Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール
ニール・イヤール(著)
,RyanHoover(著)
,金山裕樹(著)
,高橋雄介(著)
,山田案稜(著)
,TNB編集部(著)
/翔泳社
作品情報
ついに登場! スタートアップのバイブル「実践の現場でもすぐに役立ちます」(リブセンスCTO平山宗介)Facebook、Twitter、Instagram、Pinterestになぜユーザーは「ハマる」のか? なぜこのサービスは注目を集めたのに、あのサービスは失敗したのか? 熱心なファンがつくサービスとそうでないものにある差は何か?デジタルでもアナログでも、すべての企画者・開発者にとっての死活問題であるこの問いに、行動心理学とデザインに裏打ちされた「フック・モデル」という明快なフレームワークと、豊富なケーススタディーで答えるのが本書です。◎フック・モデルの4ステップ トリガー(きっかけ) 人々に行動を取らすための引き金。外的トリガーと内的トリガーの2つがあり、すべてのフックの始まりとなるフェーズ。 アクション(行動) アクションのしやすさと、それを行うための心理的動機の2つを用いて、特定のアクションが発生する可能性を高めるフェーズ。 リワード(報酬) ユーザーを惹きつけるために欲望を生み出させるフェーズ。報酬にはトライブ(集団)、ハント(狩猟)、セルフ(自己)の3つがある。 インベストメント(投資) ユーザーにわずかな仕事をさせて改善を行わせることで、新たなフック・サイクルを作り出す確率を高めるフェーズ。 ※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
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この作品のレビュー
平均 4.1 (19件のレビュー)
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【ユーザーを魅了するプロダクトの作り方】
「ハマる」をここまで丁寧に分析した本は、出会ったことはなかった。
「なぜ人はハマるのか」
「どうすればハマる仕掛けを作れるのか」
それに対して、デザインと…心理学からアプローチしている。実際内容としては、デザインの要素はあまりなく心理学の側面がかなりウエイトを占める。
しかしながら、人がハマるまでのプロセスと、各プロセスにおいてどういう施策が考えられるのか分かりやすく説明しているため、とても参考になる。
読んだだけでは意味なくて、しっかり実践してこそなので、ネクストステップが大事な一冊といえる。続きを読む投稿日:2016.08.05
0.イントロダクション
■リメンバー・アンド・シェア
・習慣とは、無意識、あるいはほとんど意識しないままに行われる行動である
・アクセス、データ、スピードの集中により、この世の中はますます習慣を形成し…やすい場所になっている
・ユーザーの習慣を作り出すようなビジネスは、非常に大きな競争力を獲得できる
・フックモデルとは、ユーザーの抱える問題を、習慣化された行動で解決するという体験をモデル化したものである
・フックモデルには①[トリガー(きっかけをもたらす)]②[アクション(行動をうながす)]、③[リワード(報酬を与える)]、④[インベストメント(投資させる)]の4つの段階がある
1.ハビット・ゾーン(習慣化された領域)
私達が今ここで話題にしている事柄と、ビジネススクールやマーケティング関連の書籍によく出てくる「痛み」という単語と同じというのは、いくぶん大げさだ。そう考えると、「痛み」よりも「痒み」に近いものであると言えよう。痒みは精神を支配し、解消されるまで不快感を引き起こす。習慣化をうながすプロダクトは、単に安心感を与えるために存在する。この痒みを解消するようなテクノロジーや商品を使用することで、即座に安心感が得られ、痒みを無視することができるようになるのだ。そして、プロダクトに依存するようになれば、それ以外に安心感を満たしてくれるものはなくなる。
■リメンバー・アンド・シェア
・ある種のビジネスにとっては、プロダクトの習慣化(forming habits)は、成功の必須要素となる(もちろん、すべてのビジネスにとって必要、というわけではないが)
・根強い習慣を形成することによって、顧客生涯価値の向上、価格設定の自由度の増加、大きな成長、競争力の強化といったビジネス上の利点が生み出される
・習慣は、十分な頻度(enough frequency)と目に見えた使いやすさ(perceived utility)とともに行動が生み出される状況、つまり、ハビット・ゾーン(習慣化された領域)から生まれる
・習慣的なプロダクトは「あったら嬉しいもの(ビタミン剤)」から始まり、やがて、「なくてはならないもの(鎮痛剤)」になる
・習慣的なプロダクトは、「痒いところ」を解消することで、ユーザーのストレスを緩和する
・習慣的なプロダクトをデザインするには、いろいろなしかけを施していくことが必要だ。自分のアイデアを試しながら、ユーザーを惹きつけるコツを発見し、(不健康な中毒ではなく)好ましい習慣を生み出そう(詳しくはChapter8で)
