二十一世紀の資本主義論
岩井克人(著者)
/ちくま学芸文庫
作品情報
グローバル市場経済にとっての真の危機とは、金融危機や恐慌ではない。基軸通貨ドルの価値が暴落してしまうグローバルなハイパー・インフレーションである。しかし、自由を知ってしまった人類は好むと好まざるとにかかわらず、資本主義の中で生きていかざるをえない。21世紀の資本主義の中で、何が可能であり、何をなすべきかを考察し、法人制度や市民社会のあり方までを問う先鋭的論考。
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商品情報
- シリーズ
- 二十一世紀の資本主義論
- 著者
- 岩井克人
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま学芸文庫
- 書籍発売日
- 2006.07.10
- Reader Store発売日
- 2023.07.28
- ファイルサイズ
- 0.3MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (15件のレビュー)
-
本書は著者が80年代、90年代に書き下ろした論文集(エッセイ含む)を一冊の本にしたもので、私は文庫版を手に取りました。その意味では20年以上前に書かれている論文がほとんどですが、多くの面で現在への示唆…に富んでいると思いました。まず本書の中でメインの論文が本のタイトルにもなっている「二十一世紀の資本主義論」です。岩井氏は、金融危機、経済危機が資本主義を終わらせるのではない、むしろ1997年のアジア通貨危機は基軸通貨であるドルへの信認を逆に高めたと言うことで資本主義を強化したと解釈されていて、資本主義が終焉するとしたらそれは貨幣への信認がなくなった時であると述べています(つまりハイパーインフレーション)。また面白かったのは、資本主義が「純化」すればするほど資本主義の不安定性が増す、つまり貨幣の制御ができなくなるということで、さてこれからの資本主義は再び国家の介入が増えざるを得ないのか、言い換えれば不純化されるのか、という点も興味がわいてきました。また一貫して述べられている、資本主義の本質は差異であるということ。これは産業資本主義だけでなくはるか昔から存在している商人資本主義など資本主義を大きく俯瞰すれば当然それが正しい解釈と言うことになるのだと思います。
2番目には「インターネット資本主義と電子貨幣」という論文が掲載されています。こちらも興味深く読みましたが、こちらについては不遜な言い方ですが、2017年時点のデジタル化の状況を踏まえると著者の論調は「まだまだ見通しが浅い」のではないかと感じました。岩井氏は、インターネットもこれまでと同じ資本主義内の動きであって、電子貨幣はむしろ資本主義の純化を証明していると論じています。私もこれについては同意できるのですが、もし岩井氏が現在起こりつつあるシェアエコと呼ばれる動きを見たらどう評価するのかは興味があります。ただしシェアエコとよばれるものも、大半は貨幣と遊休資産へのアクセスを交換するという点で、既存の資本主義の枠内で起こっている現象だとは思うのですが、IoTのように貨幣を介さない情報シェアリングが価値を生み出す仕組みが登場したり、貨幣を全く介さないデジタルコモンズ上でのネットワーク型物々交換の仕組みが登場しているなど、資本主義とは言えない仕組みすらデジタルは生み出している気配があります(つまり貨幣を必要としない仕組みがデジタルで生み出されている)。その意味で、デジタルは資本主義を強化する一方で資本主義を解体する力も持っているのではないかと個人的には考えています。
いずれにせよ、本書は2017年に読んでも多くの気づきが得られる本で、とても感銘を受けました。オススメです。続きを読む投稿日:2023.04.30
https://calil.jp/book/4480863249
筑摩書房(2000-03-01)の文庫化投稿日:2023.04.30
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