この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
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2015〜2019年に朝日新聞のエルサレム支局に赴任していた著者が、パレスチナに生きる(多くは一般市民の)人々の姿を綴った本。半年ほど前から続く、ハマス、イスラエル双方による攻撃を機に、パレスチナのこ…とを知りたくなり手に取ってみた。
ガザ地区では、一般市民が非暴力の抗議行動を取っただけで(あるいは看護師が救護担当としてその場にいただけで)、イスラエル兵に狙撃され、命を落としたり、大怪我を負う。
ヨルダン川西岸地区では、イスラエル人の入植が続き、農地を奪われたり、家を壁で囲まれたりする。
解決策はパレスチナ国家を樹立し二国が共存するしかないものの、イスラエルには現政権含め右派が多く(共存、平和を望む人も当然いる)、解決の見通しは立たず。
この本はパレスチナに寄り添った内容で、イスラエルの視点にも立つ必要はあるが、この本を読み、パレスチナに生きる人々の苦悩を少しでも知ることができて良かった。自分に何ができるかは分からないが、もっとこの問題を深く知り理解したい。続きを読む投稿日:2024.04.09
渡辺丘(1979年~)氏は、朝日新聞記者で、2015年1月~2019年3月にエルサレム支局長を務め、現在はアメリカ総局勤務。
本書は、著者の4年余りのエルサレム駐在時の取材をもとに、現代のパレスチナ(…及びイスラエル)を生きる人びとの等身大の姿を、ルポルタージュとして記したものである。
具体的には、2018年3月からガザ地区のイスラエルとの境界付近で続いたパレスチナ難民の帰還を求める大規模な抗議デモの参加者やその家族の様子、ガザ地区に住むパレスチナの将来を担う子どもや若者の姿、聖地エルサレムの現状、イスラエルによる支配が静かに進むヨルダン川西岸地区の様子、パレスチナ人を巡るイスラエル社会の現状、パレスチナと日本の架け橋となっている人びと、について報告されている。
私は一般の会社員であるが、もともと国際情勢、特に宗教や民族、国家間の対立に関心があり、3年ほど前には、1㎞四方の旧市街に宗教・民族の異なる4つの集団(ユダヤ人、ムスリム、キリスト教徒、アルメニア正教徒)が共存する、「世界の縮図」ともいえるエルサレムという街がどのようにして存在しているのかをこの目で確かめたくて、エルサレムに一人で1週間滞在し、更に、東エルサレムや、ベツレヘム、ラーマッラー、死海沿岸などのヨルダン川西岸地域を、バスなどの公共交通機関を使って訪れてきた(本書にも出てくる、ベツレヘムやラーマッラー近郊の国境検問所も自分の足で越えてきた)。当時は、エルサレム市内をはじめ各地で、肩から機関銃を下げたイスラエル兵士を見かけたものの、小競り合いすら見ることはなく、表面的には平和は保たれていた。そして、私はそれを見て、解決不可能にも見える根本的な対立はあるものの、人びとは平和な日々を望むという只一点を共有することにより、物理的な衝突を回避できていると感じたのだ。
しかし、その後、トランプ米大統領による、米国大使館のエルサレム移転などのイスラエル寄りの政策により、対立が再び表面化していることは本書にある通りで、更に、2020年に入り、トランプが公表した中東和平案、及びそれに対するサウジアラビアなどの親米的な反応が、パレスチナを更に窮地に追い詰めていることは各種報道の通りである。(そのため、現在は、一般の日本人が国境検問所を自分の足で越えて、ヨルダン川西岸地域を訪れることなど、躊躇われる状況であろう)
こうした国際・地域情勢に関して、我々には何ができるのか? まずは、著者が本書を書いた目的ともいえる、個々人が、紛争の現場で起こっていることを知り、関心を持つことであろう。国際ジャーナリズムの第一の意義も、そこにある。
しかし、当然ながらそれだけでは紛争・対立は解決しない。根本的な問題は何なのか。。。? それはおそらく(細かい点を捨象すれば)、世界の各所に存在する格差であり、それを主因として、近年世界に蔓延しつつある自国第一主義なのだ。複数のステイクホルダー(国・民族・宗教など)が共存するためには国際協調以外に方法がないことは自明である。それも、一方的な力による協調ではいけない。パレスチナ問題は正に世界の縮図であり、世界はこの問題を解決できるのか。。。それは正に、我々人類が世界から紛争をなくすことができるのかを問われているのと同意である。
世界の縮図の現状を知り、世界の未来を考えるきっかけを与えてくれる一冊である。
(2020年2月了)続きを読む投稿日:2020.02.15
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