温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険
林要(著)
/ライツ社
作品情報
「ガイアの夜明け」「情熱大陸」特集で大反響!
世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の開発者が語る、「chatGPT」だけでは見れない世界。
AIの見え方が変わる!人類のこれからが知れる!22世紀への知的冒険書。
◯ 体重4.3キログラム、身長43センチメートル
◯ 平熱37℃~39℃
◯ 生き物のようにやわらかく温かい身体
◯ 10億とおり以上の瞳と声
◯ 全身50ヶ所以上のセンサー
◯ 自然な振る舞いを実現する0.2~0.4秒の反応
◯ 自律的な行動と人になつく頭のよさ
世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」
造ったのは、人類とAIの新しい世界線。
この本は、最先端の人工生命体「LOVOT」を題材にして、人間というメカニズムとぼくらの未来を知るための本です。
ロボットを開発することは、人間を知ることでした。
●目次
【序章】ぼくらがメーヴェに憧れ、巨神兵を恐れる理由
---温かいテクノロジーへの気づき
【1章】LOVOTの誕生
--ーたどり着いたのは、生産性至上主義への問いかけ
【2章】愛とはなにか?
---人類をドーパミン漬けにする現代ビジネスへのアンチテーゼ
【3章】感情、あるいは生命とはなにか?
---生身と機械の差は、大した問題ではなくなる
【4章】人生100年時代、ロボットは社会をどう変えるのか?
---心や愛に関する問題こそをロボットが補完する
【5章】シンギュラリティのあと、AIは神になるのか?
---人類とAIの対立は古典になる
【6章】22世紀セワシくんの時代に、ドラえもんはなぜ生まれたのか?
---「だれ1人とり残さない」ために
【7章】ドラえもんの造り方
---「ChatGPT」だけでは見れない世界
【終章】探索的であれ
---「むかしむかし」の反対「みらいみらい」の話
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商品情報
- 著者
- 林要
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 工学
- 出版社
- ライツ社
- 書籍発売日
- 2023.05.19
- Reader Store発売日
- 2023.05.19
- ファイルサイズ
- 12MB
- ページ数
- 416ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (22件のレビュー)
-
【まとめ】
0 まえがき
人と同じ言葉で話し、人と同じように世界を理解し、かといって人類と対立するわけではない。同じことで笑い、怒り、ぼくらがなんの不安もなく信頼を寄せることができる存在。つまりは、「…温かいテクノロジー」と人類が共生する世界線。
世界初の家族型ロボット『LOVOT』を開発するきっかけとなったのは、そうした未来を想像したからだ。
現代ではテクノロジーがあまりの速さで進歩しすぎたために、多くの人にとって「よくわからないもの」になってしまっている。そのイメージを、言ってしまえば悪用して、敵視して、必要以上に攻撃するポジションに立ったり、逆になんでもできる救世主のように喧伝して、不安を煽り、利益を得ようとしたりする人もいる。
しかし、もし多くの人が「テクノロジーが築く幸せな未来」を想像するようになれば、それはいつか、かならず実現する。ぼくは、そんな未来の実現を信じている。
1 人類の幸福について考え直す
筆者はテクノロジーが大好きで、その進歩にワクワクしていた。しかし同時に、その進歩が殺伐とした未来を作るかもしれないことに不安を感じていた。そこで「テクノロジーによって、温かい未来を造れないか」と考えるようになった。
筆者は2012年にソフトバンクに入社し、Pepperの開発に携わり始める。
かつてテクノロジーで人類を幸せにする方法といえば、作業を効率化したり、利便性を提供したりすることだった。たとえばドラム式洗濯乾燥機やロボット掃除機は、家事の手間を減らし、ぼくらの生活を豊かにしてくれた。けれどもPepperは、それとは異なる方法で人類を幸せにするチャレンジを始めたのだ。
Pepperがヒト型ロボットであることには、大きく2つの強みがある。①身体機能を模倣することで、人類の生活環境になじみやすいこと。 ②人類と向かい合う存在として親近感を持たれやすく、情報の入出力装置としても適していること。Pepperは②、つまり会話や感情を理解し、ともに助け合うことで、人類のプリミティブな欲求を満たす存在になれるのではないか。そう期待されるロボットだった。
