日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略
土屋剛俊(著)
,森田長太郎(著)
/東洋経済新報社
作品情報
日本のソブリンリスクの本質に迫る実践的な運用戦略の書。歴史的・理論的に検証した上、将来的なシナリオ毎のデフォルトの発生確率を明らかにし、投資戦略にどう反映すべきかを示す。
【主な内容】
第1章 ソブリンリスクの論点整理
第2章 未曾有の領域に入ったJGB運用の世界
第3章 日本のソブリンリスクについて考える
第4章 日本のソブリンリスクの将来
第5章 信用リスクと投資運用戦略【基本編】
第6章 信用リスクと投資運用戦略【応用編】
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この作品のレビュー
平均 3.8 (6件のレビュー)
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バークレイズの現役バンカーによる日本のソブリンリスクの概況の説明。日本経済はあまりに巨大であり、また現在対外債務がある訳ではなく、人口動態など先進国の将来を先取りしているフロントランナーで、過去の国家…のデフォルト事例(流動性不足を契機にした韓国へのIMF介入が例示)はあまり使えないとしている。
デフォルト(支払いの遅延等狭義)およびデフォルトライクな状況(ハイパーインフレなどのネガティブインパクトなど広義)の定義。
現状の前例のない巨額の負債のファイナンス我そもそもできている理由:1400兆円の個人金融資産ではなく、企業貯蓄がこの20年の政府負債の増加分をファイナンスしており、デフレ環境が支えている面が大きい。デフレ脱却が実はソブリンリスクを顕在化させる可能性があるとの指摘。
上記デフォルト確率のシナリオ分析。10-20年では増税、発行残高の漸減でなんとかやりくりし、過大な負債比率が継続するシナリオがメイン。狭義のデフォルトおよび過大な日銀引き受けを通じたハイパーインフレなどのシナリオは10%程度。続きを読む投稿日:2012.10.02
外資系証券会社のアナリストによる国家のデフォルトについての本。極めて学術的かつ論理的に国家のデフォルトについて説明している。私には完全に理解できなかったが、結論は明確で、説得力があった。政治家をはじめ…、幅広く人々が理解すべき内容だと思う。
「ハイパーインフレの例:1 1919~25年の間に、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ドイツで、物価上昇率それぞれ、4000倍、2万3000倍、250万倍、400万倍、100万倍に達した。 2 1946年に日本は1079%の物価上昇を記録した。 3 1989年のアルゼンチンで年率500%、1980年~90年にかけて、ブラジルで断続的にハイパーインフレが発生」p26
「世界的な「貯蓄の過剰」と「投資の不足」がソブリンデフォルト発生に密接に関連している」p40
「GDPシェアで世界経済の70%を占める地域が、ほぼ一斉に「高齢化」の問題に直面してくる今後10~30年という期間は、間違いなく人類史上における大きな変化の時代になってくる」p48
「「家計」「企業」「政府」「海外」の資金収支の関係は恒等式」p58
「(日本企業の人件費の削減が余剰資金を発生させていることについて)結果的に「間接的な徴税システム」となっているメカニズムが日本においてはきわめてうまく機能することによって、膨大な政府債務のファイナンスが行われており、この点を踏まえないで日本の政府債務の持続性を議論しても意味がない」p83
「デフレからの脱却(それに伴う実質金利の上昇)がいよいよ本格的に達成されるときに至って初めて「日本財政の破綻リスク」が現実的となる」p113
「(日本は)削減すべき政府の規模は、既に十分に小さい。要は、現在、政治が考えて決定しなくてはいけない点は、国民間の最適配分の構造である」p126
「少なくとも世界標準で見れば比較的慎ましい規模で日本の行政は営まれている。それでもなおこれだけ膨大な財政収支赤字を抱えているという現状は、「受益負担関係の異常化」によってもたらされていることは疑いない」p130
「高齢者が日本における最大の既得権益者であるような状況をつくってしまってはいけない」p215続きを読む投稿日:2018.11.04
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