「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない
坪田信貴(著)
/SB新書
作品情報
●お母さん・お父さんのちょっとした言葉が、子どもの将来を狭めている
「人に迷惑をかけるな」「勉強しなさい」「やる気あるの?」。子育てをしていると、ついつい使ってしまう言葉ですが、実は心理学的に子どもにとって逆効果になっていることがあります。たとえば、「人に迷惑をかけるな」は海外で子育てには使われません。むしろ、「困っている人がいたら助けよう」という言葉のほうが強調されます。一方、「人に迷惑をかけるな」といわれると、自粛してしまうように育ちます。だったら、どうしたらいいの? という疑問に、坪田先生が実例と心理学を用いて、グローバル時代・AI時代の子育てを解説します!
●学年ビリでも1年で慶應に合格できた魔法の言葉は?
坪田先生は、とにかく人に自信をつけるのが上手。「坪田塾」でも、学年ビリの生徒を難関大学にストレートで合格させるなど、可能性を引き出しています。「勉強」「しつけ」様々な分野で、自分で考えて動ける子、自分から勉強する子を育てる魔法の言葉が満載です。
●サンプル例
【やる気を出してもらいたいときは?】
×「やる気あるの?」「やる気ないならやめたら」
○「(やる気がなさそうに見えても、ノートを広げていたら)やる気出してるじゃん!」
【勉強しない時は】
×「勉強しなさい!」
○「勉強すると、こんなふうになれるよ」
●SNS時代に迷えるお母さん・お父さん必読!
今の時代、子育てに正解はありません。でも大事なのは「お子さんの将来にとってどうか」ということ。坪田先生のメッセージは、子育てに悩むお母さん・お父さんが元気になること請け合いです。
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商品情報
- シリーズ
- 「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない
- 著者
- 坪田信貴
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 掲載誌・レーベル
- SB新書
- 書籍発売日
- 2021.07.05
- Reader Store発売日
- 2021.07.05
- ファイルサイズ
- 4.6MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (34件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
本書は、心理学の知見をベースとして、子育ての際に子どもにどの様な声掛けをしたら良いかを論じるものである。親が子を育てるに当たって、「子どもの可能性を広げたい」「子どもにはのびのびと育ってもらいたい」と考えていても、子どものためによかれと思っている言葉を子どもは違う捉え方をしていることが大いにある。一つひとつの親の言葉を子どもはしっかりと受け止めているが、そこで間違ったメッセージを受け取ってしまうと、子どもは自分の可能性を伸ばすどころか、「自分は親にとって邪魔なんだ」「もっといい子でいなくてはいけないんだ」と自己肯定感を持てなくなったり、「自分には無理だ」「こんなことをしたら迷惑かもしれない」と自ら可能性を狭めてしまったりする。だからこそ、子育てでかける言葉について知見を広げようというのが本書の目的である。
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子育ての中で子どもに対して様々な制限や禁止を与えてる。すなわち、しつけをする過程において、社会の中で生きていくためのルールや価値観を教えるのだが、このルールや価値観を「拮抗禁止令」や「禁止令」という。これらの禁止令は、子どもが自分で判断できる前に植えつけられるので、その子の人格や人生に大きな影響を与えるものである。
こうした「拮抗禁止令」の中でも特に厄介なものが次の5つである。
(拮抗禁止令)
1.完全、完璧であれ:繰り返ししっかりするように教えたり、「ちゃんとしていないと認めない」という態度から伝わるメッセージ
2.他人を喜ばせ、満足させよ
3.努力せよ:「一生懸命やりなさい」と繰り返し教えたり、常に努力することを求めることで伝わるメッセージ
4.強くなれ
5.急げ(早くしなさい)
これらの言葉は、社会に出て困らないようにするための言葉ではあるが、過度になると子どもを苦しめるものである。また、この拮抗禁止令は、次の「13の禁止令」と結びつくと子どもの思考や行動をさらに縛ることとなる。
(13の禁止令)
「①存在するな」「②何もするな」「③成長するな」「④感じるな」「⑤お前であるな」
「⑥子どもであるな」「⑦近寄るな」「⑧考えるな」「⑨成功するな」「⑩自分のことで欲しがるな」「⑪健康であってはいけない」「⑫重要な人になってはいけない」「⑬所属してはいけない」
こうした禁止令が子どもを縛ってしまう可能性があることに気づいて、子どもが自ら判断して動いていくような声掛けをすることが大切である。その様な声掛けの本質は、「やめなさいと制限をかけるのではなく、その子に合った可能性を見せること」である。こうした考え方に基づき、子どもへの声のかけ方が本書では紹介されている。そのうち、参考となったものは次の通り。
・「苦手だね」といわれると、子どもは苦手意識を持ってしまう。「今回は●●だったね」と伝えることが大切
→ラベリングをしてしまうと、そのラベリングを証明するように思考したり行動したりする様になる。
・「人に迷惑をかけるな」ではなく、「迷惑はお互い様、困っている人がいたら助けよう」という
→人に迷惑をかけないとすると、人に頼れなくなる。また、自分のやりたいことも遠慮してできなくなる。全ての人が納得させることなどできないので、自分のやりたいことをやるという意思が必要。また、恩を受けたら、「恩送り」としてまた、別の人に恩を渡すという考え方もある。
・「公正世界仮説」
→この世は良いことをすれば報われ、悪いことをすれば罰が当たる「公正な世界」だという思い込み。この仮説は理想であり、社会の安定や秩序には必要ではあるものの、仮説が必ずしも当てはまらないこともある。
・「勝って兜の緒を締めよ」ではなく、「調子にのるくらいほめる」
→人を評価するうえで、評価の対象は、“Doing(行為)”、“Having(所有物、地位)”、“Being(存在)”がある。社会ではDoingとHavingでの評価なので、親くらいはBeingで評価することが必要であり、Beingで誉めることが心のセーフティネットになる。
・恐怖や不安をあおって行動させるフィア・アピールは、より行動を促す(または行動制限できる)が、フィア・アピールでは自己肯定感は下がってしまう。
・大声を出して叱るのは罰であり、モラハラ(欧米では虐待といわれる)
(感想)
子育てにおける声掛けの仕方に関する本であったが、自分の子どもの頃に受けたしつけと現在の認知のゆがみとを照らし合わせて、納得のいくものだった。自身も、厳しい父親の下で、甘えることができずに恐怖を抱いていた幼少期があったこと、その中で、「ちゃんとしなさい」「強くあれ」「最後までやりきれ、努力せよ」と拮抗禁止令をしっかりと植えつけられていたことを認識した。こうした禁止令に基づき、恐れを原動力に、自分は努力して成功した部分もあった認識した。また、親子関係だけでなく、大人同士、上司と部下の関係でも当てはまるような内容が多々見られた。今後は、本書で学んだ言い換えた方法で自分や他人にメッセージを伝えることで、もう少し柔軟な自分になれれば良いと思った。投稿日:2021.08.16
子供に対しての伝え方や、言い回しが事例が多数あり参考になります。
全てが腹落ちするか?という部分まで考えず、子供へのコーチングという本では良い一冊でした。投稿日:2024.05.06
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