生死の覚悟(新潮新書)
高村薫(著)
,南直哉(著)
/新潮新書
作品情報
「師と出会ったことで、不信心についての私の苦がいくらか薄らいできているのを感じる。この歳でまた少し生まれ変わったようなもの」(高村薫)、「同時代に彼女がおられることは、救いとしか言いようがない」(南直哉)。ある作品を媒介に作家と禅僧が出会い、七年越しの対話が始まった。信心への懐疑、坐禅の先にあるもの、震災とオウム・・・・・・はたして仏教は、人生のヒントとなるか。実存の根源的危機が迫る時代に、生死の覚悟を問う。
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この作品のレビュー
平均 3.6 (6件のレビュー)
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高村薫の転換点が阪神大震災だったということは聞いていた。そこで体験した「自分が死ぬということを覚悟する」ことが、その後の「晴子情歌」「新リア王」「太陽を曳く馬」の福澤影之3部作に結びつく。影之は高村薫…の分身であったことを新書の中で告白している。そうやってみれば、生い立ちやライフストーリーは全然違うが、いくつか思い至るところがある。
南直哉は、禅僧であり、道元の生き方の体現者である。どこから私淑したのかはわからないが、高村薫は彼を「師」と呼ぶ。
びっくりしたのは、高村薫の小説作法である。「マークスの山」の水沢がフォークリフトを手足のように扱う様や、「柿照」の野田の熱処理加工管理の頭の整理の仕方など、もう自ら体験するほどに取材を徹底したのだとばかり思っていた。この「仕事」の描写が高村薫の魅力のひとつだった。ところが、高村薫は「現実の企業や組織を描くときに、現実だから迷惑をおかけしないように、直接の取材は絶対にしない」と決めているのだそうだ。信じられないが、どうもホントのようだ。南直哉は、取材もされていないのに、福澤影之が4ー5点にかけて自分とソックリで「小説のネタ元」疑惑をかけられたらしい。高村薫は、芝居ではなければ(^^;)、その事実をこの対談で初めて知り、大いに恐縮するのである。
阪神大震災から13年間迷いに迷って、たどり着いた境地が、「太陽の」のラストらしい。期待して読みたい。
南氏のいう。人は「死んで物体としての『死体』となり、あるときから『死者』となってあらわれる」という死の表現はピッタリくる。死とは何か。生とは何か。
ここで、宗教の観点から展開される「オウム批判」は、決してメディアでは展開されていない部分だが、重要な部分である。直接言及以外、この本そのものがオウム批判になっている。
内容全体が禅問答みたいなところがあるので、読む人を選ぶと思う。私は道元を体現したかのような南さんの境地に至りたいとは思わないが、唯一「(信じるとは何かという問いに対して)私は賭けだと思ってやっている」(126p)という説明には、納得するものがあった。私は私の信条が「絶対正しい」とは思ってやっていないが、やはり「これは賭けだ」という意識が何十年も前からあったからだ。
「私は今、次の小説の準備もあって、ずっと歴史の本を読んでいます。中でも仏教の歴史を振り返るにつけ、日本人はこれまで「宗教」とどのように対峙してきたのか-ということを考えざるを得なくなりました」(122p)と言っているのは、まさに新著「我らが少女A」の話だろう。だとすれば、やはりかなり思弁的なお話になるはずである。
先ず次に読むのは、「太陽を曳く馬」だ。暫く後のことになる。続きを読む投稿日:2019.07.22
刺激的だった。南直哉と高村薫、もしかしたらこれは同一人物ではないのか?それほど思考が似通っている。二人の仰ることはとても難解だけれど、読むに従って「飢え」を感じる。なぜ僕には解らないのか。この二人の苦…悩を自分も知らなければならないのではないか。とても落ち着かなくなるのだ。続きを読む
投稿日:2022.06.17
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