名作をいじる 「らくがき式」で読む最初の1ページ
阿部 公彦(著)
/リットーミュージック
作品情報
漱石、太宰、谷崎、乱歩・・・・・・文豪の名作に「らくがき」をしたら、小説のことがもっとわかった!東大の先生が考えた、新しくておもしろい読書入門有名作品の書き出しには、読書のヒントが必ず隠れている。最近読書をする時間がない......そんな話をよく聞きませんか? 忙しいなら、まずは最初の1ページを「いじって」みればいい!本書では、名作の最初の1ページをとりあげます。1ページだけでも、名作には気になるところがたくさんあります。そこに容赦なく、思ったことを書き込んでいく! これが、東京大学で教える阿部公彦が編み出した「らくがき式」読書法です。自由に「らくがき」していくうちに、いつの間にか名作の新たな魅力に気づいて、読む手が止まらなくなっていく......レポートや読書感想文にも使える、全く新しい小説との向き合い方がわかります。【目次】まえがき~この本の使い方1. 夏目漱石『三四郎』~目覚めたら話がはじまっていたコラム 先人のいじり~蓮實重彦『夏目漱石論』より2. 夏目漱石『明暗』~小説世界に「探り」を入れるコラム 先人のいじり~小島信夫『漱石を読む』より3. 志賀直哉「城の崎にて」~一行目で事故に遭う4. 志賀直哉「小僧の神様」~おいしい話を盗み聞きコラム 先人のいじり~小林秀雄「志賀直哉」「志賀直哉論」(『作家の顔』)より5. 太宰治『人間失格』~太宰モードに洗脳される6. 太宰治『斜陽』~こんなに丁寧に話すんですか?コラム 先人のいじり~高橋源一郎『文学じゃないかもしれない症候群』より7. 谷崎潤一郎『細雪』~一筋縄ではいかないあらすじ8. 谷崎潤一郎「刺青」~劇場的な語り口9. 川端康成『雪国』~美しい日本語だと思いますか?10. 梶井基次郎「檸檬」~善玉の文学臭11. 江戸川乱歩『怪人二十面相』~ですます調で誘惑する12. 森鴎外「雁」~さりげない知的さコラム 先人のいじり~佐藤正午『小説の読み書き』より13. 芥川龍之介「羅生門」~不穏な世界を突き進む14. 葛西善藏「蠢く者」~私小説に響く不協和音15. 堀辰雄「風立ちぬ」~愛し合う二人は蚊帳の中16. 林芙美子『放浪記』~さまざまな声が混入するあとがき付録 「らくがき式」練習シート
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この作品のレビュー
平均 4.3 (4件のレビュー)
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名作の書き出しを引用し、傍線や書き込みでツッコミを入れていく。
そのツッコミに、いちいちハッとさせられる。
この筆者のヨミは只者ではない。
小説を読み込むとはこう言う事なんだな。
こう言う読みこむ…センスというか、修行ができている人は、小説読めば読む程、どんどん小説の味を噛み締められるんだろうな。
筆者を尊敬してしまいました。
例えばの本文からの引用
____
林芙美子は一見、この「ドライで切り詰めた文章こそが名文だ」という考えを実践しているように見えるかもしれません。でも、実際には冒頭に歌を引用し、しかも未練たっぷりにその歌から距離を置こうとすることで、かえってドライな文章が隠しもつ歌への憧れを漏れださせているとも見えます。『放浪記』の冒頭が力を持つのは、、歌を前にして頑張って「散文」で居続けようとする語り手の、その「がんばり」の過剰さに忍耐と義望とが見て取れるからです。続きを読む投稿日:2021.02.09
ブクログ様から頂いた、大変エキサイティングな本。
頂いてからまあひと月以上、さんざん私はこの本を読み返し、どうしても好きになれなかった作品に取り付いては、噛み砕いていた。
大体我々は、本を汚しちゃ…いけないと思っているフシはないか?愛書家たるものきれいに読みたくて。それはそれでもいいのだけれど。読書が苦手な方も特に。書き込みなんかしたら文句言われそうで、きれいに積読。あるのでは?
