アジア辺境論 これが日本の生きる道
内田樹(著)
,姜尚中(著)
/集英社新書
作品情報
アメリカ、欧州で排外的な政治勢力が台頭する中、ロシア、中国の影響力が日増しに拡大している。米ソ対立の冷戦終結から四半世紀経ち、世界各地に複数の覇権の競合関係が生まれている。はたして、その狭間で日本が生き残るためには何が必要なのか? そのカギは日・台・韓の連帯にあり。アメリカとの一方的な従属関係を見直し、中国、ロシアなど、スーパーパワー間にある中小民主主義国家同士の協力関係の構築はいかにして可能か。世界史レベルの地殻変動と戦後の平和国家的な国のあり方を蹂躙する近年の日本の政策を目の前に、リベラルの重鎮ふたりがその理路を提示する。 【目次】はじめに 日本・韓国・台湾連携の夢 ――これがボクらの生きる道 内田 樹/序章 問題提起 ――自由主義はなぜこれほど脆かったのか/第一章 リベラルの限界 ――「モビリティー」に無力化された自由主義/第二章 ニッチな辺境国家が結ぶ新しいアジア主義の可能性/第三章 アジアの連携を妨げる「確執」をどう乗り越えるか/第四章 不穏な日本の行方 ――たどり着けるか「日本の生きる道」/おわりに アジア辺境の「虚妄」に賭ける ――これがみんなの生きる道 姜尚中/主要参考文献
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商品情報
- シリーズ
- アジア辺境論 これが日本の生きる道
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2017.08.24
- Reader Store発売日
- 2017.09.15
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (10件のレビュー)
-
この本は、内田樹さんの読書会に参加するため、とりあえず一冊読んでおこうと府立図書館で借りて、急遽読んだという経過です(笑)。
はじめに に書いていますが、日本・韓国・台湾の連携の夢――これがボクら…の生きる道 ということでまず内田さんが問題提起し、姜尚中さんが応答し、また問題提起し、議論が深まっていくという形でお話が続いて行くという対話本でした。
序章 問題提起――自由主義はなぜこれほど脆かったのか
第1章 リベラルの限界――「モビリティー」に無力化された自由主義
第2章 ニッチな辺境国家が結ぶ新しいアジア主義の可能性
第3章 アジアの連携を妨げる「確執」をどう乗り越えるか
第4章 不穏な日本の行く末――たどり着けるか「日本の生きる道」
おわりに アジアの辺境「虚妄」に賭けるーこれがみんなの生きる道
でした。
反共法の弊害―マルクスを知らない韓国の人々
日韓の溝を埋める感じの復活
市民デモで政権を変えた初の快挙
ありうるトランプ大統領の弾劾・失墜
アメリカの国力の源泉はカウンター・カルチャー
早く動きすぎたあ安倍の誤算
日本のナショナリストはただのエゴイスト
などなどについて、二人の深い洞察力が面白かったし、納得できる論理でした(笑)。
これで、一応明日の読書会に辛うじて参加できる最低限の資格が得られたのでしょうか?
続きを読む投稿日:2019.10.29
このレビューはネタバレを含みます
読書中のメモ
レビューの続きを読む
●独裁制の反対は民主制ではない。民主制はいとも簡単に独裁制に転じてしまう悪い面を持っている。みんなが難しいことを考えるのに疲れたとき、シンプルな政策を提示する者に政治をゆだねてしまう
●…独裁制の反対は共和制。共和制とは、法の制定者と実行者が別ものである統治形態ー立法権と行政権の分離
●共和制の統治機構は様々。条件は重大な決定は立場や判定基準の異なる複数の審級を経由し結論までに長い時間をかけること
●倒産したら終わりの会社経営と国政を同様に考えてはならない。独裁で迅速な判断ができることを至上命題としてはならない。国政は会社経営と違って間違えたら取り返しがつかないのだから。
●憲法22条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」。自民党の憲法改正案では、「公共の福祉に反しない限り」を削除しようとしている。(他の条項とは逆の動き)これは自民党の人々が都合が悪くなったらいつでも日本を捨てる権利を確保すること。自由と言う概念はいつのまにか機動性(モビリティ)概念に置き換えられ、機動性の高い、グローバルに活躍できる人材だけが高く各付けされる現状は奇妙だ
●機動性が高い人間というのは周囲にその人がいなくなっても困る人が誰もいないということ。なんでそんな人間の評価を高くしないといけないのか
●独裁を目指す行政府は立法機関の威信の低下をめざす。ゆえに、自民党は議員候補には無能なイエスマンをわざと選んでいる。そして議会不要論が蔓延する
●自民党新人議員はイエスマンばかりで党の言うなり、派閥を作る力を持つ者はもちろんいない。議員はとにかく拍手喝采してればいいという独裁の典型へ近づく。中国や北朝鮮と変わらない
●日本の司法権は弱すぎる。高裁で国に不利な判決は出ない。高度に政治的な問題は裁判の範疇外とされる
●日本の自衛隊員 インド洋の補給活動、イラク復興支援にあたった56名は帰還後に自殺した
感想
世界の自国ファースト主義化、日本の政治や社会のあれこれに対する考察と批判、なかなか勉強になるところあり、なるほどと思うところあり。
2017年出版の本だから、コロナで世界が大きく変わったため古く感じる面もある。
しかし、これからの日本は韓国台湾と協力すべきというアジア主義については、今ひとつピンとこなかった。
基本的にはいい話なんだけど、学者っぽい理想的なものの見方に鼻白む論がそこここにあった。
現実ではなく楽観的な目で印象や見通しを立ててしまってるのでは……と疑問が湧いた。
いい話、聞いて賛成してくれる人が増えるといいね
としか言えない。続きを読む投稿日:2021.11.30
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