やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日
NHKスペシャル取材班(著)
/講談社現代新書
作品情報
2020年の1年間で生み出されたデータ量は「59,000,000,000,000GB」。
これは、YouTubeの高画質動画57億年分にも相当する。
デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれる――。
しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。
SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。
文脈を失い、断片化された情報は、それがデマであってもまるで真実であるかのように、「いいね」がつけられ、世界中に拡散されていく。
ビッグデータに蓄えられた検索履歴は、私たち以上に私たちのことを知り尽くしたデータ=「デジタルツイン」となり、私たちのプライバシーを丸裸になりつつある。
にもかかわらず、私たちは、デジタルの恩恵から逃れられないのだ。
フェイクが横行し、プライバシーが剥奪され、リアルはデジタルに侵食される――。不自由で非民主主義的な世界を、私たちはどう生きるべきか。
「フェイクによって何が奪われているのか」「便利さと引き換えにどのようにプライバシーを受け渡してしまっているのか」という2つの問題意識をもとに、2020年4月5日、12日に「NHKスペシャル デジタルVSリアル」というシリーズ番組を全2回で放送した。
この放送だけでは伝えきれなかった取材内容をふんだんに盛り込み、現代のデジタル世界を紐解いていくというのが、この本の狙いである。
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商品情報
- シリーズ
- やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日
- 著者
- NHKスペシャル取材班
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 2020.11.18
- Reader Store発売日
- 2020.11.18
- ファイルサイズ
- 14.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (15件のレビュー)
-
本書は、2020年4月に放映されたNHKスペシャル「デジタルVSリアル/第1回 フェイクに奪われる“私”」及び「第2回 さよならプライバシー」の取材を基に、番組で取り上げられなかった内容を含めて書籍化…したものである。
あらゆるもののデジタル化が急速に進む今、我々はどのような世界に住んでいるのか? 取材班は「はじめに」でこう述べる。「SNSに広がりは「真実」と「フェイク(偽物)」の境界を曖昧にし、私たちが「フェイク」に踊らされる事例が数多く発生することになった。文脈を失い、断片化された情報は、それがデマであってもまるで真実のように、「いいね」が付けられ、世界中に拡散されていく。極端な意見に共感が集まり、主義主張の異なる者同士の罵り合いが加速する。デジタル化の波は、人々の分断を深め、真実を見えなくさせ、フェイクの渦に私たちを巻き込んでいった。さらには、ビッグデータに蓄えられた膨大な個人情報は、デジタルの世界のもう一人の自分=「デジタルツイン」となり、プライバシーは丸裸になりつつある。にもかかわらず、私たちは、デジタルの恩恵から逃れられない。そう、私たちの「現実(リアル)」は、すでにデジタルによって浸食され、デジタルを抜きにしては考えられないものへと変わってしまったのだ。」
本書は、番組と同様に大きく二部構成となっており、前半は「フェイク」、後半は「プライバシー」を取り上げている。
番組を見、本書を改めて読んで、「フェイク」については、日々進歩する技術に驚くばかりである。番組が放映された当日にも、ネットに「米国当局が、米国人がコロナウイルスを中国に持ち込んだと発表した」という動画が出て、私の友人の間で話題になったのだが、それはまさにフェイク・ニュースであった。本書で繰り返し述べられている、「私たち一人一人にできることは、「これは本物なのか?」と疑い、偽物である可能性があれば、それを拡散しないという認識を持つこと」、「一番必要なのは、やはり『自分の頭で考える』。そこが第一になる」というスタンスが、今後一層求められるだろう。(前述のフェイク・ニュースは、冷静に考えれば、“仮に事実であったとしても”、米国当局があの時期にそのような事実を公式発表することは200%あり得ない、と判断できる)
また、「プライバシー」については、私も、古くはオーウェルの『1984年』を、最近では『幸福な監視国家・中国』(梶谷懐・高口康太共著)などを読み、大いに問題意識を持っていたが、「デジタルツイン」という概念にはやはり驚きを覚えたし、ミレニアル世代の次に続く「Z世代」(1990年代後半~2000年代生まれ)は、幼い頃からスマホに慣れ親しんできたデジタルネイティブであり、東京、ニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど世界の8大都市に住む同世代の2/3が、「デジタルの世界にプライバシーはない」と考えているということには、大いに懸念を感じざるを得ない。
2020年は、米国大統領選挙でトランプ氏(支持者)が「フェイク」情報を多用したこと、また、新型コロナウイルスの広がりを抑えるために(中国のような)強権的な国家がデジタル個人情報を使ったが、それが当該国民の多くに支持されたことなどから、「デジタルがリアルを超えた年」として記憶されるのかも知れない。
アナログ時代に長く生きた私としては、ネガティブな面ばかりが気になるデジタル時代であるが、好むと好まざるとに関わらず、この時代に生きる以上、我々はまず、現実を知らなくてはならない。そのための一助となる一冊と言えるだろう。
(2021年4月了)続きを読む投稿日:2021.04.12
フェイクは困るが、そもそも我々庶民に真実が知らされる時代、あったのだろうか?とはいえ、見抜いていかねば…。
投稿日:2023.06.19
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