アマゾンが描く2022年の世界
田中道昭(著)
/PHPビジネス新書
作品情報
小売り・流通に変革をもたらしてきたECの巨人・アマゾン。リアル店舗への進出にとどまらず、クラウド、宇宙事業、AIなどの分野へも展開、アマゾンに顧客と利益を奪われることを意味する「アマゾンされる」という言葉が生まれるほどに、勢いを増している。大学教授、上場企業の取締役、コンサルタントという3つの顔を持つ著者が、膨大な資料と独自のメソッドで「アマゾンの大戦略」を読み解く一冊。 【目次】●序章 なぜ今、アマゾンに注目が集まっているのか ●第1章 アマゾンの大戦略を5ファクターメソッドで読み解く ●第2章 なぜ、アマゾンは「現実世界」に参入するのか ●第3章 アマゾンの収益源はもはや「小売り」ではない ●第4章 ジェフ・ベゾスの宇宙戦略 ●第5章 アマゾン、驚異のリーダーシップ&マネジメント ●第6章 アジアの王者「アリババの大戦略」と比較する ●第7章 ベゾスは真の顧客第一主義者か、それとも利己主義者か
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- アマゾンが描く2022年の世界
- 著者
- 田中道昭
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHPビジネス新書
- 書籍発売日
- 2017.12.01
- Reader Store発売日
- 2017.12.15
- ファイルサイズ
- 5.8MB
- ページ数
- 304ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.6 (55件のレビュー)
-
アマゾンを使って初めて購入したのが、確か1999年だったと思います。本当に頼んだものは宅配されるのか心配だったのを覚えていますが、今では留守がちで何度も届けてくださる宅配業さんに申し訳なく思っているこ…の頃です。
この本はタイトルにある通り、遠くはない未来(2022年)には今とは違った暮らしをしているだろうと予測した本でもあります。昨年日本の宅配大手業者が値上げに踏み切り、それを受けざるを得なかったアマゾンですが、この本によればアマゾンは独自で既存の宅配業者に頼らない物流ネットワークを構築中とのことです。
アマゾンのホームページにアクセスすると、なぜこんなに私の興味があるものを提示してくるのだろう、とアクセスする度に何か(本が多いのですが)を買ってしまいます。それもそのはず、アマゾンは私が購入を始めた20年前からのデータをすべて蓄積していて、それをベースに私に推薦してくるのですから。
この本はタイトルからすると、アマゾン礼讃本のように思えますが、著者の田中氏はビジネススクールの教授だけあって、アマゾンを取り巻く分析をしっかりと行っています、フレームワークを使って一枚にまとめ上げた図表も載せてくれているので、私の業務にも役立つと思いました。さらに、この本では、アマゾンの好敵手と思われる、アリババ、についても同様の解析を行い、両社の強みを比較する形で述べられています。アマゾンに対抗するには、このような部分に着目したら良い、というアドバイスも書かれていました。
10年前の私が今日現在の状況を想像できなかったように、10年後には全く異なった世界に私は生きていると思いますが、様々な技術・ガジェットに惑わされることなく、自分は何をしたいのか?を、念頭において今年も暮らしていきたいなと思いました。
以下は気になったポイントです。
・アマゾンのクラウドコンピューティング部門である、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のオープンプラットフォームを利用して仕事をする、仕事を不特定多数の人に細かく分割して行うクラウドソーシングも、最近では付加価値の高い仕事が増えている、人と人がつながってやる仕事こそが、最後まで人に残される仕事である(p7)
・アマゾンは2017年に宅配危機(PEST分析:政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術的要因)を経験し、ヤマト運輸から4割にもおよぶ値上げを短期的にせよ受け入れざるを得なかったことで危機感を強めた、その結果、独自の宅配網を侵攻宅配業者とともに整備、宅配ロッカーも設置するだろう(p10、12、20)
・5ファクターメソッドは孫子の兵法の影響を受けている、道(戦略目標:ミッション、ビジョン、バリュー、戦略)・天(天の時:SWOT,PEST分析)・地(地の利:3C,業界構造分析)・将(リーダシップ:グローバル、社会、組織、セルフ)・法(マネジメント:PDCA等)の面から解析する(p42)