2.トリガー(きっかけ)
■リメンバー・アンド・シェア
・ユーザーの行動をうながす「トリガー」が、フックモデルの最初のステップである
・トリガーには2種類ある。1つは外的トリガー、もう1つは内的トリガーだ
・ユーザーの周りに刺激となる情報を配置して、次にとるべき行動を指示すること、これが外的トリガーである
・ユーザーの記憶を利用して、次にとるべき行動を連想させること、これが内的トリガーである
・ネガティブな感情が、内的トリガーとして機能することがある
・習慣化をうながすプロダクトを作り出すためには、ユーザーのどのような感情が内的トリガーになるかを理解すること、また、ユーザーの行動をうながすのに使える外的トリガーが何なのかを知ることが必要だ
3.アクション(行動)
■行動を起こす3つの要因
・十分なモチベーションを持っている
・行動するための能力を持っている
・行動を起こすトリガーが存在する
■作業の難易度に影響を及ぼす要因
・時間:行動を完了するまでにどれくらいかかるか
・お金:行動を起こすためにかかる財政的費用
・身体的な努力:行動を起こすために必要な労力の量
・ブレインサイクル:行動を起こすためにメンタル面で行わなくてはならない努力と集中のレベル
・社会的な逸脱:その行動がどれくらい他人に受け入れられているか
・非日常性:行動がどのくらい日常の行動に合うか、あるいは妨害するか
■モチベーションと能力、どちらを先に増やすべきか
ユーザーの行動を起こすトリガーについて学び、どの行動を習慣付けたらいいかを決めたら、次はモチベーションと能力を増加できる。では、モチベーションと能力という二者のうち、どちらを先に増やすべきか?どちらにお金と労力を投資するべきだろうか?
答えは、常に能力である。
もちろん、B=MATの3つの要因は、行動が起こるために必ず存在していなければならない。明瞭なトリガー、十分なモチベーションがなければ行動は起こらない。しかし、テクノロジーを開発する企業にとって、より多く投資資金が回収できるかは一般的にプロダクトがどれだけ使いやすいかで決まると言える。
モチベーションを増大させるにはコストがかかり時間も要する。ウェブサイトの訪問者はマニュアルを読むのを嫌う。大抵の訪問者は忙しくて時間がないので、説明文を読むなどという行為は我慢できない。その代わりに、行動を実行に移すために必要な作業量を減らすことによって、行動を起こさせるのは比較的容易である。ユーザーが使い方のマニュアルを読まなくても済むような簡単な操作のプロダクトを開発できれば売れることは間違いないということだ。
■リメンバー・アンド・シェア
・アクションは、見返りとしてのリワード(報酬)を期待して行われる、シンプルな行為である
・フォッグ式行動モデルによって示されている通り、どんなふるまいにおいても、それを行うためのモチベーションと能力、トリガーがすべて同時に存在しなければならない
・意図した通りにふるまってもらうには、はっきりとしたトリガーを用意し、アクションが行われやすくなるように準備した上で、動機付けを行う必要がある
・あらゆるふるまいは、3つのコアモチベーションのうちのどれかによって引き起こされる(3つのコアモチベーションとは、喜びを追及し痛みを回避すること、希望を追及し恐怖を回避すること、社会的な容認を追及し否認を回避することである)
・アクションを行うための能力は、[時間]、[お金]、[身体的な努力]、[ブレインサイクル]、[社会的な逸脱]、[非日常性]の6つの要因に影響される。能力はユーザーによって、それぞれ異なる。
・経験則(ヒューリスティックス)とは、認知的なショートカット、つまり素早く解決するための判断基準であり、プロダクトデザイナーは、これを応用すれば消費者に受け入れられるプロダクトやサービスをデザインできる。
4.リワード(予測不能な報酬)
では、研究者達が発見した魔法の言葉は何であろうか。それは、「それを受けるも、断るもあなたの自由です」。
この「それはあなたの自由だ」のテクニックは、選択能力が再確認されると、私達がどれほど説得されやすくなるかを示すものである。これは人と人との直接的な交流だけでなく、eメールにおいても効果が見受けられる。この研究は、プロダクトやサービスにどのようにこのテクニックが使えるかを調査したものではないが、どのように企業がユーザーの注目を維持したり、あるいは失ったりすることになるのかという重要な洞察を与えてくれる。
■リメンバー・アンド・シェア
・リワード(報酬)はフック・モデルの3番目のステップだ。報酬には、トライブ、ハント、セルフの3種類がある。
・トライブ(集団)は、社会的な報酬であり、他者とつながることで得られる
・ハント(狩獲)は、物理的な報酬や情報である
・セルフ(狩猟)は、本質的な報酬だ。専門的な技能や能力の習得、完成への意欲などがこれにあたる
・人間は自分の選択を自分で決めたい、新しい行動をとりたいといっまた自主性が侵されると、無意識に抵抗を感じるが、これは「心理学的リアクタンス」と呼ばれている。すなわち、ユーザーの自主性を維持することが、リピーターの獲得につながる
