通貨の未来 円・ドル・元
英『エコノミスト』編集部(著)
,池村千秋・訳(訳)
/文藝春秋
作品情報
複雑化する経済を見通す鍵は「通貨」にあった。英一流誌の予測から、あなたの未来も見えてくる。グローバルエリートを中心に世界200ヶ国以上で読まれている一流誌、英『エコノミスト』編集部と、そのシンクタンク「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が、総力をあげて、日本、米国、中国の未来を、通貨を通じて分析・予測。・現在の世界経済の最大の問題は、米国が世銀、IMFへの責任を果たさないなか、オフショアドルの市場が膨らんでいることだ。ここには危機の際の「最後の貸し手」がいない。・世界の市場において人民元が台頭するのは確実だが、少なくともあと5年~10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失うことはない。・アベノミクスの評価は総じて失敗。マイナス金利を実施しても融資は増えない。・2016年~2020年の間、日本経済の実質成長率は年平均1%。・TPPによる恩恵は2020年以降にならないとあらわれない。・人民元の国際化は、中国国内の完全自由化とトレードオフである。日本のメディアでは絶対できない徹底予測!
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商品情報
- シリーズ
- 通貨の未来 円・ドル・元
- 著者
- 英『エコノミスト』編集部, 池村千秋・訳
- 出版社
- 文藝春秋
- 書籍発売日
- 2016.04.15
- Reader Store発売日
- 2016.04.15
- ファイルサイズ
- 2.2MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (6件のレビュー)
-
★2016年7月10日読了『通貨の未来 円・ドル・元』英国エコノミスト編集部著 評価A
イギリスのエコノミスト誌の編集部がまとめるドル、元、ビットコイン、円の将来に向けての課題と将来像を描く。
邦題…は、円・ドル・元だが、章立ては、ドル、元、ビットコイン+付録で円という構成。
無理やり、円を付け加えた感じだが、最終章の円の予測はかなり確率が高いと思われる。
目次
1.ドルの未来 責任を放棄した王者
①ドル支配の限界とコスト
②基軸通貨が交代するとき
③プピュリストたちの台頭
④最後の貸し手がいないシステム
⑤ニューヨークを人民元の取引ハブにする
2.元の未来 両刃の剣
⑥人民元は基軸通貨になれるか?
⑦市場全面開放というトレードオフ
⑧2016年の元安の意味を考える
⑨習近平のジレンマ
3.仮想通貨の未来 究極の基軸通貨か?
⑩絶対に改鼠できないサイバー上の公開帳簿
⑪仮想通貨が帳簿の世界を変える
4.円の未来 黄昏の安定通貨
⑫マイナス金利という実験
⑬アベノミクスを採点する
<備忘メモ>
■現在の経済危機発生時には「最後の貸し手」が存在しない。
ニューヨークドル決済システム(CHIPS);加盟行5-6行を通しての歪んだドル取引
⇒オフショアドルの拡大=危機発生時には対応できない可能性が高い
・現在アメリカでは党派対立激化し、ポピュリストが台頭
・グローバリゼーションへの反感が高まっている
・金融界への不信からウオール街から政府要職への移動が困難に
■アメリカが金融面の影響力を政治的な武器に使う傾向が強まる
■いまだにドルのライバルはない。ユーロ:将来に渉る存続の保証なし
元:金融市場の全面開放がなく、法の支配なし
■対策
米国主導の国際機関:国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)=改革必要
IMF:融資能力を3倍に引き上げ3兆ドル、自国拒否権の放棄(米国)
FRB:外国中央銀行への流動性供給を上限なしとする。 通貨スワップ交渉実施対インド・中国
■ビットコイン
ブロックチェーン=ビットコインの取引履歴をすべて記した分散型データベース(台帳)のこと
すなわちそれが信用を作り出すシステム⇒将来、企業や政府のあり方をも変化させる、世の中の作りを根本から変える可能性をもつ
通貨としてだけでなく、土地の登記、貴重品や美術品の権利登録などにも応用可能
■円
・2016-2020年の日本経済の実質成長率は年平均1%
