電力と国家
佐高信(著)
/集英社新書
作品情報
軍部と革新官僚が手を結び、電力の国家統制が進んだ戦前、「官吏は人間のクズである」と言い放って徹底抗戦した“電力の鬼”松永安左エ門、「原爆の先例を受けている日本人が、あんな悪魔のような代物を受け入れてはならない」と原発に反対した木川田一隆など、かつて電力会社には独立自尊の精神を尊び、命を賭して企業の社会的責任を果たそうとする経営者がいた。フクシマの惨劇を目の当たりにした今こそ、我々は明治以来、「民vs.官」の対立軸で繰り返されてきた電力をめぐる暗闘の歴史を徹底検証し、電力を「私益」から解き放たねばならない。この国に「パブリックの精神」を取り戻すところから、電力の明日を考える。【目次】はじめに 電力を「私益」から解き放つために/第一章 国家管理という悪夢――国策に取り込まれた電力事業/第二章 誰が電力を制するのか――「鬼の棲み家」で始まった民の逆襲/第三章 九電力体制、その驕りと失敗――失われた「企業の社会的責任」/おわりに 試される新たな対立軸
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商品情報
- シリーズ
- 電力と国家
- 著者
- 佐高信
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2011.10.19
- Reader Store発売日
- 2014.01.17
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 176ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (13件のレビュー)
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本当の電力自由化とは
第二次世界大戦後、国策として電力事業に国が大きく関与していた。しかし、日本の電力事業発展のためには、分割民営化(九電力体制)する
ことが必要であるという松永 安左エ門氏の強い志のもと民営化が実現され…た。しかし、東日本大震災の東京電力の福島原発事故以降、この九電力
体制は大きな岐路に立たされている。
本書では、民営化に至った経緯と、その後、民営化の志を引き継いでいった東京電力の経営者が、どこかで歯車が狂い、国の力で原子力発電を
推進していくことになったことを解説している。
歴史は繰り返すのか、電力自由化を進めるという名のもと、九電力体制が見直され、国策としていた頃の発送電分離の体制に向かおうとしている。
昔と違うのは、国が電力事業には関与しない姿勢で発送電分離を進めていることだ。
本当の電力自由化とは何なのか?原子力発電を廃止することなのか、または電力料金が安くなることなのか、安くなるが今の安定供給が危うくなる
ことなのか。我々、電力を利用する者が真剣に考えなければならないということをあらためて思った。続きを読む投稿日:2015.02.19
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このレビューはネタバレを含みます
広田弘毅内閣から電力国家管理法案が衆議院に提出され、近衛文麿内閣下に電力国管化。戦争をするために国家管理を強行にした国家総動員法。
レビューの続きを読む
福沢諭吉に教えを学ぶ「松永安佐ェ門」が、国家を電力に介入させずとい…う信念のもとに敗戦後にGHQを利用しながら今の9電力の基盤を作る。
後半は、原子力にいたる今まで。
松永亡きあと東京電力の木川田一隆が何故に原子力開発に手を出したのか?あれほどまでに原子力はダメだと豪語していた者が…。
1954年中曽根内閣 原子力開発推進。
「原子力開発は国家的機関が中心となり挙国一致体制してやるべし」という官の主張に木川田は反応。
国の独占が始まると原子力への警戒感は薄れる。
「ファウスト的契約」とはよく言ったものだ。
木川田、自分の故郷福島に原発を置いた。
1961年電力値上げ。
1974年企業としての献金を廃止。
1976年から社長となる平岩外四。
1977年に木川田が亡くなる。
体制を反転。
国と手を組み原子力村の始まり。
政・官・産・学・メディアの癒着。
国家との緊張関係・企業の社会的責任を失わせた。
今に至る。
松永安佐ェ門は、どう思っているのだろう。続きを読む投稿日:2016.03.16
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