源義経
五味文彦(著)
/岩波新書
この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
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(2005.05.05読了)(2005.03.21購入)
源義経を語るときの資料となるのは、「平治物語」「平家物語」「吾妻鏡」「義経記」といったところになるようです。系図については、「尊卑分脈」、貴族…の日記は「玉葉」というものがあるようです。
どんな資料なのかを「大辞林」で調べると、以下のように出ています。
【平治物語】軍記物。三巻。作者未詳。鎌倉時代に成立。平治の乱(1159年12月)の顛末を語り、治承・寿永の乱への展開をも暗示する。和漢混交文で、武士の活躍や敗者の哀話などをいきいきと描く。
【平家物語】軍記物。作者未詳。平清盛を中心とする平氏一門の興亡に即して歴史の激動をとらえている。琵琶法師たちの語り(平曲)によって多くの人に享受され、和漢混交文の詞章も洗練されていった。諸本により書名・巻数・文体・内容も多様だが、一四世紀半ばに校訂された覚一本(一二巻)、それを基として江戸時代に出版された流布本(灌頂巻とも一三巻)が、今日では広く読まれている。また、「源平盛衰記」(四八巻)はもっとも膨張した異本といえる。
【吾妻鏡】鎌倉幕府の事績を記した編年体の史書。五二巻。鎌倉幕府の編纂になるといわれる。1180年(治承4)から1266年(文永3)までを収める。幕府の公用記録のほかに、「明月記」などの公家日記や古文書類を引用史料として編まれ、変体漢文で記されている。わが国最初の武家記録。
【義経記】軍記物語。八巻。作者未詳。室町前期に成立。源義経の悲劇的生涯を描いた一代記。義経伝説を多く含み、後世の文学・演劇に豊富な素材を与えた。
【尊卑分脈】源・平・藤・橘・菅原などの諸氏の系図。洞院公定(1340-1399)著。その後も補訂・転写が行われ、三〇巻本・一四巻本など種々の写本がある。諸系図中、最も信頼されるもの。
【玉葉】九条兼実の日記。記事は1164年から1203年にわたる。当時の政治・社会情勢や朝廷内部の事情・風俗などについて詳しい。
「吾妻鏡」というのは、物語ではなく史書だったんですね。「玉葉」は、貴族の書いた日記だったんですね。今まで読んだ本では、どの本に書いてあるという事は記述してあっても、どういう性質の本かは余り触れていなかったように思う。
このレビューを書くために調べてみてよかった。(書いてあったのかもしれないけど、自分で知りたいと思ったときじゃないとなかなか印象に残らないものです。)
司馬遼太郎の「義経」、宮尾登美子の「義経」と読んだが、それぞれこれらの資料を活用しながら、独自の物語に仕上げているのが分かる。「大塚ひかりの義経物語」は、「義経記」の現代語訳なので、義経物の原典ということになる。
●弁慶
「吾妻鏡」の弁慶は、義経が西国に落ちてゆく時に従うものの一人として、記述されているぐらいという。
「平家物語」では、一の谷の合戦で始めて登場するという。
弁慶は、「義経記」や「弁慶物語」で大きくなったということになる。
●京都の義経
木曾義仲を滅ぼした義経は、平家の所領の一部を任されます。文書の実務家とかが必要になりますが、その中の一人が義経の弟の良成です。物語では余り出てくる事は余り出てきませんが、義経と仲がよかったようです。
●追われる義経
摂政兼実の子良経が「よしつね」と源義経とが訓みが一緒なので義行と呼ぶことにした。ところが探索してもなかなか見つからないので、よくゆくよいう名前のためだと義顕に改めた。
●毛越寺
平泉の毛越寺の毛は毛の国(上野こうずけ・下野しもつけ)を意味し、越は越の国を意味するという。即ち、東北、関東、北陸の支配を意味する。
☆関連図書(既読)
「義経(上)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
「義経(下)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25
「大塚ひかりの義経物語」大塚ひかり著、角川ソフィア文庫、2004.09.25
「義経」宮尾登美子著、日本放送出版教会、2004.11.25
「奥州藤原氏 平泉の栄華百年」高橋崇著、中公新書、2002.01.25
「大系日本の歴史(5) 鎌倉と京」五味文彦著、小学館ライブラリー、1992.12.20
著者 五味 文彦
1946年 山梨県生まれ
1970年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
専攻 日本中世史
(「BOOK」データベースより)amazon
全国各地に残る数多くの伝説、そして彼の名前に由来する「判官びいき」という言葉―このように今なお高い人気をもち、日本史上最も有名な英雄となっている源義経とはいったいどういう人物だったのか?義経に関わる文書・記録や物語類などを広く探索して、単なる「悲劇のヒーロー」ではないその実像と魅力の秘密に迫る。続きを読む投稿日:2010.02.02
源義経の実像をえがくことを中心としつつ、伝説のなかの義経像についても説明をおこなっている本です。
著者は「はじめに」で、「よるべき史料が少ないというよりも、逆に多くあって、しかもいずれも雄弁」である…からこそ、かえって義経の実像を知ることがむずかしいと述べています。そのうえで、史料の批判をおこなって実像のみをとり出すのではなく、『義経記』に代表されるさまざまな文学作品にえがかれることになった義経像にも目を向け、「義経に託された、その創作された時代の思いを探る」ことを同時に目標として掲げています。
こうした著者のもくろみは興味深く思われたのですが、基本的には義経の「実像」を明らかにすることに、本書の叙述の軸足が置かれているといってよいと思います。歴史学者としては、こうした態度を大きく越え出ることはむずかしいのかもしれませんが、義経像の変遷とそれをはぐくんだ受け手についても、もうすこしくわしく紹介してほしかったという思いがあります。続きを読む投稿日:2022.10.28
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