IT全史――情報技術の250年を読む
中野明(著)
/祥伝社
作品情報
産業革命のあと、フランスで腕木通信と呼ばれる技術が誕生したのが1794年。そして、レイ・カーツワイルが主張する「シンギュラリティ」、すなわちコンピュータの能力が人間を超え、これまでとまったく異なる世界が現れるのが2045年とされている。本書は、この間250年の物語だ。情報技術の過去を振り返り、現在を検証し、将来を構想する。
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商品情報
- シリーズ
- IT全史――情報技術の250年を読む
- 著者
- 中野明
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 祥伝社
- 書籍発売日
- 2017.07.10
- Reader Store発売日
- 2018.03.02
- ファイルサイズ
- 6.2MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (10件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
情報技術について理解するにあたり、どんな経緯でいまの技術発展があるのかを知りたくて読み始めた。
レビューの続きを読む
情報伝達技術という切り口からコンピュータ誕生の経緯を語っている面白い本だった。ただ、読み切るのには気合が必要。
情報の伝達技術は、腕木通信に始まり、その後暗号化して文字や文章を伝える有線電信へ、そして音声を伝達する有線電話へと移り変わっていく。ただこれらはいずれも、有線かつ情報を1対1でやり取りするための技術であった。
一方で、マルコーニにより無線電信も発展していく。無線電信により今まで連絡がとれなかった海上での通信が発展したそう。やがて無線で音声を届けようとする無線電話が出現し、これが無線かつ情報を1対nでやり取りするラジオ放送に発展していく。
その後は想像の通り、ラジオ放送から白黒テレビ放送へ、白黒テレビ放送からカラーテレビ放送へと続いていく。
テレビ放送がメディアから大衆へ一方通行で情報を伝達していたのに対し、今度は個人が大衆に向けて1対nで情報を発信することが、コンピュータの情報技術により可能となる。
☆ここからがコンピュータの話
シャノンは、ブール代数を電気の世界と結びつけ、ビットという1か0かという選択肢こそが情報の基本単位だと考えた。
このビット(2進数)を用いれば、
・論理演算のAND、OR、NOT
・0と1の組み合わせに割り当てるアルファベットなどの文字
・波形の位置を振り幅の高さとして量子化する音声
・升目に区切り、色の三原色と明暗を特定する画像や動画
を表現出来た。当初は2進数を扱うコンピュータも、10進数を扱うコンピュータも存在していたが、あらゆる情報はシャノンの言うとおり2進数で表現できた。スイッチのオンオフで2進数を扱うハードウェアと、あらゆる情報を表現できる2進数が出会い、コンピュータは計算機以上に発展していくことになる。
この2進数の世界で、コンピュータを特定の目的のために働かせる際、プログラムを書く人間も2進数で操作手順を書かないといけなかった。これを機械語という。人間が2進数でプログラムを書くとミスが多いため、人間の自然言語に近い方式で書くよう開発された。これをプログラミング言語と呼ぶ。だからプログラミング言語は、機械語に翻訳されてコンピュータで実行されるのである。やがてコンピュータは文字だけで操作するCUIから、アイコンをマウスでクリックするなどしてパソコンに命令するGUIに変化していく。
次にネットワークが発展することになる。
アメリカの大学や研究所にあるコンピュータを結んで資源を共有する目的でできたのが、やがてインターネットとなるARPAネットだ。これにはパケット交換方式が採用され、核攻撃にも耐えられる通信ネットワークが構築された。ネットワークにIMPが繋がり、そこにさらにコンピュータが繋がる形式だった。
その後民間にインターネットが広がったのは、WWWの普及が急速に進んだからだった。WWWはハイパーテキスト構造をベースにしており、文書に別の文書のリンク情報を埋め込み、このハイパーリンクをクリックすることで、別の文書への表示を切り替えられた。そしてWWWで表示する文書のことをホームページやウェブページと呼んだ。世界のウェブページを、閲覧用の専用ソフトであるウェブブラウザさえあれば、表示できるようになったのである。
ウェブページはHTMLで記述し、このウェブページにデータの所在を表すURLをつけてウェブサーバーにのせると、HTTPという通信手順を用いてウェブブラウザをもつ世界中のコンピュータに情報を提供できる。こうして、WWWの誕生により個人1対大衆nの情報伝達が可能となった。
これら情報技術は、3Wと言われる
・ソフトウェア
・ハードウェア
・ネットワーク
の3要素からなる。3つのどれかの発展が遅れるとそこがボトルネックになるため、情報技術の発展はボトルネックに依存する。
☆これからの話
情報技術の新たな2大トレンドは、
人間そのものが持つ未使用の情報と、
人間の周囲にある未使用の情報である。
IoTを含め多様な手法で未使用情報であるビックデータを使用可能にしたものの、未だ意味のある表現の形にはなっていない。このビックデータと相性が良いのが、大量なデータを対象に相関関係やパターンを認識するAIである。未使用情報を徹底的に使用可能にして、そこから有用な知恵を取ることができる企業が、今後莫大な力を手に入れるだろう。
また人間とAIの頭脳には得意分野について違いがある。そもそも人には帰納的思考法と演繹的思考法と、仮説設定という思考能力がある。AIは前者2つを得意とするが、仮説設定は人間が得意とする分野である。
この本を読んでいると、今後テクノロジーの進化による正と負の恩恵を受けどう世の中が変わって行くのか怖くなった。主語が個人になるのか、企業になるのか、国になるのか分からないが、情報の可能性を追求し続けた先に見えるのが、幸せであることを願う。投稿日:2021.01.04
知人で文系の大学の講師から、おすすめされて拝読しました。
個人的には、本書に書かれた事で知らなかった事はほぼなかったのですが、過去に自分でこうした事を一通り調べて整理した際、手こずったので、まさにこ…ういう本が欲しかった、という感じでした。
(著者の方の文献を整理し、再構成する力の素晴らしさ、尊敬します)
大変よく整理されているので、保存版として蔵書したいと思いました。
IT技術者や理系でなくても、小学校高学年以上なら読める文章です。
本自体の分量やページあたりの情報量は多いものの、文章の構成も分かりやすく読みやすいし、ITだけでない当時の文化的背景なども絡めた話が書かれているので大変良いです。
内容に関しては、他のレビュアーさんが素晴らしいまとめレビューをして下さっているので、書きませんが、現代において、好む好まないに関わらず、ITは不可避の教養になってしまっているので、どんな方でも読んで損はないと思います。
余談ですが、腕木通信に関して、手軽に体験してみたい方は、ビデオゲームの、アサシンクリードのユニティ、フランス革命時代をオススメします。続きを読む投稿日:2021.09.02
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