享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」
峰岸純夫(著)
/講談社選書メチエ
作品情報
戦国時代は「応仁・文明の乱」より13年早く、関東から始まった――。 享徳3年(1454)、古河公方と上杉氏の対立に始まる仁義なき抗争。以降30年近くにわたる戦乱を著者は、「享徳の乱」と称すべきと学界に提唱した。本書はこの用語をメインタイトルとし、「戦国時代の開始=応仁の乱」という根強い「国民的常識」を正さんとする著者年来の宿願である。
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商品情報
- シリーズ
- 享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」
- 著者
- 峰岸純夫
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社選書メチエ
- 書籍発売日
- 2017.10.10
- Reader Store発売日
- 2017.10.27
- ファイルサイズ
- 21.7MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (11件のレビュー)
-
「享徳の乱」の名付け親だという著者の一般向け概説書。関東で発生した「享徳の乱」こそ戦国時代の幕開けだとする著者の主張を、享徳の乱の過程を通じていろいろな角度から照射する内容になっている。
著者の最も…本書で訴えたいポイントは次の二つとのこと。
◎戦国時代は応仁・文明の乱より十三年早く、関東からはじまった
◎応仁・文明の乱は「関東の大乱」が波及して起きたものである
しかし、読み進めていっていろいろと疑問点が湧いてきた。
まず第一に巻末の年表をみての通り、関東に限ってみてもかなり短い間隔で乱が起きているのが分かる。
上杉禅秀の乱(1416年)、永享の乱(1438年)、結城合戦(1440年)、享徳の乱(1454年)、長尾景春の乱(1477年)、長享の乱(1486年)・・・。
このうち、直接的には結城合戦は永享の乱の結果を受けて、また長尾景春の乱は27年続く享徳の乱の過程において発生している。
さらに京においては1441年に嘉吉の乱、1467年には応仁・文明の乱が発生しており、これらの乱は当然のことながら水平的・歴史的にお互いに何らかの関連があるものであり、乱によっては10年・20年のスパンで続いているので、どの乱が戦国時代の始まりかなどそう簡単に区切り良く言えるものではないのではないか。
次に著者は享徳の乱が中世の「職の体系」を根幹とする守護領国体制(鎌倉府体制)を破壊し、それを契機に一円の領国支配を指向する戦国領主が誕生したとしているが、本書の「むすびに」で書かれてある通り、そうした動きが出るのはむしろ永享の乱終結後の結果として進行していったのではないかと思える。
享徳の乱の過程とその発端となった鎌倉公方と関東管領の対立が、従来の支配秩序を破壊し「職の体系」を無視した所領獲得が横行したことはもちろん首肯できるのだが、「領主」としての一円支配をこの時点で指向できたかと言えば、古河周辺と五十子陣に諸将が集結・対峙している現状、乱を生き抜くために階層的な家臣団の形成と他領への侵入(強入部)は行われるものの、まだそうしたところまでは至ることができずようやく萌芽し胎動し始めたというのが実情なのではないだろうか。
また永享の乱が応仁・文明の乱へ波及したという主張だが、堀越公方・足利政知に帯同し積極的に外交攻勢を仕掛けていた渋川義鏡の息子が斯波義廉ということを大きな論拠にしているようだが、しかし、関東の上杉氏を後押しし古河公方・足利成氏を潰そうとしていた将軍・足利義政と管領・細川勝元に対し、両者の和睦を進めようとしていたとする斯波義廉・畠山義就・山名宗全の路線の対立という論理構成からするとむしろ真逆の立場であると言え、そもそもそうした対立構造が大戦にまで結び付くかと言うとそこはようようと納得できるものではない。(この手の論述はたまに歴史書でも見かけるが、そのようなことだけで普通は戦争にはならないと思うが如何?)
そもそも堀越公方・政知は結果として伊豆以東へ進出するのを最後まで味方であるはずの上杉方に阻まれており、渋川義鏡がそこまで力を持ったのかという疑問もある。
応仁・文明の乱の発生はやはり、それぞれの家内部の矛盾構造がそれぞれの利害関係に結びついたということが応仁・文明の乱の原因であり、享徳の乱との連動が一因であるとは思うがあたかもそれだけのように「波及」したとまでは言い過ぎのように思える。
逆に本書で良かったと思える点は、新田岩松家純や太田道灌、長尾景春といった乱で活躍した武将らにスポットライトを浴びせたことだろう。
特に太田道灌や私利私欲に走る長尾景春の動向などはとても面白かった。新田岩松家純の私利私欲ぶりも面白かったのだが、著者が狂言回し役と位置付けていた割にはそこまでの働きはなかったようにも思う。(笑)(近年の呉座勇一の『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』もそうであったが、最近狂言回し役を立てるのが流行っているのかな?)
ただ、自分としてはより乱に直接的な立場であった古河公方・足利成氏とか、対する上杉方の要の関東管領・上杉房顕、越後守護・上杉房定と子息の顕定などの動向がもっと知りたかったので、乱の経過の記述としては少し物足りなさも感じたところである。
乱そのものについては、室町時代に関東で発生した有数の大乱であったにもかかわらず、われわれ後世の人々にはあまり知られておらず、こうしたところを掘り起こし世に知らしめた点においては高く評価できる。続きを読む投稿日:2018.09.30
『戦国時代は関東から始まった』
と言う主張は、まぁそう言っても良いのかなと思った。
ただ、『応仁・文明の乱は関東の大乱が波及して起きた』
の方は、そう言い切るほどの説得力があったとはいえない。
ちょ…いちょい地図も出てきて理解を助けてくれた。
ただやっぱり登場人物が多くてこんがらがる。
ちなみに再読。
続きを読む投稿日:2023.12.16
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