イノベーションの不確定性原理 Uncertainty Principle of Innovation 不確定な世界を生き延びるための進化論
太田裕朗(著)
,山本哲也(著)
/幻冬舎メディアコンサルティング
作品情報
そもそもイノベーションとは何を指しているのか、いつどこで起き、
どのようなプロセスをたどるのか、誕生の仕組みをひもといていく。
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移動・輸送の革命や電気・通信インフラの進化、インターネットやスマートフォンの普及と、
人々の生活は数々の変化をし続けてきました。
人類は危機に直面するたび、科学や技術を駆使して生き延びようとしてきたのです。
ビジネスの世界においてイノベーションは未来を切り拓くものであると考えられ、
政府や多くの企業が変革を起こそうと取り組んでいます。
しかし、イノベーションとは何なんなのか、実態はいまだ分かっていません。
一人の天才的な人物の発明によって起きるとも考えられていますが、
実際には単なる発明ではなく、それを社会に浸透させ還元していく長いプロセスを指すのです。
その仕組みが分かれば、次はどこからどんな新しい科学技術が誕生するのかを想像することができ、
社会に大きな変革を起こすための真の近道になるはずです。
本書では物理学とビジネス双方の知見をもつ2人の著者がこれまで重ねた議論をまとめています。
イノベーションを創出し、不確定な時代を生き延びるためのヒントを与えてくれる一冊です。
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この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
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この本はタイトルを見て気になってしまい衝動買いしてしまいました、読み終わってから数週間経過していますが、時間をやり繰りしてこの本のレビューだけは書いておこうと思いました。歴史の授業でイギリスから産業革…命が進展して、そのお陰で当時先を行っていたポルトガルやスペインを追い越して世界の覇権を取ったと、なんとなく理解していました。
しかしなぜ、欧州には多くの国があるのにイギリスが他の国に先駆けて産業革命が進んだのか、理解できないまま今に至っています。この本にはその解答が示されていたと思います。発明をしただけでは「イノベーション」にならない、イノベーションとは人々の生活を便利にさせて使いたくなるようものを生み出すことであると書かれています。
この10年程度を振り返ってみると、それがスマートフォンだと理解できます。これから10年でスマートフォンはどのように進化を遂げていくのでしょうか、また他にはどんな製品が登場してくるのでしょうか。
10年前に今の時代が予想できなかったように、これから10年先は何が起きてもおかしくないと思います。社会人生活もそろそろ第二ステージを迎えることになった私は、今までお行ってきたことの集大成を考える時期にきていると、この本を読んで感じました。
以下は気になったポイントです。
・現在の日本には今のままでも生きていけるという感覚を持っている人が少なくありません、しかし産業革命以降のステージでは、そのプロセスにふさわしい試行錯誤をしなければ生き延びることはできません。新たな試行錯誤に向けて一歩を踏み出すためにも産業革命以後始まっている人類社会の爆発的な進化の様相をしっかりと掴み、進化のプロセスを学んで私たちも歩み始めなければならない(p15)
・スマートフォンは生まれるべくして生まれた、そしてスマートフォンが登場する前と後で人々の生活は全く違うものになったのです。極めて大きな変化であり逆戻りはあり得ない。逆戻りが考えられないほどの社会の変化を導くものこそ、イノベーションであるということができる(p18)
・イノベーションと言われるもののほぼ全てが従来イメージされているような一人の天才的な人間の偉業ではない、同じ考えを持っていた人間は同時代に数多く存在している、画期的な発明・発見というよりは、すでに分かっていることの「組み合わせ・応用」が源泉である、厳密に組み立てられた論理から導かれた結果ではなく、ほとんどが偶然の産物である(p21)
・イノベーションは革命でも想像的破壊でもありません、そのような劇的なものではなく、試行錯誤による淡々とした連続的変化である。レボリューション(革命)ではなく、エボリューション(進化)である(p28)
・我々を取り囲むあらゆる環境変化は、可能性を論じることはできても、それがいつ起こるという確定的なことは誰にも言えません。それは人間の能力が低いからでも、コンピュータの計算能力やAIの能力が足りないからでもありません、生命の進化のプロセスにも人間の社会の営みにも、全て「不確定性」が内在しているから(p45)
・不確実というのは起こるであろう出来事はある範囲で明確だけども、それがいつなのかあるいは実際に実現するかどうかはわからない。不確定とは、答えとして出てくるものは決まっているのだけれど、実際どうなるかは分からないというもの(p46)
・生き残るために必要なのは、ロバストではなくて「アンチフラジャイル」である、外部環境の予期しない様々な変化の中で逞しく生き延びていくのは、ランダムに変異し適合していうものだからである、一つの強固なプランで対応するのではなく、様々なオプション(選択性)をもち失敗を恐れずトライアンドエラーするものこそ強い(p54)
・産業革命は人類社会の革命であった、そこから人類社会の爆発的進化のプロセス(=イノベーション)が始まった(p59)このイノベーションには限られた貴族や支配階級だけでなく多くの市民の参加が必要である。ピラミッドや大伽藍は大規模建築であるが、イノベーションではない。その技術が生活の場面に浸透することなく市民の生活も物質面では何も変わっていない(p63)
・人をイノベーションへ向かわせるのは、モチベーションと知識欲の2つである。どちらか一方ではなく、両方が揃わなければイノベーションは起こりません。そしてそれは、自分一人の力では高めることのできないものである。外部環境に大きく左右され、決定づけられるものだから(p66)
・当時のイギリスには、誰もがトライアンドエラーが存分にできる社会体制や環境が整っていた。いくら優れた技術があっても、社会の仕組みがトライアンドエラーを促してその成果を取り込んでいけるようなものでない限りイノベーションは起こりません(p68)イギリスの産業革命を支えていたのは、単なる技術的な発明と応用ではなく、人間社会に対する洞察であり、社会を以下に運営していくのかという哲学でもあった。ジョンロックの出した社会契約論(自由で平等な人間同士が、理性に基づいて国家を作り上げる)が、1688年のイギリスの名誉革命を支える理論となっている(p70)
・アメリカという国自体が、全員参加型の自由な経済の世界だった点が大きなポイントである。そのためイギリスの産業革命で開発された設備機械や工場生産のノウハウ、経営システムが入った途端に全員参加型で一気にイノベーションが起こり、世界の最上位の国家の一つになった(p75)日本も制度改革を断行するしかないと考えた薩摩藩や長州藩が江戸幕府を倒して明治政府を樹立した(p77)
・レオナルドダビンチは作品、思索は深さと時代を超える普遍的な価値を持っていたが、時代はその業績を新たな社会構造や生活として具体化する動機や構造を持っていなかった。ガリレオについても当てはまる、太陽の自転や地動説の提唱など多くの学問的業績を残し科学という学問を確立した最大の人物であるが、ガリレオ発のいオベーションは彼が生きた時代には存在しない(p87)多くの人の自由なトライアンドエラーの環境が整った産業革命以降のこととなる(p88)
2023年7月12日読了
2023年7月30日作成続きを読む投稿日:2023.07.30
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