JAが変われば日本の農業は強くなる
杉浦宣彦(著)
/ディスカヴァー・トゥエンティワン
作品情報
農村票を武器に、戦後最大の圧力団体といわれてきた農協の改革が始まった。なぜ、この時期なのか、何が問題なのか? 日本の農業競争力を弱体化させた悪者なのか、それとも、TPPをも含めた食の安心・安全の守護者なのか――。60年ぶりの「農協法改正」を政治的パフォーマンスで終わらせてはならない。たんなる組織改編に終わることなく、後継者育成の仕組みをつくり、新産業としての農業を創造するのはいまだ。私たちの食卓と、農業・農協は不可分であり、改革の影響は少なくない。農協は、一部の産業に従事する人たちだけの組合ではなく、食と生活を支える国民的な組織に生まれ変わる必要があるのだ。
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商品情報
- シリーズ
- JAが変われば日本の農業は強くなる
- 著者
- 杉浦宣彦
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 書籍発売日
- 2015.09.25
- Reader Store発売日
- 2015.10.02
- ファイルサイズ
- 1.2MB
- ページ数
- 176ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (3件のレビュー)
-
以前、講義を受講したことのある杉浦先生の著書、著者はJAグループ自主改革有識者会議の座長という立場にあるが、JA寄りではなくあくまで中立的な立場で書かれている。端的に言えば、政府の責任部分についてもJ…Aを悪者にし、自らを正当化している一面と、TPP問題時などの政府に反対する声を小さくさせたい一面が伺える。ここまで書くとJAの味方と思われるかもしれないが、JAの悪いところもある。過去の財産で食いつなぎ、現代を生きていないからだ。現代は情報があふれかえり、過去のように仲間を形成しないと情報が得られない時代ではない。また保守的な組織であるため、全て自前で揃えようとし、他と協力しない。これらを踏まえ、独立できる農家を支援し、量で勝負しなければならない部分で力を発揮し、アンテナを広く張り、協力していくことが必要である。続きを読む
投稿日:2015.12.10
日本の農業政策の変遷や現状を知るための良書です。本書では、JAが設立された経緯、JAの業務内容などについて説明されています。
①JAとは何か
小規模農家を主な支援として、農家が農機を購入する際の資金…援助や販売販路の確保をしている
②営農事業よりも信用事業の売り上げが大きい
全国の単協のうち約6割は黒字経営で、そうした単協の大半が信用事業で利益を上げている。信用事業で利益を上げているパターンである。地方や郊外では金融サービスが行き届いていないために、地域の人はJAをメインバンクとして活用している。また、ゆうちょ銀行はローンや貸し出しを行っていないために、JAが地方の人の拠り所となっている。
③減反政策について
深刻なコメ余りを背景に1970年代初頭より減反政策が実施されてきたが、それには大きな弊害がある。それは、全国で画一的に生産量を減産していることである。米の消費量が多かったり、米のニーズが高い地域では減反する必要性は無いにも関わらず、すべての都道府県で画一的に生産調整がなされてきた。2018年度までに減反政策を廃止する方針を安倍内閣は打ち出しているが、これは現実に即している。現代では、高齢化に伴い、米の生産量が需要量に追いついてないためである。
④JAの株式法人化について
自民党政権はJA改革の柱として、JAの株式法人化を掲げているが、破綻リスクについて熟議がなされていない。米は、耕作を放棄してしまうと、土地を再生するために、さらに1年が必要となる。他の産業と違って、農業は土地を定期的にメンテナンスする必要性がある。このため、農家が離農した後の土地を再度農業用地として使用する際には、コストと時間がかかる。
⑤食糧自給率はあてにならない
食の安全保障という名の下、食料自給率の向上がわが国でも盛んに議論されているが、食料自給率という指標の信用性については取り上げられていない。例えば、アメリカの酪農家がカナダから飼料用の小麦粉を輸入している場合には、アメリカの食料自給率はどのように計算するべきなのだろうか。続きを読む投稿日:2017.04.09
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