食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史
ルース・ドフリース(著)
,小川敏子(訳)
/日経ビジネス人文庫
作品情報
2016年1月に刊行された同名書の文庫化。○都市の夜景を彩るライト、地平線まで広がる穀物畑・・・・・・空から眺めれば、人類の活動の痕跡は至るところにみられる。人間は生息数を何倍にも増やし、生息分布を拡大したという意味において、生物界における極端な成功例である。何十億人もの人々のための食料生産と住宅供給は、地球を変える巨大な力になっている。 数万年前までは他の動物と同様に野生動植物の狩猟と採取にだけ頼っていた人類が、なぜ食料生産に成功し、爆発的に生息数を増やすことができたのか? 本書は、コロンビア大学教授でマッカーサー・フェローでもある著者が、人類が自然をコントロールし、食料生産を増やしていった過程を歴史的観点から描くもの。○これまで人類は、大河の恵み、焼畑、鶏糞や屎尿など肥料の工夫、そして近代以降は種や品種の改良と化学肥料、農薬の発明によって、食料危機を何度となく乗り越えてきた。一方でこの100年の急激な食料増産は記録的なペースだった。その結果、人口急増、肉食の横行、土壌の疲弊、水不足、食料供給の不平等といった数々の問題が起きている。私たちはこうした難問をどう解決していくのか? 本書はSDGsの半分以上の項目に関係する内容であり、人類史レベルで持続可能な未来を考えていくうえで必須の本といえる。
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商品情報
- シリーズ
- 食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日経ビジネス人文庫
- 書籍発売日
- 2021.04.05
- Reader Store発売日
- 2021.04.05
- ファイルサイズ
- 6.1MB
- ページ数
- 392ページ
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この作品のレビュー
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【まとめ】
0 大増産の進化と転換点
食料増産の進化プロセスは次のように進む。まずは、空腹を満たすためにもっとも手っとり早く、かんたんな方法で食料を手に入れようとする。やがてあるとき、食べられる植物を…栽培したり、作物に必要な養分を補給したりするなど、自然界に手を加える方法が編みだされる。より多くの食料がいきわたると徐々にヒトの数は増え、新天地へと生息の範囲を広げる。だが、どんなイノベーションも、いずれ壁に突き当たる。現状のままでは解決できない新しい要求が出てきたり、ひどい環境汚染を引き起こしたり、予想外の問題が生じたりする。食料が足りなくなるという不安が生まれ、危機感が募る。絶体絶命の危機にさらされ、自然のめぐみを活用する新たな方法が登場する。人類の知恵は方向転換を実現し、ふたたび歯車が前へ前へとまわりはじめる。より多くの食料がもたらされ、文明は人口増加に対応できるようになるのだ。そしてあるとき、さらに大きな壁にぶち当たる。原因となるのは単なる人口増加にくわえ、病気や干ばつなどさまざまな災難だ。前進・破綻の危機・方向転換――このサイクルをくり返すごとに人口が増えて生息域が広がるので、試練はより厳しくなる。1サイクルごとに、新しい壁が立ちはだかる。しかしそのたびに、何千年もの時をかけて、人類はなんとか切り抜けてきた。
2007年5月、ヒトが画期的なポイントを通過した。この運命的な日を境に都市居住者が多数を占めるようになったのだ。過半数が農業をいとなむ状態から、都市暮らしへ逆転が起きた。
