誰も知らない金融危機 LIBOR消滅
太田康夫(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
長年国際金融ビジネスの指標として用いられてきたLIBOR(ロンドン銀行間金利)が不正操作スキャンダルで信用失墜。2021年に消滅することになりました。
LIBOR廃止は、日本にとって他人事では済まされません。日本の金融機関、投資家、一般企業も巻き込む大変な事態なのです。外貨建て債券を買った人はその金利がLIBORに連動しているものが大部分です。中小企業で米国などに進出する際、建設費用をドル建てで借りていれば利払いはLIBORという契約が少なくありません。そうした取引の契約内容の柱である金利指標を変更しなければならないのです。ただし新しい指標の金利が投資家に有利とは限りません。契約の見直しにおいて大混乱が想定されます。
現に2014年にパウエルFRB理事(現、議長)は「LIBORが無くなれば、150兆ドルに上る契約が見直され、長期にわたり、高い費用がかかり、不透明な交渉が必要になる。しかもLIBORが無くなった時の頑強なバックアップはない」とし「恐ろしい混乱だ」と表現しています。この混乱は不可避であることをいち早く覚った国際金融に関わる金融機関は、戦々恐々として始めています。テクニカル・デフォルト、集団訴訟のリスクが高まっているためです。
本書は、国際金融市場の指標であるLIBORの誕生、発展、不祥事による危機、見直し、廃止までの波乱万丈の軌跡を明らかにするもの。LIBORは世界で350兆ドルの取引に使われていますが、Xデーは刻一刻と近づいているのにもかかわらず、その影響の割には対応は進んでいません。日本の金融機関の多くは、本書によって初めて影響の大きさを知り、対応への奔走が始まることが想定されます。
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商品情報
- シリーズ
- 誰も知らない金融危機 LIBOR消滅
- 著者
- 太田康夫
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2019.03.19
- Reader Store発売日
- 2019.03.27
- ファイルサイズ
- 3.7MB
- ページ数
- 248ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (4件のレビュー)
-
LIBORの成り立ちから公表停止以降の代替指標案の問題について
1冊でLIBORへの理解が深まって本の価格以上の満足度があると思う投稿日:2020.01.11
LIBOR事件の経緯から、代替指標とされるものの覇権、問題点を細かく指摘。
新聞記者だから、実務がわかっていないことがあるが、概ねは色々な視点から指摘がされており面白かった。
LIBOR,SOFR,E…ONIA,ESTER.
問題点は、LIBORは金融機関の信用SPRを含んでいるが、SOFRとかはRFRだから、調達にかかる自行の信用SPRが含まれていない点。続きを読む投稿日:2019.10.05
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