日本vs.アメリカvs.欧州 自動車世界戦争―EV・自動運転・IoT対応の行方
泉谷渉(著)
/東洋経済新報社
作品情報
100年に一度の大変革が自動車産業に押し寄せている。
エコカー競争、自動運転、IoT対応・・・・・・世界王者トヨタの行方は?
車載ビジネスはなぜ日本が強いのか。克服すべき課題はないのか。
業界最古参のカリスマ記者の徹底した取材に基づく400兆円市場の最新動向。
~スマホから次世代自動車へ。ニッポン製造業の大逆襲が始まった~
●欧米中の「EV包囲網」を全方位戦略で跳ね返すトヨタの圧倒的な技術力
●ソニーはC-MOSイメージセンサーで半導体世界制覇を目指す
●パナソニックは車載向けリチウムイオン電池の世界シェア40%で首位を独走
●新日鐵住金、旭硝子、積水化学、日清紡・・・自動車素材は100年企業の独壇場
●浜松ホトニクス、デンソー・・・車載向けセンサーでも日本勢が圧勝
●日本電産、村田製作所、TDK、太陽誘電・・・電子部品はEV対応で一気成長へ
●ルネサスの車載向けシステムLSIはシェアNo.1で世界標準プラットフォームに
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この作品のレビュー
平均 3.5 (2件のレビュー)
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泉谷氏が将来の自動車がどうなるのかについて、ご自身の取材をもとに書き上げた本です。彼の本はこれで4冊目となりますが、今までに読んだのは同じく興味を持っている、シェールガス・オイルに関する本でした。綿密…な取材をベースに書かれた本だと記憶しています。
今回のテーマは将来の自動車はどのように変化していくのか、電動化される、と一言でいうことができますが、ハイブリット・プラグインハイブリッド・電気自動車・燃料電池車が普及していくにあたって、既存の自動車メーカが主導権をとりつづけられるのか、部品メーカが強くなるのか、それは日系メーカなのかが焦点です。
結論を言えば、日本の製造業の部品メーカは素晴らしい会社が揃っていて、将来の見通しも明るいというものでした。50歳を過ぎた頃から自動車を運転する機会が減りました、次に買う車はハイブリッドになるのか、すると燃費が良くなって益々ガソリンスタンドへ通う機会が減るなと思いつつ、この本を読み終えました。
以下は気になったポイントです。
・欧州の調査会社の多くは、2030年基準の前哨戦の2021年基準では、日本のメーカ(トヨタ、ホンダ、日産)、ボルボは達成可能と見るが、欧州メーカは達成できない目標を欧州委員会は言っているとした、(p15、53)
・中国の自動車メーカはEVを推進しているが、今後のエネルギー政策を明確にしていないことが問題だろう(p21)
・シェールガスをつかんだことで当面の間(天然ガス換算で750年)は化石燃料を確保できるので、これからもガソリン制御によるエンジン車は圧倒的多数を占めると思われ、HVやPHVがエコカーの大本命になる(p22、120)
・現在、世界で消費されている電力の55%は、モーターに使われている、モータが電気を食う理由は、インバータ(モーターの電源周波数を調整することでモータの回転数を制御する)の普及が甚だ低い(世界では20%)から(p34)
・EV普及により石油消費の50%を占めるガソリンの消費量は削減できるかもだが、その分を上回るほどの電力が必要になる(p40)
・アメリカ2017年では、SUVなどの大型車の販売が凄まじい勢いで全体の6割を超えた、乗用車販売は10.9%減少(p67)
・中国が重要なのは市場の拡大余地のため、自動車保有率は10%、その中国がEVにシフトすると言っている以上、対応せざるを得ない(p79)
・日産はEV以外にも、エンジンで発電してモーター駆動する車種ももっていて、むしろ稼ぎ頭となっている(p80)
・トヨタは、プリウスをプラグインハイブリッドに発展させたが、ここからEVへの流れには大きな溝がある。ところが、日産のノートからEVへの流れは極めてスムーズであり、すでにEVというリーフもある(p82)