この進化は、わたしたちの暮らしを根本から変えた。食生活、健康、家族形態、居住場所と仕事、自然との距離感、さらに地球の未来まで。それは一万年前に狩猟採集生活から農耕牧畜生活へと移行したことに匹敵する大転換だった。
20世紀後半、世界全体でトウモロコシと米の年間生産量はほぼ3倍、小麦は2倍以上に増えた。牛、豚、鶏の飼料となるトウモロコシが豊富なため、食肉生産量も増加して3倍を突破した。食料の価格はかつてないほど安くなった。人口の急増にもかかわらず食料の生産量が増えたため、以前にくらべて一人あたりの供給カロリーも増えている。世界中の人すべてに食料を平等に分配した場合、1960年には1日約2200キロカロリー、2000年には1日約2700キロカロリーに増えている。
1 累積学習による農耕社会への移行
コミュニケーション、情報の共有、知識の伝達――このうちのひとつでも欠ければ、どんな文化も成立しない。
はるか昔、生命はDNAで遺伝情報を子孫に伝える機能を獲得し、環境のなかで生き延びるための情報を次世代に継承できるようになった。しかし、遺伝で受け継いだ部分は変更が効かない。環境の急激な変化が起きたとき、遺伝で獲得した形質が噛み合わなければ種が全滅する恐れがある。
それを補うのが、学習する能力だ。試行錯誤、親からの学習、群れからの社会的学習など、人間以外の種も様々な学びを得るが、学習には巨大な脳が必要になるため、人間は特に上手くこなす。個体から個体へとスキルが伝えられながら発展していく「累積学習」は、ごく少数の種に見られる特徴だが、ヒトのレベルには到底及ばない。
ダーウィンは、人類の進化が複雑になるにつれて自然選択の力は弱まったと述べた。自然選択説は文化を武器にした人間には当てはまらないと考えていたのだ。
そしてあるとき、人間の創意工夫の力が革命を起こした。肥沃な三日月地帯で暮らしていた原初人類のうち、食料を採取していた人物があることに気づく。種子の中で、風でも飛ばされずに茎についたままの種子があることに気づいたのだ。その後、種子が大きい、実る時期が同じなど、人間にとって都合のいい特徴を備えた種子を選定して繰り返し植えるようになる。人間が動植物の自然選択の舵を握り始めたのだ。これが農業の始まりである。
農業への移行によって世界はがらりと変わった。農耕と牧畜の生活がすっかり定着すると人口増加率は5倍に跳ねあがった。病死と餓死は増加したが、女性はより多くの子どもを産んだ。柔らかい食べもので幼児の離乳時期が早まり、子どもを産みやすくなった。子どもの数が多いほど、家事や畑仕事などの働き手が増えるから歓迎されたのかもしれない。女性は幼い子どもを連れて移動する必要がなくなったので、より多くの子どもの世話に時間をあてられるようになった。子どもの数を抑制する動機がほぼないうえに授乳期間が短くなったので、多くの子どもを産み育てるようになって農業人口が増えた。
2 必須栄養素をどう補う?
作物の成長に必須な栄養素の一つは窒素だ。窒素は空気中にN2として多数存在しているが、植物はそのままでは利用できない。NO3(硝酸塩)などの形に変えて土壌から吸収する必要がある。土壌微生物の一種である根粒菌(リゾビウム)は、窒素ガスの原子の強い結合を切り、水素原子3つ(H)と窒素原子ひとつ(N)のアンモニア(NH3)に変換するはたらきをもつ。
空気中の窒素分子が、動植物の一部として有効にはたらくように窒素化合物へと形態が変わることを「窒素固定」と呼ぶ。窒素固定の問題が解決しないかぎり、作物を育てる土壌を肥沃に保つことはできない。だがその難題が解決できたところで、窒素循環のサイクルは終わらない。この先、窒素は大気に戻らなくてはならない。窒素固定で空中から取りだされるばかりでは、生命の生存に必要な窒素はやがて尽きてしまう。
そこで登場するのが、先ほどとは別の微生物だ。細菌と菌類が糞尿や動植物の死骸を分解し、硝酸塩はふたたび土壌に戻る。最終ランナーとしてバトンを受けとるのは緑膿菌などの微生物だ。呼吸のために硝酸塩を使って脱窒をおこない、窒素原子ふたつ(N2)まで還元する。こうしてできた窒素ガスは振り出しの大気に戻り、新しい窒素循環がスタートする準備がととのう。