・コストリーダーがもつ選択肢には2つある、1)低価格で商品やサービスを提供可能、2)ほかの競合と同じ価格にして大きなマージンをとる、アマゾンは1)を選択して低価格という形で顧客に還元している(p59)
・全社レベルの戦略は3つ、コストリーダシップ戦略、差別化戦略、集中戦略(コストに集中、差別化に集中)、アマゾンはコストリーダシップと差別化戦略を両立させている(p64)
・4Pはもともと商品の提供者側の概念であるのに対して、4C(カスタマーバリュー、コスト、コンビニエンス、コミュニケーション)は顧客側からの概念である、アマゾンの顧客第一主義は、ここにも周到に練りこまれている(p67)
・アマゾンの時空価値(今・ここで、すぐにできる)における3つの経済とは、規模の経済(スケールエコノミー)、範囲の経済(スコープエコノミー)、速度の経済(スピードエコノミー)であり、参加者が増えれば増えるほど、相乗的にネットワークの価値が高まり、参加者にとって便益が増す(p71、84)
・超長期x超短期の組み合わせ(100年単位で1日を見直す)を事業化しているのがアマゾンである(p89)
・アマゾンが提供するプロモーションは、レビューがかける、など顧客との双方向のコミュニケーションになっている(p117)
・データの属性によるビックデータの分類、マクロ・ミクロ軸と、バッチ・リアルタイム軸がある、1)マクロ情報バッチ(統計分析バッチ)、2)マクロ情報リアルタイム(統計分析リアルタイム)、3)個人特定情報バッチ(1対1マーケティング)、4)個人特定情報リアルタイム(0.1マーケティング)(p137)
・ビックデータxAIを使いこなし、検索上位の商品、人気商品は低価格であるが、ロングテールやあまり数のでない商品はマージンをきちんんととっている、ビックデータxAIx3Dプリンタの組み合わせでは、世界でただひとつ、あなただけの商品が提供可能(p149、159)
・ユーザーの位置x行動範囲x時間データ、がそろえば、より正確なその人のプロファイリングが可能になる(p161)
・ベソスの宇宙事業において、ミッション:多くの人々が宇宙にすめるようにする、ビジョン:(アマゾンが)宇宙ビジネスのプラットフォームを構築する、バリュー:一歩ずつ、果敢に(p168)
・知的な仕事ほど、AIに奪われやすく、中途半端な専門性では通用しなくなる恐れがある、確たるミッションとビジョンをもたずに漠然と仕事をしていると、仕事を失うことになりかねない(p196)
・AI時代においては、未来を創る力、つまりは自分で課題や問題を見つけ出して解決に導く力が必須である(p197)
・企業幹部が身に着ける重要なスキルは、自ら意思決定すべき問題と、部下に任せる問題を見分ける能力である、グーグルとアマゾンのトップマネジメントが意思決定のルールとして共通に指摘している(p225)
・アマゾンは創業当時から、豊富な品揃え・低価格・迅速な配送、につねに意識を集中して、それが実現できるようにプロセスを整備してきた(p229)
・自分で仕入れて自分で売る、直販型がより主体であるアマゾンに対して、マーケットプレイス型主体で、中小企業や個人をサポートするビジネスモデルが、アリババと位置づけられる(p244)
・専門家筋によれば、フィンテック最先進国は中国、その最大のプレーヤーがアリババ、アリペイのアリババである。アリペイがこれほど普及したのは、リープフロッグ(新興国が先進国に遅れて新しい技術を手にしたとき、一足飛びに最新技術の導入が進む)のためである(p249)
・アマゾンは協力会社を、どこか業者扱いするが、アリババはビジネスパートナーとして尊重する態度がある、世界中どこでも72時間以内に配達というポテンシャルを持っている(p258)
・米国、英国といった大国が閉じていく時代、ビットコイン等の仮想通貨の興隆もそれを後押しする(p268)
・特定分野における、集中・差別化戦略が、アマゾンに対抗するための唯一の手段になると考えられる(p286)
・マーケティング4.0の時代において、若者・女性・ネティズンの3つの層がとくに重要であると指摘する、ピアツーピアという関係性のなかで大きな影響力を発揮するから(p292)
2018年1月21日作成続きを読む投稿日:2018.01.20
2017年時点で2022年のAmazonの動向を予測した本
Amazonの特徴や戦略、目的と思わしきもの、他社との比較など
当たっている予測もあったりなかったり
概ね当てはまっている気がする
ロー…ドマップの進捗が早いか遅いかの問題かな?
