グッバイ、レニングラード ソ連邦崩壊から25年後の再訪
小林文乃(著)
/文春e-Books
作品情報
五木寛之、藤原正彦氏激賞、期待の新鋭!
十歳のときにみた崩壊直前のソ連邦。
四半世紀後の再訪、ロシアは変わったのか。
その歴史の光と影を綴った渾身のルポルタージュ。
1991年夏、10歳の私はモスクワにいた。
帰国直後、ソビエト連邦崩壊。
2016年、トランプ大統領誕生の当日、私はふたたびロシアに向かっていた。
戦時中、ナチスドイツによって完全包囲され、100万人もの市民が餓死・凍死した
ロシア第二の都市・サンクトペテルブルクで誕生したある曲の軌跡を探るために。
――ショスタコーヴィチ作曲『交響曲第七番』、またの名を『レニングラード』。
ソ連邦崩壊後のロシアは変わったのか。
そもそもロシア革命とは何だったのか。
それぞれの夢と理想、そして現実を伝える渾身のノンフィクション!
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商品情報
- 著者
- 小林文乃
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-Books
- 書籍発売日
- 2018.03.08
- Reader Store発売日
- 2018.03.08
- ファイルサイズ
- 15.6MB
- ページ数
- 264ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (6件のレビュー)
-
2024.2.3市立図書館
同じ著者の「カティンの森のヤニナ」がとてもよかったので、それより前に出ていた本も読んでみることにした。著者は10歳のときに崩壊直前のソ連に子ども記者として滞在したことがあり…、それを原体験としてノンフィクション作家の今があるということで、その原体験の地を再訪した話。
テーマとしてはショスタコヴィッチの交響曲第七番「レニングラード」の誕生からレニングラード初演までの長い道のりをたどる旅で、裏テーマとして映画「グッバイ、レーニン!」へのオマージュを隠した作品。前者は1年ほど前に神奈川フィルの定期公演で聴いた記憶も新しく、もうちょっとはやくこの本に出会っていたかった気もする(またいつか聞けるといいけれど、そうちょくちょく演奏できるものでもなさそうだし…)。映画の方は未見だけど、いつかみてみたい。
そしてまた、この本はソ連という国に重ねて彼女の家族の来し方をふりかえり前を向くための作品でもあった。たしかに、自分ではどうしようもないバックグラウンド、父母から背負わされたもの(でも捨てるに捨てられないもの)を自分なりにどう背負い直して歩んでいくか、というところが人生にはある。両親の宿命や家族の歴史からはのがれられず、それは自分の半身であるのだなあということは私自身歳を重ねるごとに実感が増しており、できることなら、こういうふうに父や母の葛藤や無念を成仏させたいものだと思ってしまった。
レニングラード包囲戦は史実としては知っていたが(飢えて革でも靴クリームでもなんでも食べたというようなエピソードも)、くわしい当時の話を知るとあまりに凄惨だし、でもこれが他人事じゃないのがいまのガザであるし、天災や戦争で自分たちにいずれこういうことが降りかからない保証はない世界を生きていると改めて思う。
そして、欧米でもアジアでも(もちろんイスラムでもアフリカでもない)、まぎれもなく「ロシア」と呼ぶ他ない地域と人々の存在感の大きさをあらためてかみしめた。続きを読む投稿日:2024.02.03
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