「諜報の神様」と呼ばれた男(PHP文庫)
岡部伸(著)
/PHP文庫
作品情報
「枢軸国側諜報網の機関長」と連合国側から恐れられた「インテリジェンス・ジェネラル」小野寺信は、なぜ、欧州の地で価値ある情報を入手できたのだろうか。それは、小野寺が人種や国籍、年齢、宗教などを越えて、あらゆる人たちと誠実な人間関係を結んでいたことと無縁ではない――(序章より)「インテリジェンス」の極意を体現した日本人武官「小野寺信」。イギリスの情報機関、MI5が徹底監視の対象として“個人ファイル”を作った唯一の日本人武官といわれるこの男は、独ソ開戦や、アジアでの英軍の動き、原爆開発情報といった様々な重要機密にとどまらず、ヤルタ会談の直後には、ソ連がその3カ月後に対日参戦をするという情報まで掴んでいた――。第22回山本七平賞受賞の気鋭のジャーナリストが、丹念に第一級史料を調べ上げ、取材を重ねる中で、見極めることのできた真の愛国者「小野寺信」の流儀。 [目次構成]●序章 インテリジェンスの極意を探る ●第一章 枢軸国と連合国の秘められた友情 ●第二章 インテリジェンス・マスターの誕生 ●第三章 リガ、上海、二都物語 ●第四章 大輪が開花したストックホルム時代 ●第五章 ドイツ、ハンガリーと枢軸諜報機関 ●第六章 知られざる日本とポーランド秘密諜報協力 ●第七章 オシントでも大きな成果 ●第八章 バックチャンネルとしての和平工作 *本書は、二〇一四年に刊行された『「諜報の神様」と呼ばれた男――連合国が恐れた情報士官・小野寺信の流儀』の副題を改題し、「文庫版まえがき」を新たに書き下ろして刊行するものです。
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商品情報
- シリーズ
- 「諜報の神様」と呼ばれた男(PHP文庫)
- 著者
- 岡部伸
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 2023.01.31
- Reader Store発売日
- 2023.02.01
- ファイルサイズ
- 13MB
- ページ数
- 432ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
連合国がおそれた、インテリジェント・オフィサー 小野寺信を描いたドキュメンタリーです。
すさまじかった。読後、まず、思い浮かんできたのは、漢の軍師、張良でした。
まさに情報こそが国家の生死を決する…大事であることが、伝わってきます。
教科書では無味乾燥に、無関係に並ぶ、戦争や事件が裏で巧妙につながっていることが感じられました。
遠く離れた北欧・東欧の国々について、感謝の念が沸き上がるとともに、戦後日本が国土を保ちえた幸運を感じました。
気になったことは以下です。
■インテリジェント・オフィサーの条件
・人種、国籍、年齢、宗教を超えた、あらゆる人たちとの誠実な人間関係
・祖国を失った人たちを友人としてサポートしたこと
・卓抜した言語力、ドイツ語、ロシア語
・オシント 情報分析の天才
・守秘義務を守ろうとした小野寺氏は本物のインテリジェント・オフィサーとして尊敬を集めた
■ソ連の脅威に対する周辺国の友情 ポーランド、そして、エストニア、フィンランド、ハンガリー、ドイツ
・満州でみたものは近代化したソ連軍であった。ソ連侮れず、ソ連とどう対峙するのかが、彼の脳裏へ組み込まれていく。
・フィン族はアジアの血が含まれていること、ソ連の脅威下にあることが日本に共感を生む
・地下に潜ったポーランド情報将校を救った小野寺の男気が、欧州へのインテリジェント網へとつながっていく
・オシント:米核兵器の開発を予測、小野寺の先見が、東欧にインテリジェンスへ伝達されてる
■中国蒋介石と、ナチスドイツ、スターリンのソ連の脅威
・同盟国をもかく乱するナチスドイツの情報戦
・バルバロッサ、ナチスドイツのソ連侵攻を読む、対中国戦を終了させて、早期にソ連に向き合う工作は頓挫、中国での小野寺機関は解散へ
・蒋介石から小野寺へ送られた自筆の「和平信義」のカフスボタン
■小野寺をつないだ、ポーラントとの数奇な運命
・日露戦争の明石機関がロシア革命の背後に
・ポーランド孤児の救出をポーランドはわすれていなかった。
・「偉大なるサムライ」へ、連合国側となったポーランドから、敵味方を越えて、枢軸国である日本へインテリジェンスの親密な協力が
■杉原千畝は部下
・リトアニアのカウナスは、独ソ最前線の情報基地
・ポーランド将校を逃がすためのルートが、命のビザへ、6000人を超すユダヤ難民が日本経由でアメリカへ
・背後には、東欧にめぐらされた小野寺機関の支援があった
■日本の命運を決めたヤルタ会談
・日本の運命がきめられたのは、45年5月の2週間のわずかな時期であった。
・ポーランドの長年の厚意によってもたらされた、貴重な情報「ドイツ降伏後3カ月後にソ連参戦の報」は、大本営中枢部に伝わっていないかった
・だが、北海道を守ることができた。
■バックチャネル、スウェーデン王室の配慮
・スウェーデン国王の日本皇室への配慮、勝っているときにすでに和平工作の示唆が
・大戦中、中立国のスウェーデンは日本の情報活動を黙認してくれていた。
・和平には陛下を動かす以外に道はない。小野寺は、独自にスウェーデン王室ルートへ接近。
・小野寺の意をくんで、スウェーデン国王からアメリカ大統領トルーマンへ降伏、「国体護持」を伝えて頂いていた
・さらに、英国王室へも和平調停のきらいがあった
目次
文庫版まえがき 現代日本のインテリジェンス強化のために
序章 インテリジェンスの極意を探る
第1章 枢軸国と連合国の秘められた友情
第2章 インテリジェンス・マスターの誕生
第3章 リガ、上海、二都物語
第4章 大輪が開花したストックホルム時代
第5章 ドイツ、ハンガリーと枢軸諜報機関
第6章 知らぜざる日本とポーランド秘密諜報協力
第7章 オシントでも大きな成果
第8章 バックチャネルとしての和平工作
あとがき
主要な参考文献
ISBN:9784569902975
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:432ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月15日第1版第1刷続きを読む投稿日:2023.05.11
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