ヤマト運輸の値上げによる、独自の流通・配送サービスを構築する
他にも宅配ロッカーの設置
というのはドンピシャでしたね
まぁ、そんなに難しい予測ではないですけど
Amazonは単なるECサイトではない
Webショップから実店舗への展開
無人コンビニなどの実装
スマートスピーカーのサービスを軸とした、Amazon生活への導き
他社商品もAmazonで販売、配送を担うという「流通インフラ」化
(そのせいで商品が玉石混交だったりする弊害も起きているけど、非正規品に関する対策もそのうちされると思う)
ビッグデータ利用の先駆け企業
ユーザの位置情報が分かれば、居住地、勤務先、年収、生活などがわかる
今後はユーザに不信感を持たれずに位置情報を取得するサービスが登場するはず
Amazonはユーザーエクスペリエンス第一主義
コスト、利便性「必要なものを、必要な場所に、必要なときに、必要な量だけ」最速で届ける
他社との競合を避けるために低利率に抑える
自社用のクラウドサーバを一般向けサービスにしたAWS
AWSで儲けた金で業界そのものをダンピングしてシェアを広げる
ただ、こんな表現もある
----------------
「よく『アマゾンは利益をため込まず、顧客に還元している』と語られますが、正確には『AWSであげた利益を他の事業に回している』という構造であることが、ここからよくわかります」
----------------
大きな目標としては、宇宙事業のための資金稼ぎ
宇宙事業も自社による独占が目的ではなく、宇宙開発という業界への参入障壁を下げる事が目的
将来は宇宙に人が住める環境を整える必要があるとのこと
アリババとの対比
企業やCEOとしてのポリシーの違い
ユーザ第一主義で、国や社会といった枠組みは考慮していないように思える
「企業は顧客だけを満足させればいいのか」という課題
組織構造
トップダウンとボトムアップの融合
ジェフ・ベゾスは火星人のように理解不能
小さな組織(ピザ2枚でメンバーの食事を賄える程度)の集まり
----------------
「意思決定方法を2つに分類する、つまりは、意思決定には後戻りできるものと、できないものに分類する、そして後戻りできるものに関しては失敗する可能性も織り込みつつどんどん決定すればいいが、後戻りできないものは深く議論する」
----------------
「ベゾスは『自分自身は賛成しないけれど、みんながそう決めていくのであれば、決めた以上は自分もしっかりコミットする』ことがあると言っています」
----------------
「『後戻りできる項目』については部下に権限委譲を進めて、『自分自身は賛成しないけれど、みんながそう決めていくのであれば、決めた以上は自分もしっかりコミットする』と言っているのです。ベゾスが『後戻りできない項目』についての意思決定に深く関与しているであろうことは容易に想像できるでしょう。『組織のなかでできるだけ現場に近いメンバーに意思決定を委ねたい、でもそれは後戻りできることに限定するよ』ということなのです」
----------------
個人的にはAmazonはそこそこ利用している
新刊は予約しておけば当日に配達されて、帰ってきたらその日のうちに読めるし
気になった本もAmazon直営えあれば翌日には届く
Amazonをプラットフォームに、中古の本も安価に購入できる
Prime会員になっていれば配送料無料だし、Prime Video、Prime Musicも利用できる
便利なことこの上ない
確かにこれはシェアを広げるわと思う
その一方で警鐘を鳴らす人の意見も頷ける
各種業界がAmazonの独占状態になってからの値上げには対応できないと
確かに頷けるんだけど、この利便性には抗えない生活に慣れてしまったなぁ……
企業を分析する実例として読んでも面白い
PEST分析
5ファクターメソッドは孫子の兵法の影響を受けている、道(戦略目標:ミッション、ビジョン、バリュー、戦略)・天(天の時:SWOT,PEST分析)・地(地の利:3C,業界構造分析)・将(リーダシップ:グローバル、社会、組織、セルフ)・法(マネジメント:PDCA等)
4C分析(カスタマーバリュー、コスト、コンビニエンス、コミュニケーション)続きを読む投稿日:2023.04.28
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。