漂流(新潮文庫)
角幡唯介(著)
/新潮文庫
作品情報
1994年冬、沖縄のマグロ漁師・本村実はフィリピン人船員らとともに37日間海上を漂流した後、奇跡の生還を遂げた。だが8年後、本村は再び漁に出て、今度は二度と戻らなかった……。命を落としかけたにもかかわらず、なぜまた海へ向かったのか? 著者は本村の後姿を追って沖縄、グアム、フィリピンを彷徨い歩く。国境などないかのように生きる海民の声を聴くうちに見えてきたものとは――。(解説・真藤順丈)
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 漂流(新潮文庫)
- 著者
- 角幡唯介
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2020.04.01
- Reader Store発売日
- 2020.06.19
- ファイルサイズ
- 2.2MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
-
1994年に37日間の漂流ののちに生還した沖縄のマグロ漁師・本村実が、その8年後に再びマグロ漁に出漁し行方不明になっている。本書は、本村の漂流の足取りをたどった旅の記録。
早大探検部出身の角幡唯介は…、19世紀に129人が全員死亡した探検をたどって単身で北極を踏破するなど、常人とは異なる好奇心のスイッチを持つ人物。本書においても、彼の好奇心は本村の軌跡をたどるどころか、沖縄・日本・南太平洋の島嶼エリアの戦後近代史や、遠洋漁業の隆盛の歴史といったテーマも深く掘り下げるにいたっている。
本村の出身地である伊良部島・佐良浜の漁民が、日本の遠洋漁業成立にいかに貢献したか、という視点は特に面白い。沖縄の方言とも異なる言語をしゃべり、広大な南太平洋をあたかも裏庭のように動き回る伊良部島出身の漁民たちを「佐良浜民族」という独特の人たちととらえて書いている。
著者は、本村の最初の漂流と同じコースをたどって実際のマグロ漁船にものって航海している。さらにはフィリピンの片田舎のスラム街に住む本村を救助した船員たちも見つけ出しインタビューも実施。長編ドキュメンタリー映画を見ているかのような錯覚に陥る読後感だった。続きを読む投稿日:2020.10.18
分厚い労作だが、一気に読み終える。さすがの構成&筆力だった。
以下、雑感。
一時期、沿岸部に暮らしたことがある。そこでよく聞いたのは「浜っ子だからね」というセリフ。良い意味でも、悪い意味でも使われ…ていた。よく言えば豪放磊落、悪く言えば無鉄砲で無軌道(当地の言葉だと、荒い、とか、きなかい、とか)喧嘩っ早いけど忘れるのも早くて、利に聡いかと思えば情に厚い。そういう人のことを言っていた。この作品にはそういう人がたくさん出てくる。というか、九割方、そういう人たち。角幡さんはその中でも、2回の漂流を経験した沖縄の漁師を通じて「海」を描こうとしたんだという。何と大胆な。描きたかったのは漁民じゃなくて海だったのね!ごめんなさい、あとがき読むまで気づけませんでした…
足掛け3年(かな?)に及ぶ、国を跨いだ聞き取り&体験を通じて、海に生きる人たちは「民族」と言ってよいほどの、それ以外の人とは隔絶した感性を持って生きていると角幡さんは結論づけたようだ。けれど、むしろそれは角幡さん自身、もうすでに『雪男は向こうからやってきた』で気づいていたんじゃ無いのかな?一線を踏み越えた経験をした人は、そこから帰ってこられない。海であれ、山であれ、街であれ。異界の異界たる相貌を知った人は、ヨモツヘグリを食べたのと同じ。もう、常世の人なんじゃないだろうか。何だか青木繁の「海の幸」をしきりに思い出しながら、本を読み終えた。
私たちは、一部の人やレジャーとしてのそれを除き、山から恵みを持ち帰ることをやめてしまったけれど、海の恵みと切り離されて生きることにはまだ成功していない。あんな災害が繰り返されているのに。土から離れては生きられないのよ、とシータは叫ぶけど、どっこい、海の方がまだ強く私たちを呪縛しているんじゃ無いのか?と感じてしまう。続きを読む投稿日:2023.04.16
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。