ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
オリヴィエ・ゲーズ(著)
,高橋啓(訳)
/海外文学セレクション
作品情報
ヨーゼフ・メンゲレ、アウシュヴィッツ絶滅収容所に移送され、降車場に降ろされたユダヤ人を、強制労働へ、ガス室へと選別したナチスの医師。優生学に取り憑かれた彼は、とりわけ双子の研究に熱中し、想像を絶する実験を重ねた。1945年のアウシュヴィッツ解放時に研究資料を持って逃亡。その後、49年にアルゼンチンに渡った彼は、79年にブラジルの海岸で死亡するまで南米に潜み、捕まることも、裁かれることもなく様々な偽名のもと、生き続けたのだった。そして、その死が遺骨のDNA鑑定によって確認されたのは90年代になってからのことだ。なぜメンゲレは生き延びることができたのか? 彼は、どのような逃亡生活を送ったのか? 謎に満ちた後半生の真実と、人間の本質に、ジャーナリスティックな手法と硬質な筆致で迫った傑作小説。ルノードー賞受賞作。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 海外文学セレクション
- 書籍発売日
- 2018.10.26
- Reader Store発売日
- 2018.10.22
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 254ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (15件のレビュー)
-
戦後、戦犯追及を恐れ、多くのナチ党員が南米に逃れた。残虐な人体実験を数多く行った医師ヨーゼフ・メンゲレもその1人である。アドルフ・アイヒマンのように、その後、居場所を突き止められて断罪された者も多いが…、メンゲレは死を迎えるまで、ナチハンターの手から「逃げおおせた」。その潜伏生活については不明な点も多い。
本書は膨大な資料を読み込んだうえで、「影」の部分を小説的手法で補うという、T.カポーティに倣った「ノンフィクション小説」の手法を採る。
南米時代のメンゲレの実像に近づこうという試みである。
ナチ時代のメンゲレは、双子に異常な興味を示し、収容者の生死を選別し、乳飲み子も殺した。だが彼は、異様で巨大な怪物だったのか。
ここに描かれるメンゲレは、優等生ともてはやされた昔を懐かしみ、故郷に焦がれ、見えない追っ手の手に怯える、どちらかといえば卑小な人物である。
終わりのない逃亡生活に疲弊し、学位を取り上げられたことに怨嗟し、世間の批判は陰謀だと憤怒し、誰も理解者のいない孤独に悲嘆する。
自身をモデルにしたとされる残虐な歯科医師が登場する映画「マラソンマン」を見て絶望するし、過去の罪を問う息子に問い詰められて逆上する。
「悪魔」的な冷酷非情さからはほど遠い。
メンゲレは誰にも知られずひっそりと死ぬ。
大勢の前で糾弾されたアイヒマンとは対照的に。
だが、それは果たして彼の「勝利」だったのか。
彼の死後も、世間では「メンゲレは生きている」という噂は絶えなかった。死んだことにして、実は追及の手を逃れているのだと囁かれた。
映画化もされた小説「ブラジルから来た少年」さながらに、南米でも悪魔的な実験を続け、ヒトラー再来・ナチス再建を目論んでいるのだという穿った見方まであった。
死後何年も経ち、ついには墓が暴かれ、遺骨が鑑定に掛けられるまで、メンゲレの「逃亡生活」は終わらなかった。
振り上げられた人々の怒りの拳。それは彼の為したことに対して、当然の反応であっただろう。
だが、メンゲレの真実の姿が、本書に描かれたものに近かったのだとすれば、その拳が破壊すべきものはなんだったのか。
なぜこうした「俗人」然とした人物が怖ろしい所業を為しえたのか。誰か止めることができなかったのか。止められるとすれば、いつどこでだったのか。
彼は本当に自分のしたことを悔いたことがあったのだろうか。そしてこれは彼個人の特異な性質のみによるものなのだろうか。
真の「悪」とは何なのか。
その問いの答え難さに、いささか茫然とする。続きを読む投稿日:2018.11.26
ドイツのユダヤ人作家?による「ノンフィクションノベル」。アウシュビッツで恐れられていた白衣の悪魔メンゲレ医師の南米での隠遁生活。驚愕の新事実とかではなく、メンゲレの狂気と恐れをじわじわと描く。3.0
投稿日:2020.11.18
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。