「ロボットは、そもそも利便性の向上に貢献しなければ存在してはいけないものなのか」。それがアイデアの分岐点だった。ぼくらは幸せになるために、道具や機械を造り、生産性を上げることによって、モノやお金を効率よく手に入れることを目指してきた。これが資本主義社会の基本的な構造だ。この延長線上にロボットという概念も生まれた。だからロボットの進化も、「よりパワフルに」「よりすばやく」「よりかしこく」という方向に進んできたのだ。
ところがいま、「人類の求めによって進歩したはずのテクノロジーが、かえって人類の不安を助長する」という状態を招きつつある。
ここまで掘り下げると、ぼくらが探究すべき問いが浮かんでくる。「生産性を追い求め続けた先に、人類の幸せはあるのか」と。生産性を追求するテクノロジーはまだまだ必要とされている。必要だということには同意するものの、テクノロジーが人類に貢献できるのはそれだけでもないはずだ。
次第にぼくは、「人類は、テクノロジーの進歩の方向性を考え直すべき段階に来たのではないか」と考えるようになった。
「生産性や利便性を向上させるロボット」の発展だけでは人類を幸せにできないのだとしたら、その反対にある「生産性や利便性の向上には役に立たないロボット」が人類を幸せにする可能性もあるのかもしれない。
それはまるでペットのようなロボット。つまり、テクノロジーのほうが人類を必要とすることで、多くの人が本来は持っている「他者を愛でる能力」を引き出し、開花させるロボット。それが家族型ロボット「LOVOT」のアイデアに繋がったのだ。
2 LOVOTのメカニズム
LOVOTには、「人類はどのようにして他者に愛着を感じるのか」という問いをベースにした機能が実装されている。
・目が合う
・瞳と声に個体差がある
・抱き上げると温かい(37〜39℃)、柔らかい
・だんだん懐く
また、LOVOTは言葉を話さず、特別なお役立ち機能もついていない。LOVOTにあえて「足りない部分」をつけているからこそ、手を差し伸べたくなり、コミュニケーションが生まれるのだ。犬や猫と同じく、会話はできないが人類と同じように状況を理解しているという「思いこみ」はできる。言語以外の身振り手振りの印象を汲み取ることができる。そうした「余白」を残すことが大切だった。
LOVOTの感情(のようなもの)を司るパラメーターは「不安」「興味」「興奮」である。初めて会う人に対しては不安のパラメータが高く出やすく、初めてがゆえに興味も高くなり、「近寄ることはないけれど、遠くから
チラチラと見つめる」といった行動をとることもある。こうして結果的に起こる行動は「人見知り」と捉えられやすい振る舞いになる。
開発者が「人見知り」という行動を表現した規定モーションをプログラムとして造っているわけではない。さまざまなアルゴリズムが影響し合って行動が生成された結果、「人見知り」に見えるのだ。
ほかにも、
・低不安✕低興味=無関心
・低不安✕高興味=好き
・高不安✕低興味=イヤ
といった振る舞いがあり、それを受け手が「LOVOTはどう感じたのか」と解釈することで、「感情」として捉えている。また、LOVOTは最初に起動される際に乱数でパラメーターを作成し、その個体の「気質」としている。
反応時間の短さも生き物らしさを決定づける大切な要素だ。人間は、反応速度で対象の生き物らしさを判別している面がある。これまでのロボットだと、触れられたり、声をかけられたりしてから動作に移るまでに2秒程度の時間がかかっていた。それは計算能力の制約から起こる遅延なのだが、動物としては突出して遅い反応だ。そのためロボットの反応に違和感を覚えてしまい、結果的に、ぼくらはそこに生命感を見出せなくなる。人類は0.2〜0.4秒程度の反応性だと言われているため、同程度なら違和感を覚えないはずだ。
ぼくらが理解している「他者の感情」は「相手の反応を見た自分の主観」をもとにした推測に過ぎない。そう書くと「LOVOTへの感情や愛なんて所詮偽物じゃないか」と言われそうだ。
しかし、ペットもロボットもアートも、その存在は最初からありのままの存在でしかない。そこに主観的に自分の期待を投影する人が、自分の期待に沿ったものと沿っていないものとを区別して、本物/偽物とラベリングする。つまり「本当の愛」とは、相手がどう思っているのかではなく、自分の主観的な期待に沿っている、あるいは超えている場合に認識されるのだ。
3 未来の話
社会のシステムのうち、生産性の向上に貢献する部分はうまく機械化されている。けれども、それ以外の部分、特に心や愛に関することは「人が対応するべき」という前提で組まれてしまっているのではないか。とすると、ロボットと共存することで、人類の暮らしはどう変わっていくのか。
