公〈おおやけ〉 日本国・意思決定のマネジメントを問う
猪瀬直樹(著)
/ニューズピックス
作品情報
作家生活40年の集大成!
「本書を読み終えるとき、読者はたった1字にこめられた意味をつかむことになるだろう」(本文より)
コロナウイルスに対する意思決定は、敗戦のあの日から何も変わっていないーー。
猪瀬直樹が今最も伝えたい、「私」の国・日本に欠けている概念(コンセプト)とは。
「他の国にはある公への意識が、この国には見られないのはなぜなのか」をテーマに、明治から令和まで、日本近代の風景を縦横無尽に描く! NewsPicks人気連載イノベーターズ・ライフを大幅加筆・修正のもと書籍化。
・文化芸術を大臣が「生命維持に必要な存在」と語るドイツ、「癒し」でしかない日本
・コロナウイルスで日本政府に決定的に欠けていた「文書主義」
・なぜ東京はロックダウンできなかったのか
・戦前と戦後は連続的につながっている
・「公」を描くカズオ・イシグロ、「私」に閉じこもる村上春樹
・「元号」にこだわり続けた森鷗外の公への意識
・「マーケット」を意識していた夏目漱石
・太宰治のスター願望は、現代ならお笑い芸人だ
・日本は戦前も戦後も「官僚主権」で変わらない
作家的感性をもって日本の官僚的無感性と戦い続けた猪瀬直樹が描く、この国の本質とは。
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この作品のレビュー
平均 4.2 (6件のレビュー)
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「公」という言葉を中心に考えを述べた後、自らの取り組みを自伝的に記した本。『昭和16年夏の敗戦』で述べた総力戦研究所の取組を現在のコロナ対応に当てはめ、同じような過ちを犯していることを説明し、その後、…「公」と「私」の観点から近代文学を分析している。そして最後に、主として全共闘運動の議長としての活動から、東京都知事を辞職するまでの取り組みを自伝的に述べている。道路公団民営化や参議院宿舎建設阻止に真剣に取り組む熱意に感銘を受けた。抵抗勢力と闘いながら改革を推進していく難しさがよくわかった。
「(コロナ禍)あたりまえだと思っていた日常生活が正面から否定されるなど考えてもみなかったのではないか。だがそういうときにこそ、変革のチャンスが訪れているのだ」p1
「対策本部会合では野党から質問が飛ぶわけではない。自分たちが疑問をぶつけ合い、それを官僚たちに指示すればよいのだ。ところが官僚はとんでもない宿題を負わされるのを避けるため先に台本を作ってしまう。政府の審議会など、往々にして官僚主導で行われている。審議会の事務局がシナリオを作って運営するのだ。だから御用審議会などと批判される」p21
「小泉進次郎環境大臣が対策会議に1度だけ欠席した。2月16日、日曜日に開かれた地元の後援会の新年会に出ていた、と共産党議員に追及されメディアでも批判された。脇が甘い面があったのは事実だが、この日の会議はわずか11分だった。発言の機会もなく意思決定に関わりのないものであれば時間の無駄ではないかと思ってしまう、それもあながち否定できない」p24
「菅官房長官は「連絡会議」が事前に開かれたことは認めたが、すでに連絡会議より以前に今井秘書官ら側近の官邸官僚の進言で一斉休校が決められていたことは伏せた。菅官房長官は、重大決定に自分が外されていたことを隠した。このあたりから、コロナ禍の対策は、今井秘書官ら官邸官僚の主導で進み始め、しだいに世情からかけ離れていくのである」p33
「(太平洋戦争)日本国民の310万人が死んだ。(一次大戦は、双方の死者1700万人)」p41
「日本がアメリカと戦争をはじめた昭和16年末より、原子爆弾を落とされて戦争に負けた昭和20年までの4年間を、ダルマ落としのようにスコーンと抜くと、風俗やライフスタイルは、ほぼそのままつながるのである。進駐軍と呼ばれたアメリカの占領部隊が現れたからアメリカナイゼーションがはじまったわけではなく、戦前からアメリカ文化は洪水のごとく押し寄せていた」p47
「日本は戦争に負けてアメリカの属国になったことで確かに国民の生活は楽になった」p49
「日本人は歴史の一過程のなかにある役割をもって自分が存在しているとの意識が希薄である。ステレオタイプの歴史観では、戦前は悪・狂信的、天皇主権、戦後は善・民主主義、国民主権との図式でしか考えない。それでは教訓を得ることはできない。戦前も官僚主権、戦後も官僚主権と連続している部分も気づかなければいけない」p67
「戦争はしない・できないという憲法の下では「有事」という発想は消滅する。有事には私権が制限される。「有事」のない日本では国家が国民を強制するという法律はないのだ。世界中探しても「有事」を想定していない国家は存在しない。だから「ディズニーランド」であり、入口の門番はアメリカ兵に任せ、圏内は架空の平和に満ちている」p94
「(2017年にノーベル賞受賞の)カズオ・イシグロの作品に比べると、日本の文学はひたすら「私の営み」だけを追い求めている」p103
「冗談半分に言うのだけれど、僕は結核に憧れた。作家になるための資格のように思われたからだ。多くの作家が結核・肺病によって夭折している」p152
「戦後に消えたものは貧乏と結核だったと書いた。もうひとつは戦争である」p155
「戦後の一般的な感覚は、戦争が終わった1945年に線を引き、戦前と戦後を分けるのが当たり前になっている。しかし、その考え方が歴史認識を曇らせてしまうのであり、戦前と戦後の連続性、共通するところを捉えないと「近代」というカテゴリーにならない。例えば、天皇主権から国民主権に転換したと学校の教科書は説く。しかし実態は、戦前も戦後も「官僚主権」であった」p178
「(戦前は)軍部と内閣との統合機能は元老たちが人治でカバーしていた」p180続きを読む投稿日:2020.10.11
政や官だけが公の担い手ではない。はずなのだが、日本においては公は主に官の手に握られてきた、という問題意識。
猪瀬直樹氏がどういう人物なのかよくわかる。投稿日:2020.10.25
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