文学のエコロジー
山本貴光(著)
/講談社
作品情報
文芸作品をコンピュータで動くシミュレーションとしてつくるとしたら、なにをどうすればよいだろうか。作品をゲームクリエーターの目、プログラマーの目で眺める。構造やメカニクスに焦点を当てる技術を駆使し、文学をエコロジーとして見る。作品世界を探検するための地図を持とう。
小説にはなにが書かれて、なにが書かれていないのか。客観的に作品を眺めることで、見えてくる、楽しめる、作品世界とその魅力。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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文学を読んでいるとき、私たちの頭のなかではどのように作中世界が構築されていくのか。ゲームクリエイターでもある筆者が「文章から読み取れる世界をコンピュータプログラムで作るとしたらどうなるか」をシミュレー…ションすることで、逆説的に浮かび上がってくる〈文学のエコロジー(生態学)〉を考える。
テッド・チャンと一緒に読んでいたのもあってなぜ例文に「あなたの人生の物語」がでてこないんだろうと思ってしまうくらい、言語コミュニケーションがもつ豊かさと不完全さへのまなざしに共通するものがあると感じた。チャンがあの分量で言ったことを説明するにはこの本ちょっと長すぎるんだけど。
バルザックを扱う前半はウンベルト・エーコの『小説の森 散策』のメタフィクション論にも近いんだけど、語り手の声を簡単に作者とイコールで結んでしまっている感じが気になる。エーコのように「ナレーター(語り手)」と「想定作者」と「実作者」はやはり分けて考えないと、せっかく「エコロジー」「疑似環境」を持ちだしても考え方に新規性があるようには感じられない。文中で言及されているピーター・メンデルサンドの『本を読むときに何が起きているのか』のほうがよっぽどわかりやすいし。
論旨がはっきりするのは最終章で、私たちはそもそも現実世界をそれぞれ勝手なフィルター越しに見ることしかできないし、そのフィルター越しに見た世界から勝手に構築した物語=疑似環境を生きることしかできない。けれど文学を読むことは文字という不明瞭なツールを通じて自分の疑似環境から作中世界という他者の疑似環境をひねりだし、自分の疑似環境を客観視したり、新しいものをそこへ持ち帰ったりする契機になるのだと。
テキスト生成AI(ChatGPT)は文章を読んで設計図を引くことができないというのは結構びっくりというかガッカリだった。謎建築の図面を引くなんてそれこそAIにしてほしいことだよなぁ。身体性をもたないAIにはプログラミング言語と実世界の言葉とそれが指している物質を結びつけることができないという「記号接地問題」もテッド・チャン作品とリンクしていたりして、並行して読んだのはよかったかも。続きを読む投稿日:2024.04.27
主張を述べるのではなく、思考を回遊する作品。
文芸作品をエコロジーという視点で多角的に読み解く道程は、のっぺりと文芸作品を味わっていた私に別のもっと高次な味わい方を差し伸べてくれる。
文学作品に触れ…ることで己とは別の擬似環境に触れる。そうすることで、自分が己の擬似環境で世界を捉えていることに自覚され、擬似環境の裾野をさらに広げることができる。自分の世界にさらなる彩りを与えることができる。つまりは、読了後の自分は全く異なる心体に変化しているといっても良いでしょう。
著者の誠実さが溢れている文体で、読み進めるごとに親近感が湧いてくる。バックグラウンドはプログラミングなどの理系素養なのに、文芸作品に対する深い洞察は脱帽もの。だからこそ、本作品のように文芸作品をシュミレータするといった手法が思いつくのだろう。様々なことに興味関心を持ち、身につけていくことによるシナジーがうらやま。自分も手がける領域を広げていこうと決意させられるのです。続きを読む投稿日:2024.05.07
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