・中国政府による補助金は2016年までは1台当り200万円出ていたが、2017年には40%減額となりEV熱が冷めた(p87)
・トヨタは単独で戦うのではなく、スズキ・ダイハツは軽自動車中心、スバルはスポーツ系、日野はバス、トラックという全方位(p96)
・次世代エコカーの本命は、これから20年間に限れば、ハイブリッド・プラグインハイブリッドであろう、理由は、1)省エネ性能に優れる、2)価格もガソリン車に迫るほど、その先は燃料電池車だろう、発電時のCO2も出さなくなるので(p106)
・ガソリンスタンドに落ちるお金(利用者が払うお金)は、EVの急速充電で450~600円程度、燃料電池車は4000円程度で、ガソリン車なみ(p108)
・トヨタあは燃料電池車に関する特許、5680件の特許を全て無償で提供すると表明した、これは、パナソニックがプラズマで失敗した姿を見た。パナソニックはプラズマ技術を囲い込んだので、他社は液晶に流れた(p112)
・トヨタは2018年春を目途に、トヨタ・日産・ホンダ、石油元売り、銀行等、10社を巻き込んで、オールジャパンの水素インフラ会社を設立、2021年までに国内80か所に水素ステーションを設ける予定、運営は岩谷産業やJXTGに委託する(p114)
・EVが本命だと言っているのは、燃料電池の技術を持たない国と、メーカのみ(p116)
・燃料電池は、燃料となる水素などを酸素と化学反応させることで発電するシステムなので、発動機と呼ぶべきである。特徴は、1)発電効率が高い、2)燃料源が豊富、3)システムの小型化が容易、4)コジェネレーションが構成可能(p119)
・シェールガスは掘り始めて1年から2年で枯渇するので効率が悪く大手は手を出さなかった、しかしエクソンが方向転換を表明、理由は従来に比べて効率的にシェール油田を探索する方法が確立したから(p121)
・日本国内には製油所などから出る自家消費の水素がおよそ1500憶立方メートルある、これは230台分(27億)と比較して十分な量(p122)
・家庭用燃料電池(エネファーム)は、都市ガスやLPガスを燃料処理して水素を取り出して、酸素と反応して発電する装置、電気以外に廃熱利用により給湯も可能(p124)
・ほんの数年前までは、これからはイノベーションとシステムの時代でネットのプラットフォームになったものが勝利する、半導体メーカはただの部品屋を言われていたが、IT時代がピークを過ぎて IoTの時代になったことで状況が一転しハードの復権が始まった、この鍵を握るのが半導体である(p161)
・車載半導体は、メーカや車種ごとに求められるスペックが細分化されるので、自社で生産能力を持つことが不可欠になる、車載向け半導体で世界王座に最も近いのは、ルネサス(日立・NEC・三菱電機の半導体部分が合体)である(p167、178)
・今は家庭に引き込まれている電気は直流電気を交流に変えて使っているが、当時(松下幸之助が起業したころ)は、直流であったため非常に危険であり、電球の取り替えも命がけだった。そこで安全、簡単に電球交換ができる電球ソケットを考案する。これを商品化するために1918年、23歳のときに松下電気器具製作所を設立した、その後、自転車用の電池式ランプ、さらには乾電池に進出(p191)
・車載向けに今後伸びが期待されるリチウムイオン電池の5大材料(正極材、負極材、セパレータ、バインダー、電解液)はすべて日本企業(p203)
・リーマンショック後は、自動車の一本足打法ともいうべき日本経済であったが、2017年度のエレクトロニクスは自動車に迫る勢いがあり、この2本柱が日本経済を引っ張る(p255)
2018年10月7日作成続きを読む投稿日:2018.09.30
将来予測がかなり偏っていて、日本勢に対して楽観的であるが、現在の主要プレイヤーや動向を知るのには非常に役に立つように感じた。
投稿日:2021.01.20
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