世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門
山中俊之(著)
/ダイヤモンド社
この作品のレビュー
平均 4.1 (35件のレビュー)
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本書は、あくまでも、本当にあくまでも入門書です。
各宗教のことをそれなりに深く学ぼうと思ったら、この本では足りなすぎます。
ただ、1冊でユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教のことをさら…っと確認したいなと思った人には役に立つ本だと思います。
本書の副題には「ビジネスエリートの必須教養」と書いてありますが、この本に書いてあるようなことは本当の『ビジネスエリート』であれば全部知っていると思いますので(笑)、「新社会人や大学生のための」とした方が、本書の内容としてはふさわしいと思います。
筆者は、外交官として世界各国で生活した経験を踏まえて「日本人は宗教偏差値が低い」と述べていますが、僕もそのとおりだと思います。
これは日本の教育の問題で、日本の初等教育は『宗教』(特に仏教やキリスト教以外の宗教)についてほとんど教えませんので、日本人が『宗教』について知っていることは、世界の標準から見ればかなり低いものだと思います。『宗教』を学ぼうと思ったら自分で学ばなければ誰も教えてくれないのです。
僕も数年間アメリカ・ニューヨーク市で働いていたことがあるのですが、アメリカ人(特にキリスト教徒やユダヤ教徒の人たち)の行動原理がいかに宗教に根ざしているかということをまざまざと体験させられました。
特に「弱者を救うと」いうことについて彼らはそれを使命として自然に行動します。
例えば、ニューヨークの地下鉄や大きなバスターミナルにはホームレスの人たちが目の前に空き缶を置いて物乞いをしているのですが、僕が見ているだけでも結構な数の人たちがその空き缶の中にお金を入れていくのです。
僕の体感的にはラッシュアワーの10分間だけでも2、3人のビジネスマン達がお金を入れていくという感じでしょうか。
それに比べて東京で同じようにホームレスの人たちにお金を恵んでいるビジネスマンがどれだけいるでしょうか。はっきり言って見たことはありません。
もちろん、ニューヨークと東京では環境も状況もまったく違いますが、やはり「弱者に施しをすることは大切なことだ」という宗教観の違いが大きく影響しているのではないかと感じました。
これはお金持ちが寄付するという行為にも現れていると思います。
特にキリスト教は「社会的弱者に施しをする」ということは、自分が天国に行く近道になると教えていますので、キリスト教徒は自らすすんで施しや寄付をするのです。
その他にも、日曜日に仕事を休むということは、宗教的に決められた安息日であることから、ほとんど義務であると思われています。キリスト教(特にカトリック)の強い地区では、日曜日にはお店などもほとんど閉店しているということが普通にあります。
本書で特に役に立ったのはイスラム教についての記述です。
イスラム教のことをあまり日本人は知りません。
著者は2年間、イスラム教徒の家庭に下宿していた経験があり、「日本人から見たイスラム教について」という観点が非常に勉強になりました。
特にハラルフード(イスラム教徒が食べている食べ物のこと)について、
『日本のレストランがよく「ハラルフードあります」などということを掲げて宣伝しているのを見かけるが、イスラム教徒(ムスリム)ではない日本人が、イスラム教のことを良く知りもしないで「ハラルフード」などと称して食料を提供するのはナンセンスだ。「ハラルフード」とはそんな簡単なものじゃない。もし宣伝したいのなら「ムスリムフレンドリー」程度にしてくれた方が、好感が持てる』
という内容のことを書いていて、これは本当に納得できました。
そして日本人の宗教観に関することですが、日本人はその真面目な性質から
『自己責任』
『他人に迷惑をかけないように生きる』
ということに非常に執着しているところがあると思います。
「生活保護を受けなかった為に自宅で餓死した」などという報道がたまにありますが、このようなニュースを見ると暗澹たる気持ちになります。
このようなニュースを聞くと、多くの人は「なぜ周りの人たちは気がつかなかったのか」と口にしますが、僕は逆にその人物が「なぜ他人に助けを求めなかったのか」と感じます。
これは、やはり日本人の宗教観や価値観が大きく作用しているのではないでしょか。
『人から施しを受けることを潔しとしない』
『どんなに苦しくともそれは自己責任だ』
このような価値観を多くの日本人が持っているということが理由の一つに挙げられると思います。
そして裏を返せば「苦しんでいる他人を助ける」ということに多くの日本人があまり慣れていないと言うこともできると思います。
このあたりはキリスト教やイスラム教はだいぶ違います。
イスラム教徒は困っている人がいればこう声をかけるそうです。
「メッカ(イスラム教の聖地)に行けば、誰かが何かを必ずくれるから餓死することはないよ」
と。
もちろん、宗教が原因で戦争が起こり、数多くの血が流されたり、新興宗教の名前を騙ったテロリスト集団が毒ガスを撒いたり、「アッラー、アクバル!(『神は偉大なり』というアラビア語)」という言葉は自爆テロを起こすテロリストのセリフだと思っている人がいるのも事実です。そのような状況で日本人の多くの人が『宗教』に対してアレルギーを持っているのも理解できます。
だからと言って、宗教を全く知らなくて良い、無視して良いということにはならないのではないでしょうか。
この地球上に暮らす人々の多くが何らかの宗教を信じていて、それを心の拠り所にして生活しているのです。逆にこちらの方が世界的にみればごく普通のことなのです。
そのような事実を事実と理解して、僕たち日本人も世界の宗教についてしっかりとした知識を持つことは非常に重要なことだと思います。続きを読む投稿日:2019.09.27
ビジネスエリートを目指す人に対するメッセージが繰り返されます。私はビジネスエリートを目指す立場でも年齢でもありませんが、今のイスラエル問題を含めて理解を深める為に役立つと思います。
ユダヤ教、キリスト…教、イスラム教だけでなく、仏教、ヒンデユー教についても興味深く読むことができました。
キリスト教の中でのカトリックとプロテスタントの違い、社会や政治に及ぼす影響が大きく、大統領選挙も違いを意識しながらニュースを見るとおもしろいと思いました。
イスラム教についてもシーア派、スンナ派の違いを知ることでイランの国際社会での位置を知ることで役立ちました。
日本人は宗教偏差値が低く、自分は無宗教だと考えている人が多い。私もその中の1人ですが、国際的には善悪の違いもわからない信用できない人だと思われてしまうらしいです。特に困ることはないのですが、知識として持っているとニュースの見方が変わるとお見ます。
ぜひ一度読んでみて欲しいです。お勧めです。続きを読む投稿日:2023.11.26
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