日本のピアノ100年:ピアノづくりに賭けた人々
前間孝則(著)
,岩野裕一(著)
/草思社
作品情報
明治33年(1900年)1月、日本楽器は国産第一号となる簡素なアップライトピアノを完成させた。
まだ欧米には及ぶべくもなかった日本のピアノではあったが、大戦後、状況は一変する。高度成長で勢いを得たピアノ・メーカーは新たなコンサート・グランド・ピアノの開発に情熱を傾ける。
そして、リヒテルやグールドなど世界の名演奏家が愛用するピアノを生み出し、ついに日本を世界頂点のピアノ王国へと押し上げたのである―。
誕生から100年間のピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を通して、日本の「ものづくり」の軌跡を見事に描き上げたノンフィクション作品。
第18回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞作。
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この作品のレビュー
平均 4.5 (3件のレビュー)
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「日本のピアノが世界に認められるようになるまでの技術者達の試行錯誤」のような話を想像していたが、どちらかというと特に前半はピアノメーカーの隆盛と経営の難しさといったことがよく書かれていた。
時は明治…、元武士である流しのなんでも修理人・山葉寅楠がたまたまオルガン修理を依頼される所から日本のピアノ作りは始まる。
開国、世界大戦、高度経済成長など波乱多い時代に、時に西洋に習い、時に科学技術に頼りながら「日本のピアノ」が作られていく。
ピアノは大量生産による工業製品としての面を持ちながらも、一流のアーティストが音楽を生み出す工芸品でもある。
大量生産では、熟練の技術者の手作業によって生まれる音には敵わない。しかし効率が悪くなるほど経営は成り立たなくなる。品質も維持できない。
昔は大小いくつものピアノメーカーがあったそうだが、現在残っているメーカーを数えるとその舵取りの難しさがわかる。
それぞれの明暗を分けたものは何であったか。
読み物としてもビジネス書としてもなかなか面白い。
西洋楽器であるピアノを作るにあたって、作っている人間が西洋音楽もピアノの音の良し悪しもまるで分からないまま技術だけ上がっていくというのは、本場から遠く離れた地ならではのエピソードだ。日本のピアノメーカーにピアノを弾く人間は長いこと居なかったそうだ。
日本におけるピアノは「音楽」ではなく「西洋への憧れ」や「商売」が出発点だったということか。
日本のメーカーがピアニスト達と二人三脚で改良に励み、コンサート・グランドを作り上げ世界に認められるのは主に戦後になってからになる。
自分は家にピアノは無かったのだが、むかし木管楽器を少しやっていた。木でできた楽器というのは一つひとつ音も演奏した感じも違う。例え同じメーカーの同じ型番であっても、一つとして同じ木が無い様に、全く同じ響きを出す楽器は(電子楽器でもない限りは)おそらくない。
どこでどれを買っても同じ性能を発揮しなければならない工業製品と違って、そこは楽器の良いところでも悪いところでもあるだろうが、ピアノメーカーの目指すべき所とは何処だろうか。
本書の中で「ベーゼンドルファーにスタインウェイの響きを求めてもナンセンス」といったフレーズがでてくる。
ヤマハならヤマハの、カワイならカワイの良さがあるのだろうが、ピアノの売り上げが年々減っている今、より多くの人に選ばれるのは必須条件だろう。
しかしながら、世界中で同じ楽器ばかり選ばれるというのは、音楽という芸術の世界ではひとつの限界というか、停滞であるように感じる。
世の中、良いものが自然と残っているのではなくて、悪くても残そうと努力したものだけが結果的に残っているんだろうか。続きを読む投稿日:2020.07.10
第101回アワヒニビブリオバトル「再出発」で紹介された本です。オフライン開催。チャンプ本。
2023.7.4投稿日:2023.07.08
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