もう一つの必須栄養素はリンだ。リンは窒素と違って空気中にあるわけではなく、人間が循環システムに介入するのは難しい。リンは植物や動物に取り込まれたあと、その宿主が死ぬことで、土壌中の生物が死骸を分解して土壌に戻る。しかし、徐々に土壌から失われる分を補給するシステムがなければ、やがてリンは激減してしまう。
リン循環の時間と人間の農耕のサイクルはどうしても噛み合わない。そこで編み出された方法は基本的に2種類で、ひとつは、糞尿と枯れた動植物の死骸に含まれるリンを短期間で循環させること(焼畑農業など)、もうひとつは、リンを運んでくること(洪水による土壌堆積、リンの採掘など)だ。
ただし、栄養素を補充するだけでは農耕社会を維持できない。ほかに必要とされたのが労働力だ。
農耕社会では、開墾をはじめたくさんの労働をこなさなくてはならない。畑を耕す、植えつけ、雑草や害虫の駆除、収穫、貯蔵、調理、料理を運ぶなど、ひとつひとつの作業にエネルギーが必要だ。人間以外の労働力を利用する場合でも、やはりエネルギーは消費される。町に定住して農耕以外の仕事に携わる人びともカロリーを必要とする。農作業をする人びとは、みずからの消費カロリーを補充するため、そして町の人びとのお腹も満たすために食料をつくる。
その労力をどう捻出するのか。ひとつの解決策は、家畜の労働力を利用することだった。人間が消化できない草を家畜に食べさせ、仕事をさせた。
18世紀なかばには、土壌サイクルをフル活用した「ノーフォーク農法」という四輪作法が登場する。四輪作では同じ土地で4年周期で秋播き小麦、カブ、大麦、クローバーを栽培する。窒素を増強するマメ科のクローバーと肥やし、深く耕せる農機具、肥やしと労働力を提供してくれる家畜の増加、食用部分が多い作物ができる新しい種子、その他もろもろの改善によって、イングランドの穀物の生産量は増大した。これらが絶大なインパクトをもたらしたので、この時期は「農業革命」と呼ばれている。
しかし、余剰食料が生まれれば農業を営む側はさらに増産を目指す。産業革命によって石炭を燃料とする蒸気機関が登場すると、都市はさらに成長した。それまで水力を利用していた織物工場が水辺に限定されなくなったからだ。蒸気機関車は都市部と農村部を結んで食料と物資を輸送した。石炭は工場の機械を動かし、農村部で生産された食料は工場労働者に活力を与えた。こうしたすべての要因が都市の拡大と工場の増加を推し進め、イングランドの経済は農業中心から工業中心へと構造的転換を果たした。一度革命のスイッチが入ると、もう後戻りはできない。人類には、増え続ける人口を補うためさらなる農業革命が必要になったのだ。
3 ハーバー・ボッシュ法
1898年、マルサスが人類の飢餓と悲惨な未来を予測して緊急警告を発してからの一世紀で、ロンドンの人口は500万人近くに膨れあがった。頼みの綱のグアノと硝石はほぼ取り尽くされて、ふたたび肥料不足が迫っていた。都市では工場などで労働者が急増し、彼らをまかなっていけるだけの食料をどう生産するのかが農村の課題だった。
これを解決したのが、20世紀初頭に発明された、大気中の窒素からアンモニアを合成する「ハーバー・ボッシュ法」である。これによって今までのようにクローバー、排泄物、微生物に頼る必要がなくなり、作物を収穫するごとに土がやせるという何千年来の難題が解決された。
ハーバー・ボッシュ法の発明で、工業国での食料の生産量は飛躍的に増えた。だがそれだけではなかった。食べるものも変わった。穀類がたくさん穫れれば、それを餌として多くの家畜を育てられる。そうなれば、肉、卵、乳製品が食卓にのぼる頻度があがる。ハーバー・ボッシュ法で製造された肥料でつくられる食料――その肥料を使った穀類を飼料とする家畜の肉と乳製品も含め――で生きている人の割合は、21世紀初頭で10人あたり4人である。ハーバー・ボッシュ法によって人類の食生活が変わり、世界全体の食料供給量が増えて確実に多くの人びとを養えるようになった。まさに最大級の転換だ。
