誤解だらけの人工知能~ディープラーニングの限界と可能性~
田中潤(著)
,松本健太郎(著)
/光文社新書
作品情報
なぜ各社がこぞってスマートスピーカーの販売に乗り出したのか?――人工知能の研究開発者が語る、第3次人工知能ブームの終焉の可能性とディダクション(演繹法)による第4次人工知能ブームの幕開け。人工知能の次の5年、10年、20年を正しく理解できる決定版!
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商品情報
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - コンピュータ・インターネット
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2018.02.20
- Reader Store発売日
- 2018.02.23
- ファイルサイズ
- 5.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (18件のレビュー)
-
数学科出身で、人工知能に関するスタートアップ企業の創業者である田中氏が、聞き役の松本氏がリードする人工知能に関する大枠の質問に答える形で進んでいく。人工知能の現在地が、比較的フェアな視点で語られている…。
対談形式の本はこれまでの自分の経験上いまいちな仕上がりになっていることが多いのだが、ある程度語るべきことが二人で共有されており明確なので、テンポのよい読みやすい本になっている。
本書の章立ては以下の通り。
第一章 みんな人工知能を勘違いしている
第二章 人工知能はこの先の社会をどう変えていくか?
第三章 社会に浸透する人工知能に
人工知能と言われているものは、現時点のものは「ディープラーニングそのもの」であると言う。将来にわたってそうかどうかはわからないが、そんな状況のものを定義しても意味がないとでも言う。そしてディープラーニングは何かと言うと端的には「分類」することだと言う。特にディープラーニングは画像解析によくその分類能力を発揮しているが、これをして「機械による目の獲得」であるという。松尾豊さんがアンドリュー・パーカーの『眼の誕生』に書かれたカンブリア紀の生物種進化の爆発を生物による目の獲得であったとする説を引いて、同じことを言っているが、同書はここでも紹介される。パーカーの眼の獲得は自分もお気に入りの比喩で、理屈としてもディープラーニングによる機械の目の獲得から今後様々な分野で爆発的進化が起きることを予感させる。
巷のシンギュラリティ論に対して、著者はアンチシンギュラリティで、扇情的にAIが取り上げられることについてはものごとを歪めるものとして、不満に思っている。少なくとも彼らが言うようなシンギュラリティはすぐにはこないと。AIは技術であって、哲学やその類のものではないという意見だ。人間に対するAIの強みはどこになるのかというと明確で、リソースをほぼ無限に拡張できる点と、記憶が完璧な点だ。これにより、これまでできなかったことができるようになり、ある種のもの(チェスや将棋やクイズ)については人間よりもうまくできるようになっている。ただ、それが人間を超えたということにはならない。著者も『AI vs 教科書が読めない子どもたち』や『はたらきたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える言葉』などで言われているように機械による意味理解は大変難しいという。その通りだと思うし、この認識については、広く共通認識となってほしいと個人的にも思っている。
また、ディープラーニングにも得意不得意があり、それも含めて徐々に浸透することが見込まれるので、しっかりと足元を見て推進していこうよ、というのが著者のメッセージなのかと思う。
一方で、実際的な課題としては、技術人材、組織の理解、学習データ、の不足が挙げられる。ハードウェアの制約がGPUやクラウドの登場によって解消された今、これらのヒューマン的要素が成長の制約条件として顕在化してきている。特に日本では圧倒的に人材不足だという。日本は少なくとも数学教育では過去の遺産をもって優位に立てていなければならなかったはずだが、そこが劣位になってきているのは危機的なのかもしれない。特に著者は大学における統計学科の創設の推進を訴える。確かに統計学は実学的な部分も含めて専門的に集中して勉強するべき領域でもあると思う。複雑系の学問と組み合わせれば学問的にも面白いことができると感じるので、実学一辺倒というものでもない。就職や就職後の実際に役立つスキルとしてもアピールできるだろうから、大学側の学生獲得のビジネスとして考えるとこれから私大を中心に統計学科というものが出てくるのではないかなと思う。また、著者はPythonなどのプログラミング言語を覚えることも重要だという。プログラミングを通して実際にディープラーニングに触れることにより、より実態に即してAIの適用・不適用を検討できるはずだ。
AIは今後も社会へ浸透していくはずだが、その領域として音声認識による受付、自動運転、顔認識による認証・監視カメラ、医療診断などが考えられる。そうしたことが想定される先に、将来雇用を奪ってしまうことが一部では懸念されている。著者はここでも一般的な極端な予測とは距離を置くべきだとして、まずそういうことは一気には来ないこと、またそれは仕事を奪うのではなく、労働からの開放と捉えるべきだと示唆する。この考えは、ベーシックインカムの思想にもつながり、実際に試験的に導入されているフィンランドやカリフォルニアの事例を挙げる。実際、シンギュラリティが来なくとも、AIによって社会は大きく変わっていくはずだ。
本書はiPhoneの自動音声認識でドラフトされたという。人工知能によって省力化しようという趣旨でもあるので、それを地で行く形になっているということか。
著者の田中さんは一度所属するAIに関する研究会で講演してもらったことがある。かなりくだけたフランクな感じで面白かった。ありがとうございます。聴く前に読んでいればよかったですね。続きを読む投稿日:2018.08.18
ディープラーニングは、学習のさせ方が楽、高次元の学習が可能、過学習をしない、柔軟性に優れているという4つのメリットがある。
マイクロソフトは、skypeに日本語を含む10か国語をリアルタイムで通訳で…きる機能をつけた。
Cogent Labsは、文字認識を行うTegakiのサービスを提供している。
個人を株式会社に見立てて、その価値をビットコインで支払うVALUというサービスが反響を呼んだ(2020年3月終了)
専門家の時間を売買できるTimeBankと呼ばれるサービスも登場している。
労働の対価としての貨幣を中心とした経済が世界を席巻したのは19世紀ごろ。そのタイミングと同時に組織や企業が誕生し、第二次世界大戦後に体系立てて確立された。
サラリーマンのように、会社から雇われて一生を終える人が多かった時代は20世紀だけ。人工知能が社会に浸透して行くと、経営者や個人事業主がたくさん増える世の中になる。 21世紀は人生を生きる能力が必要。続きを読む投稿日:2023.03.25
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