台には戻ってこない気がする。
いつの間にかどこぞの富豪の宝石箱の片隅に、みたいな。
単純に宝石としてのレア度だったら深紅のダイヤとか明瞭なグリーンやブルーのダイヤの方が上なんだろうに、歴史成分上乗せマシマシでねぇ。
まさに人を狂わせるダイヤ。続きを読む投稿日:2023.09.03
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