リベラリズムの終わり その限界と未来
萱野稔人(著)
/幻冬舎新書
作品情報
自由を尊重し、富の再分配を目指すリベラリズムが世界中で嫌われている。米国のトランプ現象、欧州の極右政権台頭、日本の右傾化はその象徴だ。リベラル派は、国民の知的劣化に原因を求めるが、リベラリズムには、機能不全に陥らざるをえない思想的限界がある。これまで過大評価されすぎたのだ。リベラリズムを適用できない現代社会の実状を哲学的に考察。注目の哲学者がリベラリズムの根底を覆す。
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商品情報
- シリーズ
- リベラリズムの終わり その限界と未来
- 著者
- 萱野稔人
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎新書
- 書籍発売日
- 2019.11.27
- Reader Store発売日
- 2019.11.27
- ファイルサイズ
- 2.2MB
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この作品のレビュー
平均 3.9 (18件のレビュー)
-
リベラル的な人々が嫌われる現象がすごくよくわかる。
著者のいうリベラルの限界という補助線を用いると、ツイフェミとオタクの論争や少し前のベルクの喫煙論争におけるリベラル的な人々の欺瞞とそれに対する普通の…人々の嫌悪感がよく説明できる。
分配の限界という補助線を用いると経済政策が弱いことの致命性が見えてくるし、マクシミン戦略の誤謬という補助線はリベラル的な人々がネトウヨを嘲る際の「想像力が足りない」という紋切り型が表層的であることを看破させる。
著者が意図した以上にリベラルが自らを省みるのに役に立つ本である。とりま、立憲より左の方の人たちは全員読むべき。左に行けば行くほど読むべき。だがこういう本当のことを看破する内容の本は左に行けば行くほど読まれないだろう。続きを読む投稿日:2019.12.31
《紹介と感想》
リベラリズム――他者に迷惑をかけない範囲で個人は自由であり、社会はその自由を制限してはならないという原理――の限界を哲学的に論じた本。リベラリズムは理想論的で社会に余裕がなくなると成立…し得ない考え方であるということ。雑に言えば「リベラリズムを徹底すると社会がめちゃくちゃになり得る」ということだろうか。今風に言えば「持続可能性に乏しい」とも表現できるだろう。予備知識不要で素人の私でも読みやすかった。著者の読者への配慮が随所に見られる良い文章だと感じた。
《関連する書籍》
御田寺圭『ただしさに殺されないために』
御田寺圭『矛盾社会序説』
《メモ》
①リベラリズムとは「他人に迷惑や危害を加えない限り、たとえその行為が他人にとって不愉快であったとしても、社会は個人の自由を制限してはならない」という哲学的原理。
②もし「先天異常の子どもが生まれるリスクが高まる」という理由で近親婚を禁止するのであれば、同じ理由で一定年齢以上の結婚も禁止すべきということになりかねない。
③インセスト・タブー(近親相姦の禁忌)は、家族を成り立たせ、結婚を成り立たせ、人間集団のあいだで協力関係を構築することも可能にしている。
④我々の社会には、リベラリズムの原理を適用すべき要件を満たしていても、それを適用することがどうしてもはばかられる事柄がたしかにある。そしてそうした事柄ほどより根源的な秩序原理として社会を成り立たせている。
⑤リベラリズムの限界とは、パイの配分を手厚くすべきというリベラリズムの考えはパイが拡大しているときにしか説得力をもたない、という限界。続きを読む投稿日:2023.03.01
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