円安幻想
浜矩子(著)
/PHPビジネス新書
作品情報
自国通貨の価値が下がって喜ぶ・・・・・・。よくよく考えれば、これって、おかしくない!?
「円安はデフレ脱却をめざす国内政策の副産物だ。自国通貨安を意図して追求しているわけではない」――これが公式見解でありながら、「アベノミクス」がデフレ・円高からの脱却をめざしていることは疑いない。銀行券を市中に大量に送り込んで経済のバブル化を煽り、日本銀行は市中から継続的に大量の国債を吸収しつづける。
そもそも債権大国である現在の日本が、なぜことさらに自国通貨高を嫌うのか。日本のように大きくて豊かな国が、自国通貨のダンピングで成長効果をねらうというのは、いかにも品位に欠けはしないか。それではグローバル競争に負けてしまう。そう思う向きもあるだろう。だからといって国々が身勝手な行動をとると、結局のところ世界経済に必ず軋みが起きる。成熟経済大国には、それにふさわしい身の処し方があるはずなのだ。
ところが、政府・日銀の政策担当者ばかりではない。私たち国民一人ひとりが、いつの間にか「円高=悪」「円安=善」と洗脳されていないだろうか。自国通貨の価値上昇をつねに嘆き、その価値の低下に必ず祝杯をあげる条件反射的行動には、やはりどこかに履き違いがあるように思えてならない。
いったい日本人は、いつからこの不思議な体質に蝕まれているのか? あらためて円の歴史をたどりながら、この「不条理な円安」の行き着く先を占う。われらが円の通貨史をひもとけば、いかに円が苦労に苦労を重ねていまのポジションにたどりついたのか、そして何より、円の信用力はいまや日本人が思っている以上に絶大だということがわかるだろう。
このまま円は下がりつづけるのか? 日本経済にとってプラスなのか? 私たちの生活は、ほんとうにラクになるのか!? 経済政策の大いなる変化に当面する私たちの最大の疑問に人気エコノミストが答える。
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商品情報
- シリーズ
- 円安幻想
- 著者
- 浜矩子
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHPビジネス新書
- 書籍発売日
- 2013.12.01
- Reader Store発売日
- 2014.01.10
- ファイルサイズ
- 1.9MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (3件のレビュー)
-
タイトルと著者を見ると、日米の通貨戦争の問題点をチクチクとやって、円高万歳、という内容かと思いきや、最終的な着地点はともかく、全体的には通貨の歴史の本だった。
和同開珎なんて久しぶりに聞いた言葉だ。…藩札やら軍票やらといった勝手なカネや、お上が考える以上にしたたかに立ちまわる庶民たち。
やがて円が生まれ、外国との交易が本格化し、行ったり来たりの相克関係を経ながら、円は大人になっていく…かと思ったが、円はピーターパンシンドローム、一ドル360円だったころの、子どものままでいたい! という現在。
通貨を通じたお上の成熟(あるいは未成熟)具合を味わえる本。いろんな竹馬を履いて高くなりすぎると、落ちた時に大怪我だぜ…。
続きを読む投稿日:2014.09.25
浜女史による日本の通貨である「円」について書かれた本です。その中で、金本位制だった時代に、1円=0.5ドル=0.75グラムのゴールド(p23)という記述があり、これが日本の通貨の原点だと私は認識しまし…た。
金の価値から換算すると、円の価値はだいぶ下がったというような考察がこの本によってできたのは収穫でした。
以下は気になったポイントです。
・円という通貨がはじめて登場したのは1871年だが、当時の日本は金欠状態であり、金貨との交換性をもたない不換紙幣であった(p14)
・1967年という、ドルを軸とする固定為替相場制度が続いていた時代(1ドル=360円)に、イギリスが守るべきポンドの声低相場は、1ポンド=2.80ドルであった、日本円との関係では、1ポンド=1008円から切り下げにより、864円となった(p28、32)
・ポンドの対外的な価値が下がると、輸入物価の上昇と国内需給のタイト化の両方向から、国内経済はインフレ化することで、ポケット内の1ポンドの購買力は最終的には低下する(p31)
・和同開珎を出したときの当時の朝廷は、銅銭1文=もみ米6升に相当、5文=布一常と交換できるという関係を定めて、和同開珎の流通促進に努めた(p58)
・日本の通貨第一号である、和同開珎のお披露目が708年、皇朝十二銭のラスト通貨(乾元大宝)の登場が958年、およそ20年に1度のペースで新通貨が登場していた、そのたびにその価値は旧銭の10倍に設定された、そして通貨発行益を政府は得た(p59、60)
・欧州においてユーロ切り替え時において、隠し資産が明るみに出て追徴税をとられるので、それを避けるために不動産取引・家の改造などが増えた(p63)
・皇朝12銭の発行が途絶えたのち、生活必需品(米、絹、布など)が事実上の通貨の役割を果たしていたが、そこで一計を案じたのが平清盛で、中国から貨幣(鎌倉時代は宋銭、室町時代は明銭)を輸入した(p68)
・東の金遣い、西の銀遣いと言われるが、この原因は、産地の問題に過ぎない(p79)
・1835年に発行された「天保通宝」に至っては、かつての「寛永通宝」の5%程度の金しか配合されていなかった、タコがほとんど入っていないたこ焼き(p88)
・銀の含有量から見れば、洋銀1ドル=1分銀1枚が妥当であったが、外国との取引に慣れていない日本は、洋銀1ドル=3分銀という関係が成立してしまった(p95)
・日本の金流出をとめたのは、金貨そのものの品位の劣化改定、これが「万延の改鋳」、1860年に金の含有量を従来の3分の1に落とした貨幣(万延小判、万延2分金)を発行したことによる(p99)
・円の発育過程を追跡するに当たっては、金本位制・紙幣・銀行・戦争、がキーワードになる(p108)
・西南戦争の戦費調達のために政府紙幣の濫発が始まった、そのため、お米の値段が西南戦争前の2倍になった、ただし政府紙幣建ての値段の話(p123)
・日銀のもとで、従来の国立銀行紙幣、政府紙幣はすべて回収整理されて、1899年にはいずれも通用停止となった(p127)
・1897年に新たな貨幣法が制定され、従来の1円=1.5グラムの純金から、1円=0.75グラムの純金へと改定された、このときの日本銀行兌換券は、金貨との交換を保証していた。このときのレートが、100円=49.8ドルであり、1917年の金本位を停止するまで続いた(p129)
・金再禁輸後は、1931年末において、100円=34.2ドルまで円安となった。1932年末には、20ドルとなり、円の価値が半減した(p149)
・国家総動員法に基づいて、価格等統制令が施行されて、ほとんど全ての物資の価格が、1939年9月18日現在の水準で凍結された(p155)
2014年3月30日作成続きを読む投稿日:2014.03.30
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