ところがこの本では、思ったことをバリバリ書き込んで良いという。しかも通読じゃなくっていいという。最初の1ページ。つまらない、分からない。疑問に思った心の声を本に書き込み、ツッコミまくって読んでいいという。そこには「いい子の顔」「わかったフリ」「カシコいという見栄」一切必要ない。もちろん、共感もあり。
実際に著者の阿部公彦先生が、有名な(作品名はなんとなく知ってる)作品に、ツッコんでる例を載せておられる。もう、その書き込みが面白い。私達はどこかで、いつもこういう事は言っちゃいけない、とか制限をかけているけど、それをやめると実に読書が気楽なのである。
自分しか見ていない本。そこでくらい正直でも死にはしない。私は、ブクログでも何度も投稿しているが、漱石が嫌いだった。どうも重苦しく肌合いが合わない。好きなのは『坊っちゃん』『虞美人草』だけ。そこで苦手の『こころ』に書き込みをしてみた。
「ややこしい」とか、
「どうして全員そう悲観的なの?近代日本でしょ?新時代よ?もっと、一旦難しく考えるのよせば?」
とか、まあよくも嫌いな理由が書けるものだが…。ふと。こんなことを書いた。
「まるで服や建物だけ通気のいい華やかさ。心の中には暗い日本家屋に閉じ込めた、旧来日本のしっぽがくっついている。まるで食べ残したエビフライのしっぽのよう」
外見だけ颯爽と。内心は神経質な陰影のある和室においている。そういう印象を持ったわけだ。まあ、これでは齟齬が起きて、苦しくもなるのだろう。これが、漱石の描いた、明治という時代の正体、実感なのかな?って感じて。粗雑な感想だが、ちょっと近づけた気がした。
次に同じように、卒業研究のために読むべき本に、コピー取って読んでみる。まあ出るわ出るわ。共感、批判、疑問、エモい…そしてもっと深掘りすべきところ、そっとしておくべきところ…。その本に対して思ったことが、一目瞭然。ノート作り直すよりよっぽどアクティブで、頭に残る。次開いたら一発でその記憶がわっと押し寄せてくる。
正直、使えると思った。手を動かして読んでるから、意外と飽きない。そのとき考えたフレッシュな気持ちや意見や考察を、二度読みしないでもとっておける。
どんな相性の悪い本も、分からない箇所も、どこでどうわからなかったのか、つまらなかったのか、または面白いのか、二度目からは自分が最強の案内人になってくれる。だから、うりゅうりゅ言いながら、なんだかんだで読み通してしまうのだ。
読書感想文なんか、この書き込みを正直につなげて整理したら、まんま書けてしまう。真っ白の愛想のない本を、ええと、何だったっけとひねり回す、あの面倒くささ、ウザさとはおさらばできる。苦手な方にこそやってみて欲しい…。ほんとにその通りだった。
これは著者がたいへんに優れた読み手であることの証であるし、読書のやり方、手の内を気前よく見せてくださってるということなんだけれど。
私、ついでに告白すると、志賀直哉の小説って、
『女性が子供連れで列車に乗ってて、信玄袋持ってる』
という描写だけを、子供の頃から覚えてて。信玄袋って言葉から、あの、きなこと黒蜜で食べる信玄餅を連想し、紺の絣生地に、白と赤の武田菱の模様の袋を想像。中にはおみかんやおいしいお菓子、手慰みのかわいいおもちゃもあると、そこまで事細かに書かれてもいないのに思い込んで、内容より、どんなお菓子が入ってるかばかり考えていたことが、この読書法によって判明した。
読書なんて、そのくらいのんきに読んでも良いのだ。お菓子の味を、生唾飲んで想像していた、小学生の私が、にかっとページの向こうで笑っている。続きを読む投稿日:2023.12.03
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