この作品のレビュー
平均 3.3 (5件のレビュー)
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自民党政治はあまりにひどいが、それに代わるべき野党も魅力を欠いていて選択肢にならない。しかし「こんな政権なら乗れる」という内容です。
具体的な説明は次のようなもの→安倍晋三が示したヴィジョンである…「トリクルダウン」に国民が幻想を持ったがすぐに幻滅に変わった。しかし(民主党系の)野党はそれに代わる魅力的なヴィジョンを示せていない。保坂区長の施策はまさに魅力的なヴィジョンの一つのありかたを示しているのではないか。
この説明は説得的とは思えません。「トリクルダウン」とは言葉そのもの印象が恐ろしくショボいし、新自由主義的な匂いもプンプンする。民主党が大勝した2009年国政選挙で国民は「新自由主義にNO」を突き付けたと書いていますが、その国民が「トリクルダウン」に期待したとは考えられないですね。それに代わる説明が必要でしょう。また中島はまともなヴィジョンを示していた小沢・鳩山をまったく評価していない。小沢については強権的だと批判しているが、自民党は常に強権的だった。小沢一郎に対して毀誉褒貶はあるでしょうが、従来の利権を広い範囲で潰そうとした小沢一郎に対して、自民党を含む支配層がひどい反発をした。小沢一郎の政治団体に対して検察が強引な捜査を行ったのもその現れの一つ。結果は検察が完敗(つまり冤罪)だったのだが、「強権的」という言葉はこのような行為に使うべき。
実際、中島は自民党に対して非常に甘い見方をしている。
「自民党は公明党と成熟した関係を保っています(p42)」。
忖度メディアはそういわないがこれは単なる野合です。票が貰えるなら組む相手は何でも良い、ということですが、統一協会問題と同じ構造がある。
中島自身も自民党(あるいは一部の人たち)に対して成熟した関係を保っているので、その発言をちゃんとしておかないと…ということかなと疑ってしまいます。
おもしろいと思った部分は、保守vsリベラルという従来の対立軸に替えて、「リベラルvsパターナル(権威主義)」と「リスクの社会化vsリスクの個人化(自己責任)」という対立軸を唱えているところ。
また、保坂区政での「子どもの声は騒音なのか」という議論も興味深かった。もともとはドイツで行われた議論だが、日本でも取り入れれば良い。ただ、保坂は区長という立場上の宣伝的な意見がありそうなので、評価は保留です。続きを読む投稿日:2023.06.14
政治のことがわからないので勉強のために読みました。
世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。
印象に残ったのはパター…ナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。
自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。
保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。
また、不動産を公共財として使うという政策も、さまざまな書籍で語られているポスト資本主義を体現するものだと感じました。
自分はそんな価値観に共感できるので、この本で勉強した内容を頭に置きつつ、政治に参加していきたいと思います。続きを読む投稿日:2021.10.04
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