・体験の振れ幅が限定されていると、長く利用するにつれて先が読めるようになり、魅力が失われていく。興味を失わせないためには、プロダクトやサービスに無限の可変性が組み込まれていることが必要だ
・報酬はユーザーのニーズを満たすものであると同時に、繰り返して使うことを喚起するものでなければならない
5.インベストメント(投資)
■リメンバー・アンド・シェア
・インベストメント(投資)はフック・モデルの4番目のステップだ。ここで投資とは、時間や行動をプロダクトやサービスに費やすことを意味している
・その場で満足感が得られるアクション(行動)とは異なり、投資は、将来得られる報酬への期待から行われる
・人は何かに労力をつぎこめばつぎこむほどそれを高く評価する。そして、過去の行動と一貫性のある行動をとり、認知的不協和を回避する。つぎこんだ労力はプロダクトやサービスに対する投資を生み、その投資はさらに、プロダクトやサービスに対する愛着を生む
・投資は、ユーザーが報酬を手にした後、そのリワードに対するお礼をしたい気分になってから行われる
・投資として行われる利用の結果、プロダクトやサービスは改善される。すると、再びユーザーに利用される可能性も高まる。投資は、コンテンツやデータ、フォロワー、レピュテーション(サービス内で受ける賞賛)、スキルといった形で蓄積される
・投資は、フック・サイクルを再度回すための次のトリガーを生み出し、ユーザーが同じ道をたどる可能性を高める
6.フック・モデルをどのように活かせばよいのか
■リメンバー・アンド・シェア
習慣化をうながすプロダクトを作ろうとするデザイナーやエンジニアは、必然的に、ユーザーをある意味「操作」することになる。適切なモラルを維持するためには、自分(やそのアイデア)が、次の4つのどれに当てはまるかを考えてみるといい。
・ファシリテーター(住人)
自身がプロダクトを使い込んでいるし、また、それがユーザーの生活を著しく改善していると信じている。ユーザーのニーズをもっともよく理解しているので、一番成功する可能性が高い
・ベドラー(商人)
関わるプロダクトが人々の生活を著しく改善すると考えてはいるが、自分はそのユーザーではない。自分が理解していない相手に対して解決策を提供しているため、勘違いしたり、思い上がったりしやすい。用心しなくてはならない
・エンターテイナー(芸人)
自分でプロダクトやサービスを使っているが、それが人々の生活を改善するとは考えていない。成功することもあるが、人々の生活を改善しないので、プロダクトやサービスはスタミナに欠ける
・ディーラー(売人)
プロダクトやサービスを使わないだけでなく、人々の生活を改善することも考えない。長期的に見て成功する可能性がもっとも低く、倫理的にも危ういポジションにいる
7.ケース・スタディ:聖書アプリ
■リメンバー・アンド・シェア
・Bible Appはデスクトップのウェブサイトとしてはあまり魅力的ではない。モバイルというインターフェースに特化しているからこそ、多くのトリガーを提供でき、高い利便性と利用頻度の増加が導かれるのだ
・Bible Appはあらかじめ準備された興味深いコンテンツに加え、音声という選択肢を提供することにより、利用者がアプリを起動する可能性を増やしている
・聖書の句を細かく分割することで、利用者はより気軽に毎日聖書を読めるようになる。句が日々配信されることは、利用者が配信を毎日待ち望むという価値を生み出す
・機能は使えば使うほどユーザーの利用データが蓄積され、それがアプリにさらなる価値を加える。これは、利用者をアプリに没頭させる重要な要素である
8.習慣性のテストと習慣化をうながす機会を探る
■リメンバー・アンド・シェア
・フックモデルは、最初の試作品を生み出す際にも、既存のプロダクトの隠れた弱点を明らかにする際にも適用できる
・リピーターを明らかにしたい時、習慣を形成する要素やユーザーの行動に変化をもたらす要素を明らかにしたい時、テストは大変有効である。テストには「調査」「仮説」「改善」の3つのステップがある
・[ステップ1:調査]人々がどのように行動してプロダクトやサービスを利用しているか明らかにするために、データを丹念に調べる
・[ステップ2:仮説]リピーターを探して体系化する。新しい仮説を立てるために、リピーターがとる行動や経路を研究する
・[ステップ3:改善]より多くの利用者がリピーターと同じ経路を通るようにプロダクトやサービスを修正し、そして結果を評価して、必要に応じて改善を続ける
・自分の行動を鋭く観察することは、新しい洞察力や新たなプロダクトやサービスを生み出す機会へとつながる可能性がある
・フックモデルが特に高速に、高い頻度で機能しているポイントを発見することができれば、そこからさらに新しいプロダクトを生み出せる可能性がある
・ほとんどの人がまだ気付いてもいないし、行ってもいないが、いずれは大きな市場へと成長するような行動が時として存在する
・新しいインターフェースは、行動の変化とビジネスの機会をもたらす続きを読む投稿日:2023.11.11
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