つながらない生活 「ネット世間」との距離のとり方
ウィリアムパワーズ(著)
,有賀裕子(訳)
/プレジデント社
作品情報
朝起きてすぐツイートしますか?
休日もメールを見ますか?
フェイスブックの書き込みが気になりますか?
毎日、充実していますか?
──七賢人に学ぶ「適度につながらない」ための知恵。
ネット空間で「つながった」生活は、どんどん忙しくなるばかり。
私たちの生活はつながり続けることで本当に豊かになったのか?
じつは古代ギリシャでも同じような悩みがあった!?
ニューヨーク・タイムズのベストセラーともなった本書は
現代の「つながりすぎ」の悩みに古今の賢人の知恵でこたえる
ユニークな実践的テクノロジー論である。
【目次より】
■1.つながりに満ちた暮らしのミステリー
第1章:忙しい! とにかく忙しい!
第2章:母との電話を「切った後」に訪れた幸福
第3章:携帯が使えなくなって気づいたこと
第4章:なぜ「メール禁止デー」はうまくいかないか
■2.「適度につながらない」ための知恵
第5章:プラトンが説く「ほどよい距離」の見つけ方
第6章:セネカが探訪する内面世界
第7章:グーテンベルクがもたらした黙読文化
第8章:ハムレットの手帳
第9章:フランクリンの「前向きな儀式」
第10章:自宅を安息の場にしたソロー
第11章:マクルーハンの「心のキッチン」
■3.落ち着いた生活を取り戻す
第12章:無理のない「つながり断ち」7つのヒント
第13章:インターネット安息日
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この作品のレビュー
平均 3.7 (34件のレビュー)
-
SNSが無くてはならない存在になった今、過剰な繋がりや情報洪水による弊害があると思う。繋がらない選択もあることを七賢人から教わる事が出来ます。
投稿日:2012.11.25
現代人は程度の違いはあれ、ネットワークから押し寄せる大量の情報の処理に追われる。
ニュースであったり、コミュニケーションであったり、その種類はいろいろだけど、ともかく、大量の情報に追われている。
そ…れゆえに、常時なにかに追い立てられているような心理状態になり、SNS疲れやネット疲れという一種の「燃え尽き症候群」が誘発される。
本書の趣旨は、こうした「押し寄せる情報」から、適度に距離を置くことで、情報を自分で噛み砕き、考える時間が必要である、とう事。
だけど、19世紀のラッタイド運動のように、「全てのデジタル情報を遮断し、原始に帰るべき」という内容ではない。
ただ、情報は「オフライン自分で考えてこそ自分の深みになる」というシンプルな内容。
これだけを聞くと、シンプルな自己啓発書的に聞こえるが、本書が素晴らしいと思ったのは、歴史上の7人の人物の事例をあげ、それぞれの時代に、それぞれの人物が感じた「情報が過多になった事への悩みと、対抗する工夫」を記述している事だ。
その考察が、本書を単なる筆者の個人的体験からの自己啓発的内容ではなく、普遍的で深みを持った内容にしている。
7人の人物
1:プラトンの対話篇(アリストテレスの話)
文字の発明により、情報は話し言葉から、書き言葉になった。
それまで情報は会話であり、アテネの喧騒の中で情報を会話によって交換するしかなかった。
文字の発明により、情報は史上始めて「ポータブル」になった。
そして、喧騒から離れて、一人静かに情報を自分で考える事が出来るようになった。
2:セネカの時代(古代ローマ時代の哲学者)
アリストテレスの時代から400年が経過し、文字としての情報は氾濫した。
ローマ帝国はその時代の世界最大の図書館であるアレキサンドリアに大量の書士を派遣し、何十万冊の書籍を「複製」した。
印刷が発明される以前であり、書物はとても高価なものであったが、その時代の貴族階級の流行は、「読書」になり、「知識量を競う」事になった。
そして、情報の氾濫により、読書をする時間がとれなくなり、奴隷に情報を丸暗記させ、それを「まとめ」させて、宴会中にささやかせ、あたかも自分の知識であるかのように吹聴する貴族もいた。
(ちょうど現代で、wikiで論文を作ったり、まとめサイトが氾濫しているような状態だ)
ローマ帝国は植民地統治の為に、文字情報により法律を作り、情報の伝達をするため、巨大な郵便機構を構築した。
人々の日常は郵便の到着を確認する事で費やされ、休養先の保養地でも郵便施設がないとパニックになった。
(ちょうど現代で、ホテルにwifiがなくてパニックになるのと同じw)
セネカは、その時流に対して、情報はやっつけで右から左に流すのではなく、自分で考え、血肉にする事が重要と説く。
「自分の精神や心情を育む上では、大勢の書き手の考えを表層的になぞるよりも、一人の偉大な書き手の思想に深く親しむ事が大事だ。」
3:グーテンベルクがもたらした黙読という文化。
グーテンベルクは言うまでもなく、おそらく人類史上最も革新的な発明、「印刷」を成し遂げた人物。
現代の主要な価値観、民主主義、自由平等は全てここから始まった。
印刷以前、書籍は非常に高価なものであったので、大勢で情報をシェアする為、「音読」が一般的だった。
(なので図書館はとてもうるさかったらしい)
グーテンベルクの起こした革命の別の側面は、
「書籍をパーソナルなものに変質させ、「黙読」の文化を作った事」
これにより、情報はコミュニケーションの派生から、個人が熟考できる「考え」に昇華された。
4:シェークスピア (手帳の登場により、個人が情報を「処理」できるようになった)
※現代で言うMOLESKINE、あるいはiPhoneの登場
5:ベンジャミン・フランクリン(情報の流れと自分を分離する)
6:ヘンリー・デイビッド・ソロー(情報が遮断される茶室的な空間を持つ)
7:マクルーハン (テクノロジーとそれがもたらす喧騒が、直に心をゆさぶる時代でも、これらを遮断する最善のツールは、以前として「人の心」に他ならない。)
面白いのは、古代ギリシャから、現代まで、新しいメディアの登場で、人は情報の氾濫と挌闘し、それを克服してきた。
(克服できず、渦にまかれた人がほとんどだろう)
この考察が、本書を普遍的な内容にしており、一番の重要ポイントだと思う。
(古代ローマで手紙がブームになり、人々が行く先々で郵便局に殺到し、手紙で「ポンペイなう」的な文章を書いているのは笑えたw)
最後に、マクルーハンの章で紹介されていた、20世紀のフロイト派の精神分析学の権威、ドナルド・ウィニコットの文章を紹介したい。
彼は、論文「一人でいられる能力 (The Capacity to be Alone)」で、子供がどう感情的に自立するかを説明している。
彼によると赤ん坊は、誰もいない環境に置かれることによってではなく、そばにいる母親から少し目を離される事によって、一人の状態というものを知るそうだ。
自分から注意が逸れたと感じ取ると、母親と自分は一心同体ではないのだと気づき、「たとえ一人でも、守られているから安心だ」と納得しはじめる。
つまり、「誰かと一緒にいるときに一人の状態というものを理解し、それが自立につながる」。
コミュニケーションによって得られるものは膨大であり、それを最大限に生かす為に、時々自分の中で掘り下げる時間を持つ。
シンプルでとても有益な、情報と共存する知恵だと思った。続きを読む投稿日:2019.01.17
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