老後資金2000万円の大嘘
髙橋洋一(著)
/宝島社
作品情報
日々メディアからは年金不安、老後資金、日本経済全体への不安など老後を脅かす様々な問題が煽られている。政府や官僚、金融機関、メディアが報じるお金に関する問題に潜む噓やフェイクを元財務官僚である著者があぶり出す。ファクトを知られると困る人々がいまの日本人の不安を増大させ続けているのだ。
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商品情報
- シリーズ
- 老後資金2000万円の大嘘
- 著者
- 髙橋洋一
- 出版社
- 宝島社
- 書籍発売日
- 2023.03.16
- Reader Store発売日
- 2023.03.16
- ファイルサイズ
- 32.6MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
-
私事ですが先週に59歳の誕生日を迎えまして、所謂定年まで1年を切ることになりました。誕生日の1ヶ月ほど前には年金機構から、65歳から受け取ることができる年金額の試算も届きました。書類には65歳を基準に…、5年間繰り上げた場合と、5年間繰り下げた場合の受取額も記載されていました。
公的年金をいつから受領すべきかを真剣に考えなければならない時期に差し掛かりました。何も手当をしないと自動的に65歳支給となるようですが、貰い始めたら死亡するまで一定額の給付となるので、少しでも受領を延ばした方が良いのかもしれませんね。
そんな私にとって、本屋さんで見つけた高橋氏のこの本のタイトルは眼を惹くものがありました。彼は自分の著者の中で、日本国債も年金も破綻することは無い、ということを具体的なデータをもって説明してくれています。会社員の場合、自動的に天引きされて払うことを拒否できない制度であるので、厚生年金は破綻することはなく、国民年金も本当に払ってない人の割合はかなり少ないようですね。
定年後の暮らしは、政府が設計した想定に従えば、年金だけで普通の暮らしはできると思いますが、その想定外のこと(車保有、ローンが残っている、子供に学費がかかる)がある場合は、その分は自分達で補填する必要があるのは当然のことだと思います。私の場合は、お金をかけて行っている趣味を続けるにはその分は自分で手当てしなければならないと認識しました。
以下は気になったポイントです。
・早く死んだ人の分の保険料を長生きした人に回していることで年金は成立している、これは他の保険でも同じである(p17)年金は貯金ではなく、保険である。長く生きた人を保障する制度である、健康保険は病気にならなかった人の保険料で、病気になった人に保険金給付をする制度である。(p20)年金制度は平均寿命まで生きれば元がとれるように設計されている老後への備えとして最も優れた保険である(p21)
・年金について正しく判断するには、人数に所得をかけた金額が重要になる、人口が減少してもそれを上回るだけ所得が伸びれば問題がない。年金保険料は決まった額ではなく、給与の2割りという年金保険料率だから、現在の現役世代の減少率は1年で0.5%程度なので、この分を経済成長でカバーできれば良い(p25)
・一部のマスコミでは、年金保険料の支払いを免除されている第3号被験者(763万人)、第1号被保険者のうち全額免除、猶予者約612万人を加えて、1481万人を未納者としてカウントして、22%としている、払わなくてはいけないのに滞納している未納者は1.6%に過ぎず大きな影響を与えない。未納者は2017年と2021年を比較すると減っている(p30)
・年金を70歳からもらう人の場合、それまでになくなる可能性が基準の65歳より高くなるので、より支給額が多くなっている、全て計算に基づいているので、どちらが得かという話ではない。政府としては早くもらおうが遅くもらおうがどちらでも関係ないようにできている。年金で絶対に徳をしたいと考えるのであれば、長生きすることを目指すべき(p39)
・年金以外に2000万円の貯金がなければ老後に悲惨な生活を送ることになるというデマについて、想定されたモデルケースは、夫65歳、妻60歳の無職夫婦の収支で、年金による収入月20.9万円に対して、支出は26.4万円、そのため月5.5万円の赤字、そして夫95歳、妻90歳になる30年間で、1980万円が不足、20年間なら1320万円が不足となるというもの。60歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額は2366万円、中央値は1500万円程度である(p59)
・昔は60歳で還暦を迎え年金の受給を受けてリタイア、老後生活を送るという考えでしたが、これは平均寿命が今よりずっと短かったため、1980年の平均寿命は男:73.3、女:78.7歳、令和元年の健康寿命でさえ、男72.6、女75.3歳である、40年前と比べて現代の人は10年間長く働けることになる(p63)
・2022年には円安が進んだが、これはアメリカが金融引き締めを行い、日本は金融緩和したままだったため、円の方がドルに比べて相対的に多くなるので価値が下がる(p82)
・今の都心のマンションの価格の高騰は金利が低いのがう要因の一つである、金利が上がったら不動産の価値は下がる、それまで投資していた資金が他に流れて不動産価格が下がるかもしれない(p124)日銀総裁が変更後に利上げに向かうのはほぼ間違いない(p139)
・頭金ゼロということは、頭金分の利息を追加で支払うことである。頭金が多いほど、その分利息が減るので総支払額は最終的に少なくなる(p145)3割程度の自己資金(頭金)があれば問題ないだろう(p146)
・持家と賃貸の論争とは、住宅ローン(負債)を持つことで、資産と負債を同時に持つことで、資産が目減りしたときに負債が残るリスクを抱えることになる。そのようなリスクヘッジが面倒ならば賃貸で暮らしてお金を貯めて最終的に家を買うか、そのままお金を持ち続けても良い(p151)
・2013年から日銀はお金を刷るようになり少しはよくなったが、それまで20年間刷ってこなかったのでそれほど挽回できていないのが現状である、本来ならば30年くらいで名目GDPが2倍か3倍になっていてもおかしくなかったのが日本である(p191)
・物価を測るのに一番いいと言われるのがGDPデフレーター(名目GDP➗実質GDPx100)である、輸入品のエネルギーが高いと消費者物価指数が上がり、GDPにはマイナスに働いてしまう、2022年7-9月ではまだ、-0.5でありデフレから完全に脱却していない(p195)
・政府は利上げ路線に入っているが、現状のGDPデフレーターがマイナスの時に利上げすれば、一気に景気が後退してむしろ物価が下がる可能性もあり大変なことになる(p199)
・日本企業は外国に生産拠点を移しているため円安になっても輸出が伸びず景気が良くならないと言われている(嘘)が、本当は、外国の生産拠点はドル建てのため、円安によって投資収益が大幅に上がる(p204)
・日銀券は無利息無償還である、日本国内では日銀にしかない負債である、当座預金は2013年までは同様であったが、白川総裁が金融機関にお金を渡すという意味で、200兆円まで0.1%の金利がついている、負債全体で見ると日銀券は無利息、当座預金や200兆円までは0.1%であり、利息は2000億円。資産の国債は600兆円あり、平均利回りは1%であり資産収益は6兆円ある。(p209)
2023年4月2日読了
2023年4月9日作成続きを読む投稿日:2023.04.08
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