同消費者物価上昇率は年平均1.1%
・自民党政権は盤石。ただしアベノミクスの全面的成功はない。
・金融政策では、需要不足が原因のため、マイナス金利でも資金の借り手は現れず。
・2%の物価安定目標は軌道修正の上、結局放棄となる
・財政政策では、消費税アップに踏みきれず、2020年の公的債務残高は対GDP比246.5%になる
・国民一人あたりGDPは近々に 米国と並ぶが、インフレ率、賃金上昇率は低く、経済停滞感は拭えない。
・2017年に貿易収支は黒字化し、為替は円高へ。2019年以降インフレ後退続きを読む投稿日:2016.07.10
この本も年末(2016)の大掃除で部屋の片隅で見つけたモノです。私は日本人として、毎日のように「円」を使っていますが、私が社会人になったころと比較してみると以下のことに気づきます。
まず、円と他の通…貨とのレートに大きな動きがあったこと。一番大きな影響を私に与えたのは、米ドルですが、始めて米ドルを意識したときは、120円でしたが、その後円高となり、80円となりました。その後、一瞬ですが140円を超えたこともありましたね。昨年は120円から始まって、一時期は100円を切りました。これに伴って、ほかの通貨(シンガポールドル、中国元)も影響していますね。
為替がどのように変化しても、私は日本人なので、どうしても「円」で換算してしまいます。円安になるならば、外貨建ての資産のほうが良いのだろうか等、悩ましいです。
さらに、これらとは一見関係のないような通貨、仮想通貨というのでしょうか。仮想通貨というものを昨年初めて、認識しました。これからは、国が発行するものではない通貨も使われていくことになるのでしょうか、これからの動きが気になりますね。
以下は気になったポイントです。
・アメリカの経済力の実力と金融面の影響力のギャップが広がりつつあることは、ほかの国にとっても問題を生み出す、ドル支配のコストがドル支配の恩恵よりも大きくなり始めている(p15)
・新しいテクノロジーが登場するたびに、アメリカがその王者になっている。クラウドコンピューティング、e-コマース、ソーシャルメディア、シェアリングエコノミーを土台として新時代にアメリカは堂々と君臨している(p31)
・IMFは新興諸国から十分に受け入れられていない、IMFは方針を変更して、極めて堅調と評価した国に融資枠を与えることにしたが、その対象は、メキシコ・コロンビア・ポーランドのみ(p51)
・多くの国は、いざというときに備えて、アメリカ国債を購入するという形で、莫大なドル建ての準備資産を積み上げている(p59)
・投資家の選択肢が、ゴールド以外にも格段に増えたのが、金が精彩を欠いている理由の一つ。株式、仮想通貨などに投資できる時代となった(p92)
・国境を越える取引の45%はドル建てで行われている、国際業務にかかわる金融機関は、決済・現金管理のためにアメリカの金融システムにアクセスする必要がある(p97)
・ドルが基軸通貨を続けられるのは、厚みのある金融市場、強力な法制度、透明な政治プロセスである。これらの制度に対する信頼が強いので、アメリカとその通貨が安全な投資先とみなされている(p101)
・中国の貿易取引と、対外直接投資のおよそ4分の1は、人民元建てに移行したといわれるが、この数字には、本土と香港の間の貿易も含まれる。本土・香港間の取引では、決済の半分が人民元建て、これを除くと、中国の貿易取引に占める割合は、10%に満たない。世界の金融機関の、用いているSWIFTの決済システムでは1%(p117)
・共産党は、2014年に、国家公務員の就任時に、憲法への忠誠を宣誓することを義務付け、学校で子供たちに憲法を学ばせ、毎年12月4日を「国家憲法日」とすることを決めた(p145)
・仮想通貨のブロックチェーンは、高度な数学と膨大なコンピューティング能力に裏付けられており、オープンであると同時に信頼性と安全性がある。どの時点で誰が台帳を更新することになるかは事前に予測不能、暗号技術を活用することで改ざんを防ぐ(p192)
・2018年までには数年間の円安時代は終わり、円高に進行しはじめて、輸入品の価格上昇に歯止めがかかる(p206)
2017年1月3日作成続きを読む投稿日:2017.01.03
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