無人の兵団
ポール シャーレ(著)
,伏見 威蕃(訳)
/早川書房
作品情報
ビル・ゲイツ絶賛! AIやロボット兵士が戦場に投入される時、何が起きるのか? ――急速に開発が進む「自律型兵器」の現場にレインジャー部隊出身のアナリストが迫る。先端軍事技術に関わる人々を訪ね、導入と規制の課題、戦争と人類の未来を展望する。解説/佐藤丙午
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この作品のレビュー
平均 3.4 (16件のレビュー)
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軍事面のAIの現状と将来を考察した、謂わば研究書だ。期待していたシンギュラリティ(ロボットが人間を超越する)の話ではない。だが、全く関係がないわけではなく、戦争で人間が使用するAIを搭載した兵器の将来…は、何の規制もなければ(人間の何らかの関与がなければ)、ロボット兵器が勝手に攻撃対象を探索し、勝手に攻撃することになる。場合によっては、例えば、敵の工作などにより、敵・味方の区別なく攻撃することになる。国際的な調整の動きはあるが、いざとなれば、そんな調整は無視されるのがこれまでの歴史である。だが、我々は既に数百の都市を壊滅させられるほどの核兵器搭載ミサイルを、たった一隻の原潜に積み込んでいるのだ。射撃手のミス、あるいは機器の誤作動によって、地球は壊滅する。これをいかに防ぐか、著者にも確たる対策は見えていない。
500ページにも及ぶ大著だが、例が豊富に引用されているので、やや専門的ながら、また、議論が空回りする部分があるが、それほど苦労せずに読み進められる。続きを読む投稿日:2019.09.27
このレビューはネタバレを含みます
読中も思っていたし、本文にも中程で明記されるが、自律型兵器に対する評価は映画『ターミネーター』の影響が非常に甚大であるようだ。
レビューの続きを読む
反対意見は主に倫理的な立場を取るように見える。倫理的という表現はオブラ…ートで、詰め寄る相手が不在では困るというふうに感じられる。
人類のコントロール下にあればよし、そうでなくなった場合、責任から対処までどーすんだよ、と。人間が責任者であっても大日本帝国陸軍的な暴走はありえる。軍事でない場合の方が、より一層深刻なのかもしれない。自動運転車両が事故を起こした場合、所有者に責任が問われるのか、メーカーに責任が問われるのかという問題があるように。
うすね正俊の漫画『コンバット・ドール』は、続編で、ドールが東側諸国の武装だと知ってショックを受けた覚えがある。悪役として登場した自律兵器である通称ピノキオは西側のもので、これはテクノロジーを主眼においた見識によるものか、人間の損耗を嫌う立場を描いたものか。東側の宗主国では、兵士は畑から採れるという冗談を可視化したものか。
倫理的な問題であるならば、現実世界で実戦投入をまっさきにやりそうなのは中国やロシアではないかと思える。
現実世界ではこれまで、いくつか非人道的な武器について、国際的な約束によって封じ手としてこれた実績がある。完全自立型兵器は実現していないが、同様のことが実現前から懸念される。まだ存在しないものに対して行う議論は倫理に基づくものか、寝技外交か。
今度のAIブームはかつてなかったほどの成果をあげたが、エキスパートシステムの域にとどまっているようにも見える。失速してる風味もあるが、懸念が結実するような革新に到れるだろうか。
というようなことを、多角的に問うているが、主題もまた繰り返されることになるのでいささか冗長である。続きを読む投稿日:2024.04.10
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