しかし、ヒトという種の進化の歯車は進んだが、繁栄のひとことで言いきるにはあまりにもひどい格差が広がった。飢餓に苦しむ子どもたち、何百万もの農民、多くの国々はいまだ貧困に苦しみ、そこから抜けだそうと必死だ。地力の低下がそうした悲劇の一因となっている。
一方のリンは、リン鉱石を原料とする過リン酸肥料の開発が進んでいた。数百万年前、栄養分豊富な水が深海から湧きあがり、いまのフロリダにあたる土地を覆う浅い海で多様な海洋生物が育った。死んだサンゴ、貝、サメの歯、骸骨が水に溶けて凝固し、海底に積みあがっていく。これがリン鉱石の素材となり、地表のすぐ下には何マイルもの厚さでリン酸の豊富な堆積岩が埋まっていた。リン鉱石を蓄えた地質は世界各地に散らばっており、一握りの国が現在もその上に陣取っている。
一方で、これらの発明がもたらす弊害もある。「富栄養化」だ。人類はあの手この手で自然のサイクルに手を加えた結果、大量の固定窒素が土壌に補給された。余剰な固定窒素を緑膿菌だけの力で窒素ガスに変えるには限りがある。不活性気体である窒素ガスが固定されると、それまで強い化学結合で縛られてきた長い時間を、まるで埋め合わせるかのごとくどこへでも移動していく。作物に使われない固定窒素はすべて水、川、海にたやすく入り込む。
過剰なリンは淡水湖に藻を大量発生させて酸素を欠乏させ、富栄養化を引き起こす。また過剰な固定窒素は沿岸水域に「酸欠海域」を出現させる。工業生産された固定窒素が大量に撒かれたあげく、土壌から小さな川、大きな川、やがて沿岸水域に流れ込み、長く窒素に飢えていた藻類と植物がすさまじい勢いで成長する。それが枯れて腐ると水中の酸素がなくなり、魚やカニをはじめとする生物が死ぬ。
腹を上にして浮かぶ魚も、緑色の泥水も、もとをたどれば同じところに行き着く。穀類をつくる果てしない農地、そして科学技術に帰するのだ。
4 モノカルチャー
20世紀前半、アメリカ中西部では遺伝の法則を活用した品種改良、化学肥料、化石燃料を使う機械が出そろい、これでトウモロコシ、小麦、大豆の大量生産への道ならしができた。
プレーリー、そして果てしなく肥沃な土地は、世界有数の大規模農業の中心地となった。20世紀初頭、アメリカ国内のほぼすべての農地では野菜と果樹の栽培、鶏、馬、牛、豚の飼育など、すべてが同時におこなわれていた。歳月とともに小規模農場が合併して巨大ベンチャーへと成長を遂げた。大規模農場は特化が進み、限られた種類の作物だけを重点的に栽培するようになった。なかでもトウモロコシ、小麦、大豆の取り扱いが群を抜いていた。最新機械が人間に替わって農作業をおこなうようになり、大規模農場はわずかな人手だけで切り盛りされるようになった。そして人口の大部分は都市へと移動していった。19世紀末、クルックスはアメリカが「じきに小麦の輸入国となるだろう」と予測したが、それとは裏腹に、「アメリカのハートランド」と言われる中西部は食料生産地となって国内各地で成長めざましい都市の住人を養い、世界中に作物を輸出するようになった。
5 未だ経験したことのない時代へ
人類は勝利を積み重ねて、ついに20世紀に大躍進を遂げた。それは単に豊富な食料をつくりだした時期ではない。まず農村でじゅうぶんな食料が生産されるようになると、現代文明のごく自然な流れで農村から都市に人が移り住むようになり、都市に人口が集中した。彼らは工場、事務所、商店などで働いて経済の発展に貢献する。農村部では少なくなるいっぽうの住人が都市部の住人の分まで食料生産を担う。