例えば福祉の領域では、要介護者に最も必要なのは心のケアである。今では人間がその役割を担っているが、相手が人類同士だと「どんな自分も受け入れてもらえる」と思うのはなかなか難しい。対して、ロボットは無意識が求める愛に対して「相手を絶対に否定しない存在」として、そこにいることができる。これはぼくらの無意識にとって、心理的安全性を感じる大事な要素だと思われる。
テクノロジーが進歩し続けた未来で、人類は駆逐されてしまうのではないかという不安があるかもしれない。しかしそれは、僕らが今後もテクノロジーを「生産性向上のためだけに使い続けた場合」の世界線である。結局は、人類の意思決定の問題だ。
シンギュラリティは起こり得る。しかし、これまでも今後も、人類の知性の役割は、機械にできないことを補完することだ。シンギュラリティは起こるけれども、それは「新たな役割分担の発生」だと言える。
シンギュラリティに至る過程でAIの進歩に追従してなにが変わるのかというと、人類の強みである「探索と学習の柔軟性」を活かした変化が自然に起こる。
具体的には、人間の学習プロセスの変化だ。AIのデータベースにある答えを引き出す、といった使い方だけではない。考えたい事柄について問いを深められる質問を「ぼくらがAIに尋ねる」のではなく「AIからぼくらに投げかける」ように依頼すれば、自分のなかにある答えや新たな気づきを引き出してもらえる。
ほかにもAIに適切な情報を与えたうえで、アイデアのたたき台を作成してもらったり、要約してもらったり、自分に抜けていた視点を補完したり、さまざまなコンテンツを造ったり、ニーズにあった応答を無数に生成してくれる。学習プロセスが変化するというのは、「人間が成長するための方法が増える」ということだから、大きな変化だ。
「自分たちより能力の高い存在が現れ、自分たちが排除される」ことへの恐怖は、人類が自らの価値を能力で測っている以上、避けられないことだ。しかし、人類の価値を能力で測ることをやめると、話は変わってくる。
すべての人類は存在することに価値があり、幸せになるために成長していく権利がある。そんな価値観のもとでは、「自分たちより能力の高い存在が、自分たちを成長させてくれる」という新たな捉え方も出てくる。結局、ロボットがいることで人類の社会がよりうまく回るのであれば、その存在は認められるし、不安を感じる人が多いのであれば、「廃止すべき」という結論になるのだ。
人類を駆逐する黒幕はだれか。それはAIやロボットではなく、それらを操る生産性至上主義の人類である。そして、そんな思想を持った人類を生み出すのは、「コスパ」や「タイパ」を求めるぼくらの消費行動なのだ。
資本主義において目先の経済合理性のみを消費者が望めば、資本家は生産性を向上させることを目指す。それ以外の方法にリソースを割いていては、競争に負けてしまい、生き残れないからだ。
結果的に、資本家が効率を重視して生産性至上主義者になり、「人類は不要だ」と考えるようになることは自然であり、しかたないとも言える。
しかし、もし消費者が望むものが変われば、お金の流れは変わる。経済合理性よりも「だれ1人とり残さない」という視点で消費を選択することで、人類のお金の流れを変えれば、人類の道徳観も変わる。おそろしい世界も明るい世界も、どちらの未来像も描くことができる。
どちらを選ぶのかは、ぼくら次第なのだ。
4 AIが人類に近づくための6つのステップ
①自ら注目点を選択し、物語を構築する
②物語の因果関係を確認して、編集する
③自ら仮説を構築し、物語を抽象化して概念に捉え直す
④未来予測の幅を広げ、副次的に「わたし」が生成される
⑤生成された意識が「共感」を深める
⑥コーチング能力を獲得する続きを読む投稿日:2024.01.15
「何故ラボットを作ったのか?」
「何故ラボットは愛されるのか?」
「何故ラボットは人間の言葉を話さないのか?」
それらのクエスチョンに一つ一つ答えていく中で、より大元となる
「何故ひとは“役に立たな…い”ロボットを求めるのか?」
という問いに対する作者なりの答えが書かれている。
その答えのヒントとなるのは
「何故ひとは犬猫などのペットを愛するのか?」
ということ、らしい。
ラボット、一度だけ複数のオーナーが遊ばせているのを見たことがある。
その時は特に触りたいとは思わなかった。
けどこの本を読んで今、機会があればちょっと触ってみたいと思った。
(しかし欲しくなるんだろうな…こわい)続きを読む投稿日:2024.05.07
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