原民喜 死と愛と孤独の肖像
梯久美子(著)
/岩波新書
作品情報
『夏の花』で知られる作家・詩人,原民喜(1905―51).死の想念にとらわれた幼少年期.妻の愛情に包まれて暮らした青年期.被爆を経て孤独の中で作品を紡ぎ,年少の友人・遠藤周作が「何てきれいなんだ」と表した,その死――.生き難さを抱え,傷ついてもなお純粋さをつらぬいた稀有な生涯を,梯久美子が満を持して書き下ろす,傑作評伝.※(以下,新刊案内2018年7月6頁掲載の引用文)「私の文学が今後どのやうに変貌してゆくにしろ,私の自我像に題する言葉は,/死と愛と孤独/恐らくこの三つの言葉になるだらう.」(原民喜「死と愛と孤独」一九四九年)
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商品情報
- シリーズ
- 原民喜 死と愛と孤独の肖像
- 著者
- 梯久美子
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2018.07.20
- Reader Store発売日
- 2018.09.20
- ファイルサイズ
- 4.4MB
- ページ数
- 272ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (14件のレビュー)
-
原民喜と言えば、「夏の花」で「原爆文学」。そんな貧弱な文学史的知識しか持たず、国語の教科書にほんの少し抜粋されていた文章しか読んだことがなかった。この評伝を読んで初めて、ああ、こういう人だったのか、こ…んな孤独な魂の持ち主だったのかと、一人の人として目の前に現れてくる気がした。
以前著者が小林多喜二について書いていたときも同様のことを思った。教科書の平板な一行だけの記述の背後で、失われていくその人の切実な人生を、梯さんは丁寧な取材でよみがえらせ、そっと目の前に差し出してくれる。圧巻の傑作「狂うひと」とはまた違い、静かな悲しみをたたえている一冊だ。
原民喜が自死を選んでいて、しかもそれが鉄道自殺だったとは知らなかった。冒頭でその死の前後が描かれ、その後は、生い立ちからそこに至るまでの人生をたどっていく形になっている。原民喜という人は、本当に不器用で、世間になじめない人だったようだ。そういう自分を愛し庇護してくれる人や、やさしくあたたかいものを希求するが、それらははかなく手元から奪い取られてしまう。絶望と死に向かって刻々と引き寄せられながら、この世の地獄とも言える被爆体験が、かえって生に向かわせたという指摘には唸った。本当に「これを書かねば」という思いだけが、戦後の原をしばらく生きのびさせたのだろうと思う。
いつもながら、著者の筆致は冷静で、いたずらに感傷を煽ることなく淡々としている。原の自死についても美化せず、しかし、どうしてもそこに向かって行くしかなかった孤独な心情をしのばせる描き方になっている。過度な感情移入を避けながら、なおかつ取材対象に寄りそって書くことは、そうたやすいことではないだろう。その姿勢に揺るぎない信頼感がある。続きを読む投稿日:2018.08.21
岩波新書 梯久美子
原民喜 の作家人生を 死、愛、孤独をキーワードとしてまとめた評伝
「原民喜は死によって生きる作家」幼少期における家族の死、愛する妻の死、広島での被爆経験が基調となっていると…のこと
この本に書いてある原民喜像と「孤独」が結びつかない。自死の数ヶ月前から友人たちを訪ねたり、17名の人に遺書を書いたり、20才以上年下の祐子との清々しい関係や遠藤周作との親交など 孤独とは無縁に感じる
自死の原因については、明示していない。遺稿「死について」や「永遠のみどり」を読むかぎり、未来に希望を持っているように読める。被爆後遺症やptsdなど精神的な障害はなかったのか?
遠藤周作の日記「原さんさようなら。ぼくは生きます。しかし貴方の死は何てきれいなんだ。貴方の生は何てきれいなんだ」
イエスのみじめな死が弟子たちの胸に突き刺さり、彼らの人生を変えていく〜遠藤周作は、原民喜の死をイエスと重ねていた
原民喜は社会に対して声を上げることをしなかった。細かくかすかな声で、死者のための歌を歌い続けた
個人の発する弱く小さな声が、意外なほど遠くまで届くこと〜それこそが文学のもつ力である
「永遠のみどり」
ヒロシマのデルタに 若葉うづまけ〜ヒロシマのデルタに青葉したたれ
遺稿「死について」
殆どその生存を壁際まで押しやられて〜目も眩むばかりの美しい幻想や清澄な雰囲気が微笑みかけてくる
続きを読む投稿日:2023.08.13
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