日本冷戦史 1945-1956
下斗米伸夫(著)
/講談社学術文庫
作品情報
〈日本にとって冷戦とは何だったか。冷戦にとって日本とはいかなる存在だったか?〉
1945年8月に崩壊した旧日本帝国の空間をいかに管理するかをめぐる同盟国間の対立が激化、ここにこそ冷戦、とりわけアジア冷戦の起源があるという認識から、本書は出発する。
連合国という同盟関係は、枢軸国という敵の消失とともに内部での齟齬が拡大し、12月のモスクワ外相会議において形式的にも終焉を迎えた。そして同時に、のちのサンフランシスコ条約の規定にいう、旧大日本帝国が「放棄」した台湾、朝鮮半島、千島、満洲といった地域の主導権をめぐって、英米ソ中の各国による主導権争いが始まる。モスクワのケナン臨時大使が、冷戦の開始を告げる著名な電文を送るのに先立つこと2ヵ月前のことである。帝国崩壊後の日本列島やポスト帝国空間の管理をめぐる対立こそ、広島への核兵器投下が核時代への移行を告げたことと並んで、冷戦の文字どおりの第一頁となったのである。
冷戦の起源は、ヨーロッパをめぐる米ソ対立にあるというのが、欧米と日本いずれの歴史学でも自明とされてきた。この場合の冷戦とは、戦後国際政治の中で米ソが覇を争った状況を指している。しかしながら、米ソだけがその過程に関わったわけではない。グローバルな冷戦の起源において日本こそは枢要な現場であり、そしてアジア冷戦においては終始重要な舞台であり主題であり続けた。そうした視角から、本書の論考は展開される。
旧大日本帝国、東欧、そして核。この三要素による多元的利害関係のもとに米ソ中英仏が駆け引きを繰り広げる中、日本政治、とりわけ日本共産党の動向と響き合い、歴史が展開してゆく様を、ロシアはじめ各国の史料から丹念に描き出す話題作、全面増補改訂!
【本書の内容】
序章
第一章 日本占領と冷戦の起源
第二章 日本管理、東欧管理、核管理
第三章 冷戦のなかの日本(一九四六―一九五〇)
第四章 同盟・戦争と講和
第五章 危機の中の日本共産党
第六章 五五年体制―冷戦の再編成
終章
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商品情報
- シリーズ
- 日本冷戦史 1945-1956
- 著者
- 下斗米伸夫
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2021.06.10
- Reader Store発売日
- 2021.06.09
- ファイルサイズ
- 1.4MB
- ページ数
- 424ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
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WW2終結後、同盟関係から徐々に対立関係へと移行していく米ソにとって、争点となったのは「東欧」「核管理」だけで無く「大日本帝国の領土」でもあった。ソ連(スターリン)は当初北海道の北半分の直接占領を要求…していたが、それを取り下げるに当たって、核兵器開発のためのウラン入手先としての東欧を優先したからと言うのは目からうろこだった。もしもソ連国内のウラン鉱山が既に発見・発掘されていたら、容易にソ連が折れない展開もあったかと思うと…
また、鳩山政権時の日ソ国交回復交渉においては、ダレスが「二島での妥協はサンフランシスコ平和条約への違反なので、その場合は米国による沖縄併合もあり得る」という発言もまた、日本の中立化を許さないという米国の意思の表れで有り、ここ日本が冷戦の最前線で有り、我々が当事者であったことを思い起こさせるモノである。
なお、日本共産党は、劉少奇とスターリンのパシリだったw(そして中ソ対立で親ソ派を粛清。文化大革命では逆に中国共産党から追放され、宮本党へ)
毛沢東の「核戦争で人類が半減しても…」発言は、元々ロシアよりも中国の方が危険なメンタリティだったんじゃねえの?と構成の視点から見てしまう。中ソが対立したからといって、中国に肩入れしたのは大失敗だったね。<日米共に続きを読む投稿日:2021.08.10
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