それは現代文明の暗黙の契約だった。こうして都市で暮らす人口が過去にないほど増えていく時代に突入した。20世紀のはじめ、地球の人口は20億人足らず、都市で暮らす人は100人につき15人未満だった。20世紀の終わりにはすでに人口が60億人を突破した。2007年5月には、都市で暮らす人が半数を超えた。都会化していくヒトという種を養うために、じつに地球全体の35パーセントの土地があてられていた。
そして全世界の食料の供給カロリーが消費カロリーに匹敵するようになった今、私達の食生活に未だかつてない危機が訪れている。肥満だ。
ヒトは裕福になるにつれ、食生活の中心がデンプン質から脂肪と動物性タンパク質に移行する。植物油と糖分が安く手に入るようになると、高脂肪・高カロリーの食生活への勢いがついた。やがて富裕国では生活水準にかかわらず、そして貧困国でも、脂肪分と糖分を好む人類の嗜好を反映して多くの人びとの食生活が高脂肪・高カロリーへと変わっていった。現在、世界各地で飢餓に苦しむ人数は1日10億人を切っている一方で、肥満は10億人を突破している。
人口問題に並ぶ危機がいま人類に襲いかかっている。もっとたくさんの食料を、もっと肉類が多い食生活を、という人類の強い願いは、食料の大量生産が可能になって実現した。より多くの人びとがより充実した食生活を望んだ結果、人類が地球で生存していくために欠かせない3つの要素――安定した気候、栄養分の循環、生物の多様性――に異変が起きている。
①安定した気候
農業・牧畜は気候に直接被害を与える。肥料と肥やしからの亜酸化窒素、牛のゲップによるメタンガス、森を切り開けば二酸化炭素が発生する。
②栄養分の循環
作物に必須の栄養と水をもたらす栄養分の循環に異変が生じている。ハーバー・ボッシュ法によって人類は大気から窒素を取り出すことに成功したが、それを環境に戻すプロセスを発明した者はまだいない。畑→食料→畑というリン循環、雲→川→海の水循環という地球のシステムを、人間は強引に介入し破壊している。
③生物多様性
人類にとってこの惑星が生存可能であるためのもっとも重要な要素は、何百万年もかけて進化してきた生物の多様性だ。世界の大草原地帯、サバンナ、ヨーロッパとアメリカの多くの森は切り開かれ、畑と牧場に変わってしまっている。木が一本倒されるごとに、草原の草が鋤き込まれていくたびに、多くの動植物がすみかを失う。バッファローは大量殺戮され、インドライオンは絶滅寸前だ。人類というたったひとつの種が食べていくために、地球の生物多様性は蹂躙されてきた。鋤とチェーンソーがこの先向かうのは、南米、東南アジア、中央アフリカに青々と生い茂る熱帯雨林だろう。開墾されてしまえば、何千、何百万という種が消えていく可能性がある。
人類が狩猟採集生活から農耕牧畜をする定住生活への移行を開始したのは1万2000年前。それから数千年かけて学び、文化を築き、移行はようやく完了しようとしている。人間は知恵を絞り工夫を凝らして自然と密接にかかわり合い、着実に繁栄の歯車を進め、農耕をする種として地球上で勢力を拡大してきた。
いまわたしたちは農耕をする種から都市生活をする種に変わろうとしている。少数が食料をつくり、大多数の人びとがそれを食べるという最新の取り組みは始まったばかりだ。どんな結果が待っているのかは、だれにもわからない。これからも破綻の危機と方向転換はきっと起きるだろう。そのたびに人間は独創的な方法で地球のめぐみをうまく活用するにちがいない。これまで積み重ねてきた創意工夫の成果とともに、生きる方法を学びつづけるだろう。続きを読む投稿日:2023.10.10
壮大過ぎて神の視点で歴史を眺めてるような気持ちになる本に、たまに出会う
それは「ある一つの視点」で歴史を俯瞰することで可能となり、この本は”人類がいかに食糧を確保してきたのか”という視点で先史から現…在に至るまでの歴史が纏められてる
そして人類は脆いのだなとも分かる続きを読む投稿日:2023.08.09
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