人事評価はもういらない
松丘啓司(著)
/ファーストプレス
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GE、マイクロソフト、アクセンチュア、ギャップ、アドビシステム、メドトロニックなど、名だたる企業が年次評価の廃止に踏み切っている。その理由は、年次評価が個人と組織のパフォーマンス(業績)向上に役立っていないと判断されたからだ。年次評価を廃止した企業では、新たなパフォーマンスマネジメントの導入のために多大な投資が行われている。年次で社員にA・B・Cとレーティングするのに時間をかけるのではなく、リアルタイム、未来指向、個人起点、強み重視、コラボレーション促進といった原則に基づくパフォーマンスマネジメントを実現することで、より多様な人材を活かし、より変化に機敏な組織の構築を目指しているのだ。それは、さらなる成長に照準を合わせた人材・組織戦略なのである。翻って日本企業の現状を見ると、20年前に導入された成果主義人事の仕組みが制度疲労を起こしている。・年次評価が社員の動機付けや成長につながっていない。・目標設定や評価の面談が形骸化し、年中行事のような儀式になっている。・上司が率直にフィードバックできず、評価結果が上振れする傾向にある。・面談では評価の理由説明に終始し、前向きな話題がほとんどない。・評価の内容が業績中心で、人材開発の要素が乏しい。・会社の目標を個人にまで割り振ると全体の目標が達成できると信じられている(もはや幻想であるにもかかわらず)。・評価制度を精緻化しようと工夫し続けた結果、複雑になりすぎて現場で運用できない。・多様な専門性や価値観をもった人材を、画一的な尺度で評価すること自体が難しくなってきている。・社員が個人主義的になり、コラボレーション力が低下している。・成果主義人事がマネジャーの裁量の幅を狭め、ミドルアップダウンと言われたかつての日本企業の強みが失われている。人事評価はあって当たり前という固定観念を、そろそろ払しょくすべき時期である。
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この作品のレビュー
平均 3.7 (10件のレビュー)
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タイトルは過激。しかし読めば納得。いかに自分が固定観念に囚われていたかを思い知らされてしまった。
本書の発行は2016年である。
果たして2016年を振り返ると、この時点で自分がこの発想に至っただろう…か。
当然著者自身の発想というよりも、アメリカの流れなどを事例に沿って説明をしてくれているものだ。
つまり2016年以前、もっと前にアメリカの有名企業はMBOからとっくに転換していたのである。
そんなことも知らずに、今までの目標管理制度(MBO)を全く疑いもなく実施していた自分が恥ずかしい限りだ。
毎年毎年目標設定する時は「こんなものに意味はない」と思いながら、いざ設定したらMBOの存在自体も忘れてしまう。更に言うと設定した目標そのものも忘れてしまう。
それで半年や一年後に振り返ったところで、忘れている当人からしたらそんなものは存在していないに等しい訳だ。
これで会社全体の業績なんて良くなる訳がない。
実際は当社(私)が特殊なだけで、MBOが正しく運用できている会社も沢山あるとは思う。
さらに補足すると、私の所属する会社はそんなMBOを正しく運用出来ていないのに、当時の業績はそこまで悲惨な状況ではなかった。(まぁまぁ良かったということだ)
だからMBOのこの状況を疑いもしなかったのだろう。
しかしながら冷静に考えると、当時業績が悪くないからと言って、売上が10倍になった訳ではない。
利益が100倍に増えた訳でもない。
つまり経営状態は悪くはなかったが「全く成長していない」という状況になっていたのだ。
それを許してしまっていたのだ。
これが日本全土で行われていたとしたら、日本経済が拡大できなかった理由もよく分かる。
もちろん、今では「成長すればいいという訳ではない」という別の理屈も出てきている。
ESGやSDGsなどもその流れであるが「いたずらに成長を目標とせず、別な社会課題の解決を目標とする」のもよく分かる。
しかし、我々の状況は単に「成長しようと真剣に考えてなかった」ということなのだ。
「成長したらいいな」とは思っていた。その程度だ。
心の底から「何が何でも増やしてやる!」という意気込みではなかったのが正直なところだ。
それで何とかなっていた時代はもうとっくに終わった。
成長だけが目的ではないのだが、現状維持すら難しい状況なのは確かだ。
もう様々な過去のものを抜本的に見直す時期なのだと思う。
未来がどうなるかは想像できない部分も多いのだが、少なくとも現状維持はあり得ない。
過去の成功にしがみつくのは今すぐ止めるべきなのだ。
そういう意味で著者の提言は正しいと思う。
結局企業とは「人」で成り立っている。
どの経営者も同じことを言うが、本当の意味で人材活用を実践出来ている企業はどれだけあるのだろうか。
人事というのは本当に奥が深い。
特に「人事戦略」が経営で最も大事なポイントと言える。
どういう手法で、どういう手順で人を採用し、育てていくのか。
それらをどう配置させ、企業にとっても本人にとっても能力を有効に活用するのか。
そのためにも「人事制度はもういらない」なのだ。
「制度」の問題ではないのである。
限られたリソースを形骸化したMBOに振り向けてはいけない。
我々はもっと真剣に考える必要性に迫られているのだ。
今のままでは各企業の優秀な人材が沈没していってしまう。
タイムリミットは本当に残り少ないのである。
(2022/3/7)続きを読む投稿日:2022.03.09
概念は理解できるが具体的なソリューションが明確になっておらず、制度企画担当としては期待を越えていない
投稿日:2021.12.04
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