風姿花伝 (花伝書)
世阿弥(著)
,野上豊一郎(校訂)
,西尾実(校訂)
/岩波文庫
作品情報
一般に『花伝書』として知られる『風姿花伝』は,亡父観阿弥の遺訓にもとづく世阿弥(1364?―1443)最初の能芸論書で,能楽の聖典として連綿と読みつがれてきた.室町時代以後日本文学の根本精神を成していた「幽玄」「物真似」の本義を徹底的に論じている点で,堂々たる芸術表現論として今日もなお価値を失わない.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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商品情報
- シリーズ
- 風姿花伝 (花伝書)
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波文庫
- 書籍発売日
- 1958.10.25
- Reader Store発売日
- 2021.11.25
- ファイルサイズ
- 35MB
- ページ数
- 126ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (44件のレビュー)
-
室町時代の能楽師・世阿弥が能を行うにあたっての精神や心得をその芸術論とともに家伝として遺し伝えられたあまりにも有名な秘伝書。
完成形は全7編によりなり、特に第7編目の『別紙口伝』は一代一人相伝と記され…ていて、例え一子であっても器量が無ければ伝えてはならないとしている。
全7編の概要は次の通り。
第1編『年来稽古条々』一人前の能芸者になるまでに辿るその年齢に見合った練習の仕方と境地を記載。
第2編『物学(ものまね)条々』女、老人、法師、修羅などその役柄に合わせた演じ方を記載。
第3編『問答条々』緩急や陰陽などを踏まえた演じ方や、相手に合わせた変化、慢心の禁止、花・幽玄・風情など世阿弥ならではの能芸術論を問答形式で論じる。
第4編『神儀云』申楽(さるがく=能)の歴史を記載。
第5編『奥儀讃歎云』本作を記すに到った背景を記載。本作を『風姿花伝』と名付けている。
第6編『花修云』能の極意を記載。優しい言葉を選ぶこと、珍しい風体になること、音曲と風情を合わせること、能には強き・幽玄・弱き・荒きがあり強きと幽玄を行うこと、稽古を重ねることで年老いても花は残るなど。
第7編『別紙口伝』能が目指すべきは花、そして毎回珍しいものを演じること、物まねはちょっとズラして真似た方が面白い、あらゆる物まね芸を修得すればそれは引き出しになる、「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」、因果を知ること、など能の最終奥儀を記載。
有名な言葉「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」(パンチラのようなものか?)にもあるように、本書で世阿弥が能(申楽)に一貫して求めていたものは「花」である。美しい、珍しいといって観賞されるが、やがては散ってしまう花のようにあるべきだとする。また、そもそも芸能とは諸人の心を和らげて感動を与えるもの、寿命増長の基となるものであるとした上で、珍しい風体をして優しく柔らかく、時にはその役に相応しい強さをもって演ずれば観客に面白く受け入れられるとしている。
現代では古典芸能として知られる能(申楽)であるが、こうしてみると、いかにすると観客を面白さで惹きつけることができるかということがまず考えられていて、1人前のプロとして大衆心理を踏まえた演出と演技を求める内容が大半を占めているように思われる。その中で、世阿弥が考える芸の美学の追求としての「花」が結び付けられ、実際面として「幽玄」や「風情」「物まね」「珍しさ」「緩急」「陰陽」などのキーワードで彼なりの芸理論が語られるのである。
そして、舞台装置の妙や役稽古ついてや音楽と舞の同期合わせなども含め、ひたすら芸のあり方・やり方を熱心に考え、どうやって観客に面白がってもらおうかと考える姿は、時空を超えてとても真に迫って感じられるものであり、なかなか興味深いものであった。
本書の趣旨はこうした芸の奥儀を家伝として彼の家へ相伝することにあったが、あまりにも熱心に追求し過ぎたため、それが「花」という美学への昇華とか、パンチラの推奨や微妙にズラした物まねの方が面白いなど人間心理をつくものであっただけに芸術論にまで高めることができたといえる。しかし、こうして家伝として秘密に伝えられることになったが故に、時代の移ろいとともに大衆受けする芸能から切り離され古典芸能となったことは、世阿弥の芸術感性の確かさを表すとともに、世阿弥が目指した面白さの追求からはかけ離れることになってしまったともいえる。
世阿弥の芸に対しての強い想いの息吹が伝わってくるかのような作品である。
ところで、パンチラを技にできるなんて、あるいは美少年だった世阿弥だからこそできたともいえないだろうか?(笑)続きを読む投稿日:2015.11.03
能で有名な世阿弥の書
初心忘れるべからず
秘すれば花など記載されている
「初心」とは「始めた頃の気持ちや志」すなわち「初志」ではなく、「芸の未熟さ」、つまり「初心者の頃のみっともなさ」なのです。
初…心者の頃のみっともなさ、未熟さを折にふれて思い出すことにより、「あのみじめな状態には戻りたくない」と思うことでさらに精進できるのだ、と彼は説いています。
「初心」は若いころの初心を表わしています。
しかしそれに続いて「時々の初心」「老後の初心」と言われている。続きを読む投稿日:2023.05.06
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